第139話「安全と緊急回避を兼ねて放つ、一度きりの大魔法」

──レティシアがレギィのメッセージを受け取る、約十数分前──





「準備をしよう」


 街道のそばにある岩山の頂上で、僕は言った。


 ここから見下ろす街道には、茶色と白のかたまりがうごめいてる。細かいところはわからないけど、茶色がゾンビ、白がスケルトン、ぼんやりわだかまってるのはゴーストだろう。


 街道で動いてるのは、他には馬車と、いくつかの人影。あの中にレティシアもいるはずだ。


 アンデッドの群れは人の波を追いかけてる。まだ、ぎりぎり戦闘は始まってない。急がないと。


『我の考えた伝言で、正義の青髪娘にわかるじゃろうか?』


 僕の背中で、魔剣状態のレギィが言った。


『我としては、あの青髪娘の心の奥底まで考えた、もっときらびやかなものがよかったのじゃが……主さまってば、駄目だしするんじゃもの』


「18禁ネタと個人情報は禁止だって言ったろ」


『なにをー。じゃんけんで勝ったのは我じゃぞー』


 ひとの背中でがくがく揺れるのやめなさい。


 足場は広いけど、ここは岩山のてっぺんなんだから。落ちたらどうする。もうシロのスキルは使ってないんだから、重力には勝てないんだってば。


「ここまでありがとね。シロ」


 僕は右腕にはめた『天竜シロの腕輪』をなでた。


『……どーいたしましてー』


 かすかな声が返ってくる。


 ここまで登ってこられたのはシロのおかげだ。


 彼女がこないだ手に入れたスキル『れびてーしょん』で、重力を無視して一気に駆け上がってこられた。





『れびてーしょん』



『天竜の腕輪』の特殊能力。パーティ全員を空中浮遊させる。


 水平移動はできないが(水平方向に移動したい場合は、『炎の矢』などの魔法を推進力に使うか、木にロープを引っかけて移動することになる)、岩山くらいなら簡単に登り切ることができる。






 岩山の頂上に来たのは、これから僕たちが使うスキルが、かなり目立つものだから。


 だから邪魔が入らなくて、人目につかないところに来る必要があったんだ。


「みんなの準備は、大丈夫か?」


「わ、わたしはいつでもだいじょぶです!」


「私だって、覚悟はできてるもん」


 僕にくっつくみたいにして、セシルとリタが言った。


 岩山の頂上の広さは、ちっちゃな公園くらい。それでも、高さがあるからかなりこわい。邪魔が入らないのはいいけどさ。


 セシルはさっきから僕の腕を抱きしめてるし、リタは──高いところが恐いのか、僕の顔だけをガン見してる。岩山の高さは数百メートルってところだけど。


 ここにいるのは、僕とレギィ、セシル、リタ、カトラスの5人。


 新しいチートスキルを使うのは、僕とセシルとリタ。カトラスには、僕たちの護衛として来てもらった。


「カトラス。これからしばらく、僕たちは無防備な状態になる」


「は、はいであります!」


「なにもないとは思うけど、護衛を頼むよ」


「この命にかえても!」


 カトラスは身につけた『バルァルのよろい』に触れた。


「ボクの鎧が砕けたとしても、あるじどのたちには誰も触れさせないであります!」


「ありがと、カトラス。それじゃ始めようか、セシル、リタ」


 僕とセシル、リタは地上が見渡せる位置に立った。


 安全性を考えて、端からは数メートル離れる。


 落ちそうになったらカトラスが引っ張ってくれることになってるけど、念には念を入れて。


 それから、僕はセシルの胸に手を当てた。


「────んっ」


 びくん、と震える彼女の胸の中央に『魔力の糸』をつないでいく。


 次はリタだ。リタは自分から、僕の手を握って、胸の中心に導いてくれる。


 同じように『魔力の糸』をつないで、僕は『能力再構築LV6』を起動すれば準備完了だ。




「発動。『能力交差スキル・クロッシング』」




 僕はスキルを起動する。


 このスキルの使い方は難しくない。スキル同士を『魔力の糸』でつなぐだけだ。


 チートなのは、そのやり方。


 基本的に、一度でも『能力再構築』で再構築したスキルは、二度と再構築はできない。概念を移動させることができなくなるからだ。


 だけどこのスキルは一時的に、チートスキルの『概念』だけを『模倣エミュレート』して利用することができる。


「いくよ。セシル、リタ」


「は、はぃ」「だ、だいじょぶ」


 僕は『能力再構築』のウィンドウにセシルの『古代語詠唱』と、リタの『神聖力掌握しょうあく』を呼び出した。





『古代語詠唱』LV2


『呪文』を『詳しく』『唱える』スキル





『神聖力掌握』LV1


『所有者』の『神聖力』に『気づく』スキル





『概念』は動かさない。ただ『つなぐ』だけだ。


 ふたつのスキルの間を交差するように『魔力の糸』でつないで、擬似的に新しい効果を作り出す。


 あらかじめ、繋ぐところまでの実験はしてある。


 でも、できたのは、セシルとリタ、アイネだけだった。


 このスキルを使うには『魂約』してないと駄目みたいだ。


「……ナギさま……わたし…………なんだか……むね……おっきくなった……ような」


「……わ、私も…………セシルちゃんの……視界……見えるみたい……」


 セシルとリタが、僕を見た。


 ふたりとも真っ赤な顔で、不思議な感覚にとまどってるみたいだった。


「わたしと、リタさんが」「私と──セシルちゃんが」「ひとつの」「かんかくがあわさって」「ふたりでどうじに」「ナギ……ナギさまに」「だきしめられてる」「みたいで」


「……同時に?」


 思わず挙げた手が、セシルの首筋に当たる。すると──


「ひゃぅっ!?」「あぅぅん!?」


 セシルとリタが、同時に声をあげた。


 ふたりとも、びっくりしたみたいに顔を見合わせてる。


「こ、これって」「感覚が、倍になってるの?」

「ふたりぶんの」「ナギに触れられた感触が、いっきに」


 僕は、セシルとリタのスキルを『魔力の糸』で結んでる。


 そのせいでセシルとリタは、互いの身体が重なり合ってるって感じてるみたいだ。


「痛みは? あと、熱とか、心臓の鼓動が早くなってるとか、手足のしびれは?」


「そ、それは大丈夫、です」


 セシルは褐色の肌を真っ赤にして、とろん、とした目で、答えてくれる。


「た、ただ……その、なんというか、ナギさまに触れていただいた幸せが、2倍になって伝わって来るというか……」


「ふたりぶんの『じんじん』が伝わってくるみたい……」


 リタは、恥ずかしそうに獣耳を押さえてる。


「私の感覚が、セシルちゃんに伝わっちゃってる……恥ずかしいよぅ……」


 辛くない? って聞くと、ふたりそろって首を横に振る。


 じゃあ……このまま続けよう。


 今はとにかく、アンデッドをなんとかしなきゃいけない。


 僕たちにも、レティシアたちにも被害を出さず、最速で片付ける方法はこれしか思いつかなかった。かなりチートだけど、家族と『親友』の安全には代えられない。


 僕はセシルとリタのスキルの『概念』を魔力の糸でつないだ。


「……これで、いけるか?」


 2人のスキルの概念は、通常状態ではこうなってる。





『古代語詠唱』LV2


『呪文』を『詳しく』『唱える』スキル





『神聖力掌握』LV1


『所有者』の『神聖力』に『気づく』スキル






 これに『魔力の糸』を次の順番で結んでいく。




 『所有者』─『呪文』─『神聖力』─『詳しく』─『唱える』─『気づく』





 僕は『能力交差スキル・クロッシング』に意識を集中した。


 いけそうな……気がする。なにかが、ぴったりはまったような感覚がある。


 うん、たぶん。これでいい。


「時間がない。いくよ。セシル、リタ」


「は、はい」「だ、だいじょぶ」




 ──『適用する』




 頭の中でそうつぶやくと、スキル『能力交差』から新しくウィンドウが生まれた。


 それがセシルの『古代語詠唱』と、リタの『神聖力掌握』の間に移動する。


『能力交差』のウィンドウには『魔力の糸』でつないだ順番で、ふたつのスキルの概念が表示されていく。




 『所有者』─『呪文』─『神聖力』─『詳しく』─『唱える』─『気づく』





「…………わたしにもわかります。ナギさまと、リタさんと……わたしが繋がってるの、感じます。魔力とスキルが合わさって……そこから……なにか」


「うん。ナギとセシルちゃんと私から……生まれてようとしてるものがある……なにこれ──!?」





 繋がったセシルのリタの間で、ウィンドウの文字が変化していく。


 ただ、並んでるだけだった『概念』の間を言葉が埋めて──





 ──6つの概念を持つスキルが『模倣エミュレート』された──






古代語こだいご神聖力しんせいりょく魔法詠唱』


『所有者』の『呪文』を『神聖力』で『詳しく』『唱える』ことに『気づく』スキル





 ソウマ=ナギの『能力交差スキル・クロッシング』により擬似的に生み出されたスキル。


 セシル=ファロット(限定)の魔法を、リタ=メルフェウス(限定)の『神聖力』で発動することができるようになる。


 これによって発動した魔法は『火球ファイアボール』だろうと『炎の壁フレイムウォール』だろうと、浄化の力を帯びたものに変わる。


 使用回数制限:1回のみ。


 使用直後に『古代語神聖力魔法詠唱』と『能力交差』は消滅する。







「…………ふたりとも、体調は……大丈夫だよな?」


 僕はセシルとリタの額に手を当てた。


 汗はかいてるけど、体温も呼吸も普通だ。


 二人とも僕を間に挟んで、手を強く握り合ってる。


「ふたりとも『能力交差』で作り出したスキルの使い方は、わかる?」


「わかります。ナギさまの中にあるスキルに、わたしとリタさんが繋がってる感じがします。どうすればいいのか、ナギさまと繋がってるだけで、頭の中に入ってきます」


「これって『神聖魔法スキル』でしょ? セシルちゃんが詠唱役で、私が動力供給係ってところね」


 そう言ってセシルとリタは、笑った。


『能力交差』はぶっちゃけると『スキル合体エミュレーター』だ。


 2人分のスキルの『概念』を組み合わせて、一時的に6概念のチートスキルを作り出すことができる。もちろん、概念をずらして新スキルを作ってるわけじゃない。僕がデータを一時的にコピーして、そういうスキルの動きを『模倣もほう』してるだけだ。


 もちろん連続使用はできない。1回こっきりで、並べた概念がちゃんとスキルにできないと砕け散って、使用回数だけ消費するっていうトンデモ能力でもある。


 しかも……僕はむちゃくちゃ疲れてる。まぁ、能力をエミュレートしてるのが、僕自身だからな……。


 頭の中が高速回転してるみたいで、魔力だってどんどん吸い出されてる。


 パソコンやスマホで例えれば、どでかい容量のアプリを、データをやりとりしながらその場で組み上げて動かしてるみたいなものだ。『僕』というサーバが意識をなくしたら、たぶん、仮で組み上げたデータは吹っ飛ぶ。本体のスキルは大丈夫だと思うけど。


 頭までぼーっとしてくる。こんなの何度したくない。


『能力交差』が使い捨てなのが逆に助かる。いつ使用回数が回復するかはわからないけど、当分はいいや。


 これは、この場でアンデッドの群れを吹っ飛ばすための、緊急手段だ。


「それでは、詠唱を開始します」


 セシルは手を挙げ、宣言した。


 僕と、それとリタと手をつなぎながら、ゆっくりと位置を調整していく。


 3人が一番、繋がりやすい形に。


 セシルは僕の両手を導き、自分の胸に。身体の位置は、僕の前に。


 リタは僕の後ろに。両手を、僕の両手に重ねた。




「『この世界の慈悲なる女神の力を呼び覚ます。万物を愛で、人々の導きとなるもの。迷いを追い払い、光のものは光へ、闇のものは闇へ。正しい道を示す希望となりしもの──』」


「────私の力──受け取って、ナギ──セシルちゃん」




 リタの手のひらを通して、僕の方へ『神聖力』が流れ込んでくる。


 それは僕の身体をバイパスして、セシルの中へ。そのたびセシルが、びくん、と震える。僕の身体と『古代語、神聖力魔法詠唱』スキルが、セシルと『神聖力』を適合させてる。本来は魔法に乗せられないはずの『神聖力』が、セシルの言葉とまざりあい、魔法に変わっていく。




「『清浄を告げ、天を巡りしものの姿を借りて降り注ぐ』」


「『神聖なる力のもとに』」




 セシルの詠唱に、リタが唱和をはじめる。




「『たたえよ。その慈悲を生命はたたえよ……』」


「『慈悲は万物に。人にもデミヒューマンにもちっちゃな子にも』」




 リタのはなんかアレンジ入ってるけど──いいのかな。


 詠唱はセシルの仕事で、リタの仕事は『神聖力』の供給だ。


 たぶん、この言葉は、それをスムーズにするためのもの。


 振り返ると、僕の背中にしがみついてるリタは笑ってる。セシルの詠唱に合わせるのが楽しいのか、きれいな声で歌ってる。


 リタから流れ込んでくるものは、僕を通ってセシルの中へ。


 セシルは細い腕を広げてる。まるで世界を包み込むように。


 長い詠唱は古代語魔法の特徴だけど、今回はさらに長い。


 セシルの銀色の髪は風もないのに揺れて、さらに輝き始める。セシルがゆっくりと腕を掲げる。空へ。いつでも呪文を解放できるように。




『送信者:イリス


 受信者:さいあいのおにーちゃ


 本文:──準備、できました』




 イリスからのメッセージが届いた。準備完了だ。


 アイネとイリスとラフィリアは、レティシアの位置を確認した。


 だから、ここからでも見える。『幻想空間』で作り出された、作:レギィ、表現:イリスの、レティシアに宛てた文字が。


 それが空に浮かぶと──地上にいた人たちが動き出す。


 アンデッドと戦ってた人たちが、一斉に剣を引いて街道へと逃げ始める。


 ここからは遠すぎて、ぼんやりとしか見えないけど、青い髪の人がいる。あれがレティシアかな。最前線にいる。かっこいいな。


 レティシアが、この世界の王様になってくれれば、僕も楽なのに。




「──おやりなさい──『親友ナギさん』──」




 レティシアの声が、風に乗って聞こえた。


 イリスからも確認メッセージが届く。さすが『海竜の巫女』、報告と連絡と相談はおこたりない。


 じゃあ、いいかな──




「セシル! リタ! やっちゃえ!!」




 そして、セシルとリタが、合体結合魔法を発動する。





「『古代の言語によりて願う』!」


「『慈悲なる女神の名のもとに!』」




「「発動! 神聖古代語魔法! 『神聖浄化光輪ホリーハイロゥ』!!!」






 次の瞬間──光が、地上に満ちた。




 正確には銀色の粒子を帯びた──神聖力で作られた、光の輪が。





「う……おおおおおおおおおおっ!!」


『GUOAAOOOOOOOO!!』




 光の輪が──人々とアンデッドたちを包み込んでいく。




『OOOOOOOOAAAAAAAAA────!!』




 アンデッドの群れ──茶色と白の波が──欠けていく。


 まるで端から、見えない巨人にかじりとられているように。


 茶色い部分はゾンビだろう。そのへんは、ぼろぼろと崩れて、土とまざってわからなくなる。白いところはスケルトンだ。そっちはまだわかる。白い粉になって、街道にかぶさってるから。ゴーストは最初の一撃で完全消滅したみたいだ。もともと半透明だからわかりにくいけど、もう、動いてる部分はどこにもない。


 地上でうごめいていたアンデッドたちは、一体残らず浄化された。


 それでも『神聖浄化光輪ホリーハイロゥ』は、まだアンデッドを探してるみたいに、地上でぐるぐると回転を続け──




 やがて、空へとのぼりはじめた。


 ゆっくりと。地上から、山の方へ。僕たちの目の前を通り過ぎて、空へ。




 そして、ぱちん、と弾けて、消えた。




 それが『神聖浄化光輪』の、効果の終わりだった。





「「「おおおおおおおおおおおおお!!」」」




 人々の歓声が聞こえた。


 僕たちはもう、岩山に座り込んでるから、地上がどうなってるかはわからない。イリスからは『お見事でした! みなさんご無事です』ってメッセージが入って来る。ってことは、成功したみたいだ。よかった。




 ──ぱきん




 そして、僕たちの目の前で、『能力交差』のウィンドウが割れた。


 表示されてた『古代語こだいご神聖力しんせいりょく魔法詠唱』スキルも消滅して、セシルとリタのスキルも、通常状態に戻った。。


『能力交差』はしばらく使えない。復活まではいつになるかはわからない。


 今回は非常時だから使ったけど……あてにはしない方がいいな。


 あれはRPGの必殺魔法というより、シューティングゲームのボムって感じがする。回復条件がわからない以上、普段は「ないものとして」考えた方がいいな。うん。


「……ナギさま」


「うん」


「わたし……じょうずに……できました、か?」


「できたよ。ありがと。セシル。お疲れ様」


「…………よかった……です」


 身体から力が抜けたセシルが、僕の胸に寄りかかってくる。


 リタは、さっきから僕の背中にくっついて、細い腕を僕の胸のあたりでからめてる。首筋でくんくん鼻を鳴らしてるのは……たぶん、においを欲しがってるんだろうな。照れくさいけど、自由にさせてあげよう。今回は、リタを『神聖力』の電池がわりにしちゃったんだから。


 合体魔法『神聖浄化光輪』は、セシルの『古代語魔法 灯り』に、リタの『神聖力』を組み合わせたものだ。普段の『灯り』はセシルの魔力で生み出してるけど、今回はリタの神聖力を使ってる。光源にも、そこからあふれ出す光にも、光が生み出す粒子にも。


『神聖力』はアンデッドの天敵だから、それに照らされたゾンビも、スケルトンも、ゴーストさえも一瞬で浄化されていった。


 リタに直接戦ってもらってもよかったけど、それだと正体がばれるし、敵の数も多すぎる。だから今回は、こういう方法を取るしかなかった。


「……でも『能力交差』は……当分使わなくていいや……」


 僕もかなり体力と魔力を消耗したし、セシルとリタも、ぐったりしてる。


 今日は一日、2人の様子を見ることにしよう。なにかあったとき、すぐに対処できるように。


 レティシアのお迎えは、アイネとラフィリアに頼んであるし。僕のすることは、あんまりない。あっちには『みならい冒険者』スタイルのイリスもいるから、大丈夫だろう。


「お疲れさま。セシル、リタ」


「……ふみゅ」「……いいっていうまで……なでて……」


 セシルとリタは、いつの間にか僕の膝に頭を乗せて、横になってる。


 岩山の上は静かで、こうしてると、ハイキング気分で──


 二人が静かな寝息を立てるまで、僕はセシルとリタの髪をなで続けたのだった。




──────────────────


今回使用したスキル


『能力交差(スキル・クロッシング)』


『能力再構築』がレベル6になったことで、1回だけ使用できるようになったスキル。

いわゆる「チートスキルエミュレータ」である。

ナギの中に生み出したウィンドウに、スキルの『概念』を一時的にコピーして、1回こっきりのチートスキルを作り出すことができる。

ただし、『概念』がかみ合わないとスキルが生成できずに消滅する。

しかも現在のところ、使えるのは1回のみ。今回使ってゼロになったので、次はいつ使えるかはわからない。

ナギによると「RPGのスキルというより、シューティングゲームの緊急回避用ボムっぽい」とのこと。

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