第94話「次の世代の天竜とは、ずっと一緒にいることになった」

『…………なんだと』


 天竜の声が変わった。


 紫色の目が、つり上がる。巨大な喉が、ぐるる、と鳴る。


『奴隷……と、言ったか。次世代の天竜を、お前の奴隷と』


「僕は奴隷のスキルに干渉する力を持っている」


 早口で告げる。


「その『干渉する力』を使って、僕は奴隷の『封印用ロックスキル』や『不運招来スキル』を、本人のためになるスキルに書き換えてきた! あなたの封印が『ロックスキル』のようなものなら、僕の力で作り替えることができるかもしれない!」


「…………っ!」


 イリスが僕の胸にしがみついてくる。


 信じてくれてるのがわかる。繋がってるから、伝わって来る。


「だけど、そのためには天竜の幼生体シロを、僕の奴隷にする必要がある。奴隷にする代償は『天竜の封印を解除するために力を使うこと』、契約解消の条件は『天竜となって孵化すること』だ! 契約はすぐに解消できるし、あなたの力を悪用するつもりもない! それは『契約』してもいい!」


 夢の中を、魔力の風がうずまいてる。


 シロがかすかにうなされてる。僕たちはその側に寄って、彼女の背中に触れる。そうするとシロの呼吸が安定して、すぅ、と寝息を立て始める。


 シロの腰には卵がぶらさがってて、それと一緒に『契約のメダリオン』もある。『主従契約』はできるはずなんだ。


「……ナギおとーさん。いるの?」


『…………?』


「すき。シロを抱っこしてくれた手、すき。リタおかーさんも、アイネおかーさんも、おとーさんのこと、すき。シロ、みんなと一緒にいたい……」


『……それが「奴隷」であっても?』


「みんなと一緒がいい」


 シロの寝言だった。目は閉じてるから。


 短い間だけど、僕たちはずっと『天竜の卵』の側にいたから。


 僕たちが味方だってことは、わかってくれてるみたいだ。


『幼生体……いや、シロ。目覚めなさい』


「…………ほえ?」


 ぱちん、と、シロが目を開けた。


「あれ? ここ、夢の中だよ? でも怖くないよ? ナギおとーさんとイリスさんがいるよ?」


「シロさんは、イリスたちのこと、好きですか?」


 イリスは、目を覚ましたシロに手を伸ばした。


 シロはその手を握って、にぱー、と笑って、


「すきー」


「聞いていただけますか、シロさん」


 イリスは自分の首を飾る、鱗のついたチョーカーをなでた。


「イリスはお兄ちゃんの奴隷です。シロさんも、同じものになりますか?」


「なるー」


「お兄ちゃんに寄り添い、絶対服従ですけど、よろしいですか?」


「いいー。みんなと一緒がいい」


「だ、そうです」


 イリスはうなずいて、天竜の方を見た。


「次世代の天竜は、イリスたちと一緒にいることを望んでいます」


『我が幼生体よ。お前が彼らと、同じ時間を過ごすことはないかもしれない。それでも?』


 天竜は言った。


『私の魔力はほとんど奪い去られてる。この「封印」が解けたら、先代天竜の魔力はばらばらに飛び散ることになる。この場所で、再び封印されるわけにはいかないから。

 次代の天竜が先代と同じ力を持つことはない。卵がこの土地に縛られることもない。

 だが、孵化するまでには、長い長い年月がかかるでしょう。それでも?』


「シロは、卵の状態でも、みんなと一緒にいたいかと」


 そう言って、シロは自分の母親の魔力を見返した。


「シロは卵の状態で、世界をずっと感じてたよ。そして、ね、ナギおとーさんたちにもらわれてから、ひとを信じてみることにしたの。シロはね、ほんとはね、みんなの魔力に触れるまでは、こんな怖い世界に生まれたくなかったんだよ?」


 小さく首をかしげて、シロは言葉を続ける。


「でもね、ナギおとーさんは、得体の知れないシロを受け入れてくれて、助けてくれようとしてる。リタおかーさんとアイネおかーさんは、好きって気持ちを教えてくれた。イリスさんも、ここでシロを助けようとしてくれてる。だから、一緒にいたいよ? 先代と同じ力は得られなくても、卵のままでも、一緒にいたい」


 そして顔を上げて、シロは宣言する。


「シロは、ナギおとーさんとみんなと一緒にいる『天竜の卵』ってアイテムになるよ?」


『ならば……先代天竜の残留魔力にして、天竜の幼生体と繋がっている者が、告げる』


 天竜の魔力は口を開いた。


『幼生体シロは、ナギおとーさんと「主従契約」を交わす。奴隷化の報酬は「天竜の封印を解除するために力を使うこと」、契約解除の条件は「シロが天竜として孵化すること」』


 天竜が告げるのにあわせて、僕は現実世界で、枕元に手を伸ばした。


 てのひらを卵に当てる。


 主従契約するなら、触れておかないと。


『──契約コントラクト?』


「「契約」」


 しゅる、と、幼生体シロの首に、首輪が巻き付いた。


 イリスとは色違いの、白い鱗がついたチョーカーだ。


「えへへー」


「えへへーじゃないよ、シロ。ここからだ」


 僕は天竜の魔力に向き直る。


 盆地の底にある天竜の前脚に、両手で触れる。


 今回はシロを通して、天竜の残留魔力に干渉することになる。


 目的は天竜のなかにある『封印』に干渉して、それを書き換えることだ。


「発動! 『能力再構築スキル・ストラクチャーLV4』!」


 意識を凝らす。天竜の魔力の中にある『封印』を手探りする。




『もっと効率よく働け』

『力を尽くせ』

『お前はもっとがんばれるはず』

『その力を私は評価して──』




 うぜぇ。


 そういうのは、元の世界で飽き飽きしてるんだ。


 姿を現せ『封印』。お前の正体を──




「……見つけた」




『竜魔力封印』


『竜』の『魔力』を『固定化する』封印




『能力再構築LV4』が、竜の封印を概念化した。


 さすがは天竜の魔力だけあって、空間を越えてシロの卵と繋がってる。


『能力再構築』のウィンドウには『竜魔力封印』の文字がしっかりと浮かび上がってる。


 封印の『概念』は不気味な色をしていて、触れても動かない。


 でも『概念』の間に、隙間がある。だったら、大丈夫だ。


 僕の手元には『4概念チートスキル』を作ったときの、余りが残ってる。これを使おう。




『未結晶化スキル』


『船』を




 封印を安定化させる必要はない。


『高速再構築』で、一気に片付ける。


『概念』の間に隙間さえあれば『魔力の糸』を繋げる。そして、書き換えた封印とスキルを維持する必要もない。概念を入れ替えれば、それでクリアだ。


 誰が作ったのか知らないけど、こんなブラックな封印は、さっさと消し去ってやる!



「実行! 『高速再構築クイックストラクチャー』!」





『オオオオオオオオオオオオ──!?』





 天竜の魔力が震え出した。


 竜の身体に食い込んでいた巨大な杭が、くだけていく。


 成功だ。封印の『概念』は一瞬で書き換えられた。




『竜船封印』


『竜』の『船』を『固定化する』封印




『封印』は『竜の魔力』じゃなくて『竜の船』を固定するものに書き換わった。


 だから『竜の船』があるかって聞いたんだけどね。


 でも、あってもなくても同じだ。


 天竜の魔力が解放されていくと同時に『封印』も居場所をなくして消えていく。


 僕の手元に残ったのは、未結晶化スキルがひとつだけ。




『未結晶化スキル』


『魔力』を




 汎用性がありそうな概念が残った。


「……すごいです。お兄ちゃん……。神話レベルの封印を変えてしまうなんて……」


「まだだ。中からなにか出てくる」


 消えかかった『封印』の中から、声がする。




『天竜の封印の消滅を確認』


『計画は失敗』




 ラフィリアの『不運招来』を書き換えた時と同じだ。


 ざらざらした。ガラスを爪でこするような声。




『いや、それでも百年以上は保った。超越存在の魔力固定による効果は未知数。今後同じ計画を実行するかどうかは……今後の……経過。一族の報酬と…………その成果を…………』





『グオオアオオオオオアアアアアアア────!』


 天竜が吠えると──声は小さくなって……消えた。


 解放された竜の魔力から、逃げだすみたいに。


 あの『封印』がラフィリアの『不運招来』と同じものだとすると、あれも古代エルフが作ったってことになる。でも、それだと矛盾する。


 古代エルフは『霧の谷』を作って、天竜の卵を守ってきた。ラフィリアと同型のレプリカもあの場所にいた。そいつらが『天竜の魔力』を封印する理由がない。


 ……情報不足だな。


 というか、情報を集めるより、むしろ関わりたくない、ってのが大きいんだけど。


『……ありがとうございました。海竜の眷属たち』


 解放された天竜の、長い長い咆哮ほうこうが消えて──


 気がつくと巨大な竜はいなくなって、代わりに『翼の町シャルカ』で見た、白い人が姿を現していた。


 プラチナブロンドと、紫色の瞳。シロにそっくりだ。


『…………私も、ここで、お別れです』


 半透明の女性は、僕たちにぺこりと、頭を下げた。


『…………私の魔力は粉々になって、世界のあちこちに散るでしょう。卵がそれを吸収して、生まれて、新たな天竜になるには時が必要でしょう。どれくらいかは、わかりませんが……』


「残念だよ。せっかく、天竜に守ってもらって楽な人生を送ろうと思ってたのに」


『まぁ』


 白い人は、笑いながら口を押さえた。


『そうですね。海の向こうに、私が人型になって休むための島があります。お礼としてそれを差し上げましょう。「天竜の卵」があれば、たどりつけますから』


「そこって、遠い?」


『大海の中央ですから』


「……他におすすめは」


『ないですねぇ。特に宝物とかにも興味はありませんでしたから』


「人の守り神だもんな」


『次世代の天竜には、もう少し私利私欲のために生きるように、あなたが教えてあげてください』


「それは任せて。島も、ありがたくもらっておきます」


 いざというときの逃げ場にはなるから。


 もしも大陸に居場所がなくなったら、みんなでそこに移住してのんきに暮らすことにしよう。


『次世代の天竜──シロ』


 白い人は、ちっちゃなシロの手をにぎった。


『この世界は怖いところかもしれない。でも、信じられる人もいる。それがわかっただけで十分でしょう』


「……うん。シロは、人間やデミヒューマンが好きだよ?」


 シロは、先代天竜の手を握り返した。


「怖かったけど。霧の谷にいた時は、生まれるのが怖かったけど、今は逆に楽しみだよ?」


『それでいいの。次に生まれる時まで、どうか、幸せに』


 白い人の姿が、ぼやけていく。


『最後に……伝えておきます。

 私の魔力は固定化され、えぐりだされて、様々なものに利用されました。

 魔法の武器……防具……他にも……それがどれほどあるかはわかりませんが、あなたたちの脅威になる可能性があります。その時は、シロの卵を使いなさい。共にいられるように……しておきます……』


 ふわり、と、


 最後に、天竜の手が、シロの頭をなでた。


『ありがとう。海竜の縁者たち。さようなら、私の娘──シロ』


「さよなら、先代の天竜」


 シロは、ちょっとだけ涙を浮かべて、先代天竜の手を握りしめた。


「ありがとう。ナギおとーさん、イリスさん。みんなにも、お礼を伝えて?」


 シロは、小さな首にからみついた首輪に触れて、笑った。


「卵のままでも、シロはずっとみんなの側にいるから、忘れないでね?」


「うん。卵のままだって、シロは僕の奴隷だからね。みんなと一緒ってことで」


「シロが生まれるとき……どれくらい時間が経ってるのかなぁ」


 僕とイリスに抱きつきながら、シロが目を閉じた。


 夢が、終わっていく。


 盆地をおおっていた雲が晴れて、谷が明るくなっていく。


 イリスは、いつの間にか泣いていて。


 シロも、ぐすぐす、ってすすり泣いてる。


「イリスに言いたいことがあったら教えてください。『竜種共感』で、わかってあげますから」


「もうちょっとシロが魔力を吸収したらね。今は、すごく眠いから」


「あのさ、シロ」


 こういうとき、なんて言ったらいいんだろ。


 シロは再び卵の状態に戻って、しばらくは会えなくなる。


 僕が生きてる間は、きっと。


「……またね」


 なんだか、さびしい。


 シロの卵と一緒にいたのは、ほんとに短い間なのに。


「うん、またね。ナギおとーさん。イリスおかーさん」


 いつの間にかイリスも『おかーさん』になってる。


 シロの姿が、消えていく。


 夢がぼやていく。僕たちの目が覚めるんだ。




「シロが生まれたとき、みんなの子どもと会えたらいいかと……」




 そう言って、天竜の幼生体シロは、卵に戻った。









「……おはようございます。おにいちゃん」


「おはよう、イリス」


 僕たちが目覚めたのは、明け方だった。


 一階では、お湯の沸く音がする。アイネはもう起きてるんだ。


 ドアの向こうで寝息を立ててるのは、セシルとリタかな。


 ふたりとも、心配してたから。


「お疲れさま、イリス。『天竜の幼生体 救済クエスト』は完了だ」


「はい……お兄ちゃん」


 シロの悪夢を消すのは成功した。封印されてた天竜の魔力も解放した。


 だけど、シロが次にいつ生まれるかは、わからない。


 もしかしたら百年以上経って、僕たちが死んだあとってことも──。


「もしかしたら明日、ふたたびシロさんは生まれるかもしれません!」


「ポジティブだなイリスは!」


「『島が見えることを確信しながら、目の前の荒波を越えよ』──イルガファのことわざです。イリスはせっかくシロさんの『おかーさん』になったのでしょう? だったら、子どもを信じるのはおかーさんの役目です」


 イリスはきっぱりと宣言した。


「もしもイリスが会えなくても、イリスの次の世代が会えるようにしておきます。それが竜の眷属であり『おかーさん』と呼ばれた者の役目でしょう。次に生まれるシロさんを、ひとりぼっちにしないためにも」


「イリス……ちゃんと考えてるんだな」


「当たり前です。イリスはこういうことを考えさせたら、天下無敵ですよ?」


 むん、とイリスはガッツポーズ。


 それから、照れくさくなったのか、真っ赤になって横を向いた。


 視線の先にあるのは──枕元に置いておいた『天竜の卵』


 でも、形がかなり変わってる。


 卵は小さな宝石のようになり、まわりには金属製の装飾がついてる。


 装飾はちょうど、腕輪のかたちになっている。




天竜シロの腕輪』(USMAXRウルトラスーパーマックスレア


 中央に『天竜の卵(シロ入り)』が埋め込まれた腕輪。

 魔力を吸収する能力を持つ。

 卵の部分を破壊するのは、基本的には不可能。

 一時的に魔力で円形の楯ラウンドシールドを発生させることができる。

 装備できるのは、シロの「おとーさん」「おかーさん」のみ。




「シロさん。イリスおかーさんはここにいます。聞こえますか?」


 イリスは『天竜の腕輪』を撫でてる。


 でも、シロからの返事はないみたいだ。また眠ってるんだろうな。


「そういえばお兄ちゃん。天竜の残留魔力って、結局どこにあったんでしょうね?」


「魔法実験都市か、それに関係する施設だろうな」


 推測だけど、たぶん間違ってないと思う。


「百年以上も封印を維持できて、それを秘密にしておける場所は他に思いつかない。それに、近くの砦が魔物に占拠されたって言ってただろ。あれが天竜の『怒り』のせいなら、砦もこの近くにあるはずだ。つまり、ここからでもなにか起こればわかるはず──」


 って、僕が言ったら──





『──オオオオオオオオオオオオオオ────ッ!』





 北西の方角から、竜の咆哮ほうこうが響いた。


 夢の中で聞いたのと同じ声だ。


 窓を開けて外を見ると、遠くに、巨大な光の柱が立ってて──


 僕たちが見てる前で、それは翼を持つ竜の姿に変わって、消えた。


 なるほど。あれが『天竜の残留魔力』か。


 よかった。現実でもちゃんと解放されてたんだ。


「お、おい。あれは魔法実験都市の方角じゃねぇか!?」


 まわりの家から声がした。


「いや違う。廃棄された実験施設のあたりだ。研究者どもめ……なにやらかした」


 ……ほんっとに、なにやらかしてたんだよ。


 ほとぼりが冷めたら、セシルを連れてって『古代語 火球』を撃ち込んでおこう。


「シロは……起きないか」


 これで一気に覚醒するかって期待してたんだけど。


 天竜の魔力が言ってた通り、次に生まれるまでは時間がかかるみたいだ。


 僕が生きてる間だといいなぁ。


 天竜なら『飛行』スキルを持ってるはず。だから、さっきもらった島に行って、そこで自給自足できるかどうか試してみたい。いいよね。南の島でのんきに生活って。


 いざというときの安全地帯があれば、生活も気楽になるし。


「さすがに……疲れましたね、お兄ちゃん」


 こてん、と、イリスが僕の膝の上に頭を乗せた。


「せっかくお兄ちゃんと一緒に寝たのに、ぜんぜん眠った気がいたしません」


「イリスは、このまま寝てていいよ」


「お兄ちゃんは?」


「せっかくイリスの側で眠ったのに、ぜんぜん寝顔を見られなかったし、夢を観察もできなかったら、再チャレンジだ」


「ちょ、お兄ちゃん。それ、ずるい! あ、なでなでするの、ずるいでしょう?」


 なでなでなで


「イリスのよわいところ……ばれちゃったからって……おにいちゃ……」


 なでなで、なでなで


「イルガファのことわざにも……『膝の上で眠るのは、しんらいの……あか……し』……」


 そう言ってイリスは、眠ってしまった。


 シロの夢に入ってる間、僕たちはベッドの上で転がったりもがいたりしてたから、寝間着の帯がほどけてすごいことになってる。イリスも汗びっしょりで、背中の鱗が浮き出てる。でも、せっかく眠ってるところを起こすのも悪いから、このまま見守ることにしよう。


 もう朝だから、見守るだけってことで。




 こうして、ラフィリアの記憶探しから始まった『天竜』にまつわるクエストは無事終了。


 僕たちは今度こそ、本格的なお休みに入ることにしたのだった。





『パーティに新メンバーが入りました』


 名前:シロ=ブランシャルカ(ナギ命名)

 種族:天竜(現在は卵)

 性別:女性

 状態:腕輪型のマジックアイテム(次に生まれるまで、休眠中)

 天竜としてのスキル:不明

 腕輪としてのスキル:「障壁発生」「魔力吸収」「自己再生」

 年齢:0歳(卵状態では数百歳)

 加入時のコメント:「おとーさんすきー。おかーさんすきー。みんなすきー」




──────────────────


『天竜(シロ)の腕輪』


この世界にひとつしかない、文字通りのワンオフアイテム。

小さくなった卵のまわりを、銀色の金具がおおっている。

見た目は繊細だが、その防御力はすさまじく、並大抵の武器では金具を傷つけることもできないし、卵部分を破壊することも理論上できない(できたとしても自己再生する)。


ナギやリタ、アイネ、イリスが「シロきらいー」というと別の意味で傷つくが、その可能性はあんまり考えられないので問題なし。

腕輪の状態でも世界にただよう「天竜の残留魔力」を吸収している。

それを利用して、魔力で円形の楯を作り出すことができる。

また、普通の魔力を吸収する能力を持っているので、それを使うと……?

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