第61話「その少女の歌声は、人をとらえて放さなかった」
「ナギっ!」
がいいんっ!
砲弾みたいな勢いで飛んできた『神命騎士団』の1人を、リタが蹴り飛ばした。
正確には、蹴って軌道を逸らした。
剣を構えた『神命騎士団』の戦士は地面をごろごろ転がって、手足をへんな方にねじ曲げて……それでもこっちに向かってはいずってくる。足に矢がささってる。ラフィリアにやられて、立てなくなってた奴だ。
「『神命騎士団』奥義。
「いや、それ技じゃない! ただの鉄砲玉だから!!」
びっくりした。
一気に間合いを詰められた。戦士は口から血を吐きながら、まだ戦おうとしてる。なんだこの戦法!?
「……えっと。セシル! 今の魔法の情報を!」
「は、はいっ!
『「
風系統のLV2魔法。
圧縮した空気を撃ち出すもので、敵の殺傷よりも障害物の排除を優先している。
同時詠唱により威力を高めれば、岩を吹き飛ばすことも可能』
──ですけど、ひとを撃ち出すなんて聞いたことないです。できても普通はやらないです!」
「だよな……」
『神命騎士団』が戦ったあとは、仲間の死体が残ってるって言ってたっけ。
それってまさか、この戦い方のせいなのか。
動けなくなった配下を、強力な風魔法で敵に向かって吹き飛ばす。
一気に間合いを詰めて、そのまま剣が刺さればクリティカルヒット。激突するだけでも威力は充分。インスタントな突進技。ただしカウンターをくらったら大ダメージだ。
おまけに目の前の戦士は、ズタボロになりながら戦おうとしてるし。
作戦としては有効だけど、そんなのに従う奴なんて、普通はいないよな……。
「……精神操作系のスキルで強制してるのか。それとも『契約』してるのか」
どっちでもいいや。
「アイネ! 『記憶一掃』でこいつを眠らせて! ラフィリアはそのまま待機。セシルは魔法で牽制しながらラフィリアの護衛。リタは──こっちきて」
「わ、わうっ」
僕はリタの腕を引っ張って、壁のくぼみに潜り込む。
その間にアイネのモップが『神命騎士団』の戦士の顔を撫でる。戦士はがくん、と倒れる。けど、まだぴくぴく動いてる。まるで電池が切れかけのラジコンみたいだ。
残りの『神命騎士団』は……うわ。2人目を飛ばす準備をしてる。
ノイエル=ハフェウメアはなにかわめいてる。あいつ『神命騎士団』を使い潰したあと、逃げるつもりか。
逃がすとあとが大変。でも、追いかけようにも、通路を進めば戦士と魔法が飛んでくる。
ってことは。
この状態であいつらを足止めできるスキルを作るしかないな。
今、使えるスキルは、ジャイアントスパイダーの『巣作りLV2』と、ラージサーペントの『巻き付きLV3』、あとはイリスからもらった家事スキルの最後のひとつ。
その中のものをリタのスキルと組み合わせれば……うん。なんとかなりそうだ。
「あのさ、リタ」
「はい。ご主人様。いいよ……しても」
リタが『海竜のお面』を外した。
少しだけうるんだ桜色の目が、すぐ近くで僕を見てた。
「まだなにも言ってないけど」
「ナギのことだから、わかるもん」
リタの頬が火照ってる。長いまつげが揺れてる。金色のもふもふ耳は、かすかに震えてる。
「私と、ここで、したいんでしょ? 『
「なんか、リタばっかり負担をかけてるみたいで悪いんだけどさ」
ノイエル=ハフェウメアを逃がすとめんどくさいことになりそうだから。
ここで捕まえて、侯爵令嬢と『神命騎士団』についての情報を吐かせたほうがいい。
一応あいつもイルガファ領主家の人間だから、野放しにするとなにするかわかんないからね。
「だから、あいつらを捕らえるために、リタのスキルを使わせて欲しいんだ」
「説明なんか、いらないもん」
リタは僕の手を掴んで、自分の胸に当てた。
やわらかくてあったかい場所が、ふみゅ、と、僕の手を受け止めた。
「ナギはただ、私に『僕はリタとしたい』って言えばいいの。だって私は、ナギのものなんだよ?」
「ごめんな。リタには2度目の『
「いいもん。それだけ私が、ナギの役に立ってるってことだもん。私が、ナギのものだってことだもん。だから、いいんだもん」
リタは自分に言い聞かせるみたいに、大きくうなずいた。
心臓の鼓動はむちゃくちゃ早くなってるし、顔も真っ赤で、時々、視線が泳いでるけど。
でも、僕の手に手を重ねて、しっかりと自分の胸に押しつけてる。
リタの覚悟は決まってる。
だったら、僕がうだうだ迷ってる場合じゃないよな。
「わかった。僕はリタと『
「はい、ご主人様! どんとこーいっ!」
どくん、と、リタの心臓がはねた。
リタの胸が、びっくりするほど熱くなってる。僕が指をはわせるたびに、くすぐったそうに身じろぎする。なんだか落ち着かなかったから僕は手を少しずらして、上げて、下げて──リタが「……はぅ」って息を吐いたところで止めた。
「今回はちゃんと、終わったあとに再調整するから」
「うん。私も、今回は失敗しないようにするもん」
「…………?」
今回は失敗しない……って?
……あ、わかった……『
前回の『高速再構築』のあとに、リタと成立しそうになったんだっけ。
「わかった。帰ったらするから、心の準備をしとくように」
そう言うと、リタの顔が、ぼっ、と、真っ赤になった。
「…………おねがいします……ごしゅじん、さま」
獣耳をへにゃん、と倒して、リタは小さくつぶやいた。
僕は自分に、ラージサーペントがドロップした『巻き付きLV3』をインストールする。
とたんに頭の中には『該当スキルは使用不能』って文字が浮かぶ。そりゃそうだ。人間の身体は、こんなスキルが使えるようにできてない。
だけど『能力再構築』のウィンドウには問題なくスキルが表示されてる。
『巻き付きLV3』
『胴体』で『敵』を『締め上げる』スキル(手足は使っちゃだめ)
再構築はできそうだ。
あとはリタのスキルに『魔力の糸』を結びつけて、と。
『歌唱LV4』
『歌』で『人の心』を『動かす』スキル
すぐ近くで、リタが僕の手を握ってる。
真っ白な細い指をからめて、覚悟を決めたように目を閉じてる。
僕はリタの胸に手を当てて──宣言する。
「実行! 『
「……んっ……はぁ」
リタが切なそうなため息をついた。
それからおそるおそる、って感じで目を開けて、僕とリタをつないでる魔力の糸に手を伸ばす。
「……私とナギ、つながってる?」
「うん」
「敵をやっつけたら、ちゃんと私を再調整してくれる?」
「もちろん。今度はリタが、ひとりでせつなくなったりしないようにする」
「……うれしいけど……恥ずかしい……どきどきするよぅ……」
リタは真っ白な喉をおおう首輪を、指で撫でた。
「どきどきするから…………想いを歌に乗せるね。あとでナギと、ちゃんと──できるように」
そう言って、リタは通路の方に向き直る。
いつの間にか2人目の『神命騎士団』が飛んできてる。地面にある水たまりを使って、アイネが『汚水増加』で動きを止めてるけど、アイネも息が荒くなってる。地上と地下、両方の戦いでスキルを使いすぎたんだ。
さっさと終わらせよう。
でもって、あとで追加報酬か『ごほうび』のリクエストを聞いてあげないと。
「じゃあ、あいつらを片づけてお家帰ろう。やっちゃえ、リタ!」
「はい。聴いて下さい……ご主人様」
リタが、すぅ、と息を吸い──スキルを発動させる。
そしてリタの綺麗な歌声が、通路いっぱいに響きわたった。
今回、『
『
『歌』で『敵』を『締め上げる』スキル
リタの歌を聴いた敵の動きを拘束する、範囲影響型のチートスキルだ。
「素直になれない想いを、どう伝えればいいの?
あふれかけて
せつなくて
はじけちゃいそうなこの想い」
ぶぅん、と、空気が震えた。
甲高い振動が、通路を包みはじめる。
「獣人の私をつなぐ
鎖なんかいらないもん
名前を呼んでくれればいいの
その声だけで、私の心は
いつもあの人に繋がれてる」
「だから神さま、
私があの人のものだって
世界中の人にわかる印を
触れるたびにあの人を感じられる
印を私に、刻み込んで──」
──流れ続けるリタの歌は、
角砂糖にハチミツをかけて、
チョコでコーティングして、
それをお汁粉の中に沈めたように、激甘で──
だけど声は、早起きした朝の空気みたいに澄んでいて、
僕としては、あとでリタの頭を撫でてあげればいいのか──
気恥ずかしさのあまりごろごろ転がればいいのか──わからなかったけど。
チートスキル『
「な、なんだ。なんだこれは。ぐ、ががががががががっ!?」
通路の向こうから、絶叫が響いた。
次の配下を飛ばそうとしてた『神命騎士団』とノイエル=ハフェウメア。
その身体に、金色の鎖のようなものが巻き付いてた。
よく見ると、鎖を作ってるのは鉄の輪っかじゃなく、金色の文字のつらなりだった。
それはリタの声にあわせて、小刻みに振動して、
ゆっくりと、奴らの身体を、締め上げていく。
「な、なんだ。なんなんだ、この恥ずかしい歌は!? ぐわっがああああああっ!?」
ノイエル=ハフェウメアが叫んでる。
でも──
「なに言ってるんですか、いい歌じゃないですか」
セシルは目を閉じて、長い耳を澄ませてる。
「パーティのテーマソングにしたいくらいなの」
アイネは腕組みをして、うなずいてる。
「それはいい考えですぅ。帰ったら記録するです」
ラフィリアはぽん、と手を叩いて、
「よくわかりませんけど、イリスもドキドキいたします。からだ……あつい」
イリスは小さな胸を、押さえてる。
その間にもリタは歌いつづける。
真っ赤な顔で、細い身体から声を絞り出すみたいに。
額に汗が伝ってる。だんだん、声が小さくなっていく。
『束縛歌唱LV1』は強力な分だけ、体力の消耗が激しいのか。
「私の思いを……ささげ……ます
来世まで、ううん、とこしえに
どうか神様に……ねがって……ふたりが
同じおもいを……だいて、ます、ように……」
くたん
僕は崩れ落ちるリタの身体を、抱き留めた。
「……わぅぅ」
「お疲れさま。リタ」
「ナギ……えへへ。だっこされてる……ごほうびだぁ」
僕はリタの髪をなでて、熱を測って──よし平熱。
でも、そろそろみんな疲れてきてるから、さっさとクエストを終わらせよう!
「海竜ケルカトルの名のもとに、聖域を汚す者を拘束せよ!」
僕は叫んだ。
せっかくだから『海竜の加護を受けし者』で最後まで押し通そう。
「アイネは『記憶一掃』で敵をスタンさせて。セシルは『堕力の矢』で敵の魔力を奪って。ラフィリアと──悪いけどイリスも、リタを支えて僕についてきて」
セシルとアイネが走り出す。
リタの身体をラフィリアとイリスに預けて、僕も敵の方へ。
「な……んだ、これ……は」
リタの『
ノイエル=ハフェウメアたちは地面に転がってぴくぴくしてる。まるで陸揚げされた魚みたいだ。
「……海竜の怒り、と言ったはずだが」
「ばかな。エテリナは海竜など、しょせんは異界の魔物でしかないと──」
「その辺はあとでじっくり話してもらう。
もっとも、尋問するのは正規兵たちだけど。
彼らも怒り心頭だろうなぁ。
自分たちの主人がいきなり襲ってきて、巫女までさらおうとして、しかも海竜の聖域を荒らした元凶だったんだから。
「それと……『神命騎士団』のリーダーは誰だ?」
「ふ、ふんっ。誰が教えるものか!」
ノイエル=ハフェウメアは目をそらした。
すぐ横で転がってる仮面の少女の方に。
あ、そいつか。
「海竜の巫女の護衛として、お前たちの目的を聞きたい」
僕は仮面の少女を見下ろしながら、言った。けど──
「『神命騎士団』は新規団員を募集中です」
……はい?
戦闘不能になった『神命騎士団』──確か『ブラスト1』って呼ばれてたっけ──は、こわれたみたいに話しはじめる。
甲高い声で。
まるで機械の自動音声みたいに。
拘束されたままの手足が、びくん、びくんと震えてる。銀色の仮面が、ガタガタ震えてる。
セシルが僕の腕を引っ張った。小さな声で「この仮面はよくないものです」って教えてくれる。仮面から真っ赤な魔力が、持ち主に流れ出てるらしい。
「『神命騎士団』のBランクになると、クエストを達成するたびにCランクから報酬を5%徴収できます。さらに、Aランクになれば20%徴収できます。Cランクも、最初は少し厳しいですが、努力すればすぐに上位ランクに上がれますよ?」
流れだす声は、録音されたセールストークみたいだ。僕たちの世界でよくあるやつ。
「手続きは簡単、仮面をつけて『契約』するだけです。さぁ、君も『神命騎士団』に入って英雄を目指そう。今なら、加入拡大キャンペーン実施中! 入会金1000アルシャを払うだけで、Bランクからスタートできます!」
ずるん
仮面が外れた。
「戦闘不能につき、ランクEXの仮面を解除します。またランクCからがんばりましょう……」
びくん、と、少女の身体がはねて、動かなくなった。
「セシル、この仮面を『鑑定』できる?」
「はい。やってみます」
セシルには『鑑定』スキルがある。
お宝を手に入れる機会がなかったから、今まで使ってなかったんだけど。
「発動します。『鑑定LV2』──」
セシルは、地面に転がった仮面に手をかざした。
「……わかりました。この仮面には……『精神支配』系の魔法がかかってます。仮面が使用者の魔力を吸って、それを燃料に『精神支配』の効果を生み出してるみたいです」
「ダウングレードする前の魔剣レギィ──レギナブラスが使ってたような奴?」
『まったく違うわい! 主様』
僕の背中でいきなり、魔剣レギィが震えた。
『我は可愛い少女がえろ可愛く乱れるのが好きなだけじゃ! 普段はりりしい少女たちが、自分の身体の反応にとまどう姿を愛しているだけなのじゃ!
じゃが、この仮面による支配には、愛も! 情欲も! 優雅さのかけらもない! ひとを見えない鎖で縛って群体にするいまわしき道具じゃ! こんなのを我と一緒にするな。泣くぞ、主さまぁ!』
「ごめん、悪かったからさわぐな。レギィ」
暴れ出すレギィをなでて落ち着かせる。
確かに魔剣レギナブラスは、一応は僕に仕えようとしてた。
この仮面は逆だ。仮面の方が人を支配してるような感じがする。
「レギィさんの言うとおりです。この人たちが『同時詠唱』の魔法を使えたのも、心をむりやり繋いでるせいだと思います。この仮面はひとを道具にする……いけない魔法のアイテムです」
仮面が外れた少女が気絶しているのは『精神支配』を受け続けていた影響らしい。
こんな強い『精神支配』を受けていたら、当たり前だけど精神がすり減っていく。戦闘不能になったことで支配が外れたのはいいけど、意識が戻るにはしばらくかかると思います──って、セシルは言った。
「こいつらの仮面みたいなアイテムって、この世界で普通にあるものなのか?」
「いいえ」
セシルは首を横に振った。
「あったとしても、それは1000年に一度出てくるかってレベルです。こんな……大量生産できるものじゃないです。できるとしたら……」
チートスキル、ってことか。
つまり、ノイエル=ハフェウメアにこいつらを紹介した侯爵令嬢が鍵を握ってるのかな。
やだなぁ。関わりたくない。
「なんの話をしている! エテリナに手を出すことは許さない! 彼女は俺の──」
「あ、お前の話はあとでいいから」
「はいはい。おやすみなさいなのー」
がくん
アイネにモップでなでられたノイエル=ハフェウメアが気絶する。
いつの間にか『神命騎士団』も全員動きを止めてた。
『ブラスト1』の仮面が落ちてからだ。
彼女が全体の司令塔みたいなものだったらしい。
「イリスさまー! ご無事ですかーっ!」
ダンジョンの入り口から、声がした。
正規兵の隊長さんだった。
『神命騎士団』にボコられたって聞いてたけど、なんとか復活したらしい。
自慢の兜の角は、折れちゃったみたいだけど。
「申し訳ありません。ノイエルさまが我々を襲うとは思いもよらず……おおっ、なんだお前たちは!」
海流のお面をかぶった僕たちを見て、隊長が声をあげた。
「巫女のピンチになんだか不思議なことがおこって、海竜の加護により一時的に変な力を得た!」
「なるほどぉっ!」
隊長は、ぽん、と手を叩いた。
「メイドとエルフ少女が強かったのも、海竜の加護によるものだったのだな! いやぁ、海竜の加護じゃしかたないなぁ。我々にはそういうものはないものなぁ! よし、我々もこれからは『海竜のお面』を標準装備にすることにしよう! 情報感謝する!」
ノリいいなぁ、隊長。
「兄と『神命騎士団』はイリスを襲い、聖域を血で汚そうとしました」
イリスは寂しそうに、ぽつり、とつぶやいた。
「彼らは罪人です。海竜の巫女の名において拘束し、牢に閉じこめておくように」
「承知いたしました。イリスさま」
隊長はうなずいた。
彼が手を挙げると、ダンジョンの入り口から他の正規兵がやってくる。
あとはこの人たちに任せよう。
そして、僕たちは地上に出た。
「これでクエスト完了か」
やっと終わったー。
久しぶりにまじめに働いた気がする……。
海水のせいか、身体も服もべとべとする。それはみんなも同じみたいで、セシルもアイネも、ラフィリアも、髪を布で拭いたり、服を絞ったりしてる。リタは僕から離れられないから、すぐ側で服を叩いてる。
もう今日はぜったいに働かない。営業時間は終了だ。残業なんかしない。
どこかでごはんを買って帰って、それから順番にお風呂に入ろう。
「魂のお兄ちゃん……いえっ、ソウマさま、ありがとうございました」
ととと、と、イリスが僕たちの側にやってくる。
僕と、それから他のみんなに向かって順番にお辞儀する。
「ソウマさまたちは、クエストを完全に果たしてくださいました。もちろん、兄との戦いのことについても、お詫びもかねて追加の報酬もお支払いいたします」
「うん、ありがとイリス」
「その……勇者のことについて、ソウマさまのお気持ちはわかりました」
イリスはもじもじしながら、僕の顔を見上げた。
わかってくれたらしい。
「でも、お嫌でなければ、祭りの日の儀式にだけ、お付き合いいただけませんか? 無理にとはいいませんけれど……でも、なにがあるかわかりません」
「護衛ってこと?」
「そ、そのようなものです。まだ『神命騎士団』の残党がおりますし、エテリナ=ハースブルクがなにを企んでいる可能性もありますし」
イリスはうつむいて、不安そうに細い肩を抱いた。
でも、僕の顔をうかがうみたいに、「ちらっ」ってこっちを見てるけど。
「中枢までご一緒できるのは、『海竜のゆぅ』──ではありませんね。『魂のお兄ちゃん』である、ソウマさまだけなのですから……」
イリス、顔赤いな。覚悟を決めたみたいに拳を握りしめてるな。
まるでイリスの方がなんか企んでるみたいだけど……。
「ちょっと考えさせて」
「わかりました。よい返事をお待ちしております。『魂のお兄ちゃん』」
そう言って優雅に一礼したイリスは、とってもいい笑顔だった。
──────────────────
今回使用したスキル
『
『歌唱』と『巻き付き』スキルを合わせることで生まれた、拘束系のチートスキル。
リタの歌声を聞いた相手に魔力(神聖力)の鎖を巻き付け、動きを封じることができる。
広範囲に影響を与える強力なスキルだが、その分リタの負担が大きく、長く歌い続けることはできない。
また、あくまでもLV1なので、根性がある相手や、精神力の強い相手にはレジストされることもある。
なお、範囲効果型スキルのため、リタ自身が持つ『結界破壊LV1』でぶちこわすことも可能です。
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