第4章 猫の四季(春)

第1話 雨降りは屋根付きベンチで——

 今日は一日中雨の予報。バスを降りても雨……。


 猫は水にぬれるのが嫌いだから、雨の日は猫に会えないことが多い。


 今日はきっと、お家で過ごしているはず——。


 だけどダメ元で、木の下のベンチへ行ってみると——、いた! 


 キジトラ猫がベンチに座っていた。


 私は(『雨の日は猫に会えない』という、先入観にとらわれないで良かった)と、つくづく思った。


 お昼休みも雨だけど、猫を探しに行ってみた。


 いた! キジトラ猫はベンチの上で、丸くなって眠っていた。


 お昼休みが終わる頃、もう一度行ってみた。またいた! 


 帰る前にまた行ってみた。いた! 猫はお昼寝中。


 一日中雨の日は、キジトラ猫も一日中、雨にぬれない屋根付きベンチの上。


 私は起こさないで立ち去ろうとしたけれど、猫に気付かれた。


「ミャ〜オン」キジトラ猫が初めて、私の膝に乗ってきた。


 それもふみふみして——。(きゃ〜、かわいい! 癒される〜)


 名残惜しいけど、猫がふと膝を下りた隙に「猫ちゃん、またね〜!」

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