第5話 そっくり猫現る!

 キジトラ猫は、ベンチに座っている私の隣でお昼寝中——のはずなのに?


(あれっ、キジトラ猫が私の目の前の石畳の上を、抜き足・差し足・忍び足で歩いている⁈)


 ふと横を見ると、キジトラ猫は相変わらず私のそばで眠っている。


「やぁ、あれはそっくりみゃんこだ!」


 そっくり猫は、キジトラ猫と柄がほぼ同じ。だけど顔ははっきり、別猫だと分かる。そして小柄だ。


 私は「ほら、みゃんこ、お友だちが来ているよ」と、キジトラ猫を起こしてみた。


 猫たちは互いに気付いたが、チラ見しただけでどちらも特にリアクションはしなかった。


 そっくり猫はゆっくりと立ち去った。キジトラ猫もお昼寝の続きとばかりに、目をつむった。

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