第5話 忘れ物

それからは何もない日が続きに続き、今日も店で働いていた。



『ガチャ』

あいつだろどーせ。

「おはよう。今日も依頼だ、やっとBランクの依頼が来たぞ。桜子、楓子準備しろ。ポチだったか?お前は留守番な。」


親子そろってクソだな。


「今日は、教会の制圧、異教徒の捕縛だ。なんでも魔界からの宣教師が訳のわからないことをほざいて、教会を占拠しているらしい。相手も人だ。殺すことまで頭に入れておけ。」


ぶるっと身震いをした後

「「おはようございます。了解です!」」

と桜子と楓子。

やはり人を殺すというところに緊張が隠し切れていない。


「避けては通れん道だ。この仕事にはつきものだぞ。心してかかれ。がんばれよ。」


でれでれしやがって気持ち悪い。


「「よっちゃんっ行ってくるね!」」

2人がそう言った後、桜子が駆け寄ってきて

「よっちゃん帰ったら話したい事がある!待っててね!」


と、まてまてまて、それを死亡フラグと言うのだぞと思ったが


「はい。わかったよ!気をつけて!」


力のない俺は見送ることしか出来なかった。





3人が出発して、程なくして、桜子から遠隔通信が入った。

「ヨズクです。何かありました?」


「よっちゃんやばい!!銀色のアタッシュケース、おーちに置いてきた!!!!!!!!社長もいいって言ってるから届けて欲しいなぁって!」


「それは大変ですね。お店しめて、すぐに向かいますよ。」


「町外れの教会なんだけど場所わかる?近くにこれば野次馬もたくさんいるし、大丈夫かな??」


「よくみんなで、行ったところでしょ。わかりますよ。すぐに向かいます!」


てなわけでパシリな僕は家に帰って、桜子の部屋に侵入!!!!

うーーー女の子の匂いだ。

下着を見るなんてゲスなことはしない。

洗濯物の時にたくさん見てるからいまさらだよね。

あっ、、、クソオヤジとの写真を見つけてしまいました。

一気に気分が萎えたけど、お目当のアタッシュケースは確保、すぐに教会に向かおう。


「召喚サモン」


「ワンッッ!!!!」

よっ犬!


「武器変形ウェポンモード」


ぽんっと言う音と共に、僕の武器ショートソードが現れた。

これは柄に犬の牙が2本付いているだけのただの剣。

だがいくら弱いパートナーといえ、身体能力は武器を手にすれば上がる。


「紡げよ言葉 呼応しろ大気よ 部分能力強化 脚」


簡単な詠唱をし魔術を使う。

これで準備はバッチリ。

物を運ぶだけで、戦闘はないので、なるべく早く届けよう。




到着っと!

15分程走った先に教会が見つかる。

あれなんか様子がおかしいぞ…

いるはずの野次馬がおらず、辺りは割と静まりかえっている。


遠隔通話と。

「ヨズクです。目標場所につきました。桜子、どこですか?」


「あっ、よっちゃん!しーーーー。もうすぐ突撃する所。社長が野次馬は避難させちゃって!」


「あっ見つけました。届けます。」


身体能力があがると共に、犬なので鼻もよくなっている。

3人はどうやら向こうの木の陰だ。


「桜子、これ。」


「ありがとうよっちゃん!助かった!めっちゃ怒られたけど、よっちゃんいてよかったよーーー!」


桜子の笑顔が見れたからよしとしますか。

そして帰ろうとした時、

「ヨズク、ここにいろ。今下手に動くと危険だからな。安心しろよ、雑魚一匹足りとも後ろにはいかせんさ。」


珍しーーーい。

あのクソオヤジが心配してる?

あー明日は雪でも降るのか。


「あと下手に出しゃばるな。足手まといが増えると邪魔でお前まで間違えて叩き切りそうだ。」


前言撤回、死んでこいクソオヤジ。



「じゃあ行くぞ、桜子、楓子。」


「「「召喚サモン」」」



そこからは早かった、なんだよあの戦闘力。

桜子はケルベロスを武器化したえちえちな鎧で機動力を活かしての陽動。

頑張ればいろいろ見えそうだぞあれ。


楓子のゴーレムを武器化したグローブでの攻撃。

多分土の魔法だと思うけど、腕の太さ15倍くらいになっていた。


そして、最後の追撃はクソオヤジ。

ダルマを武器化したオートガードの盾が10個くらい浮かんでた。

体全身から火吹いてたし、盾も火吹いてたしめちゃくちゃだろあれ。



てか桜子アタッシュケースの武器使ってない…

何しに来たんだ僕。



「よっちゃんーー終わったよーもう大丈夫です!でておいでー!」



ここで木の後ろに隠れてた僕は姿を現す。

「相変わらず派手だね桜子も、楓子も。」



うずくまっている宣教師達がもうね…

なんていうか本当にかわいそう。


ここで元気がボスらしき宣教師のやつに

「お前らの目的はなんだったんだ?」


「クッッこんな手練れがいるならもっと早めにするべきでした。だがもう遅い!!!!」

「我らの悲願は達成された。レメゲトンの書は各地にばら撒いた。あとは見ていれば分かる。」



「レメゲトンの書ッ!!なんだと!!!」


元気が冷や汗をかいている。


ゴゴゴゴッッガガガガカッッ

すごい音と共に辺りが暗くなっていく。

一面が真っ黒な雲に覆われてしまった。


ずんとした雰囲気と共に、渦巻く闇が現れた。




「はーーーーーーーーいっ!!!!!!!呼ばれた気がするーーーーー!!!!」

「少しし黙れよ殺すぞ」


中から人型の何かが、この場に似つかない声で現れた。



「あぁー御二人が来て下さったのですね。感無量です。初めまして私はせんきょ…」

サクっとこぎみのよい音と共に人だったそれは首から上が落ちた。


「雑魚が話しかけるな。気分が悪い。」

「あーーーーーずーるーいーー」


仲間じゃないのかよ、誰なんだあいつら2人はと僕は考えていると、桜子と楓子は震えていた。


「あの魔力は何?桁が違いすぎる。」



「安心しろお前ら、俺が抑える。その間に逃げろ」


元気がそう言うと、言われなくても逃げるはアホっ!と思った僕であった。

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