第2話 苛立ち

「いらっしゃいませー」「ありがとうございます」

そんな声を何度も出しながら、せかせか動くお昼過ぎに、


『ガチャッ』

裏口から音がした。

「みんなおつかれ。桜子と楓子、討伐依頼だ。ヨズクお前は気にするな、黙って働いていろ」

高圧的な声、僕に対する嫌悪、あークソオヤジもうきやがった。


「「社長お疲れ様です!どんな内容ですか?」」


もちろん僕は返事しないよだって嫌いだもの。


話は変わるが僕は戦争孤児だ。

そこをこのクソオヤジに拾われた、いや買われたって言う方がしっくりくるレベルだ。

小さい時の記憶なんて何もないし、本当の所よくわからないけどね。


「E級魔物の討伐だ。山奥の廃村を拠点にしている。繁殖能力が高いから、一匹足りとも逃さず討伐、今回は俺と大河も行く。」


川尻大河 

クソオヤジの息子。

クソオヤジが1番嫌いな人間ならこいつは間違いなく2番目に無理なやつ。

パートナーが犬の僕をひたすら、虐げる。

なんであんなに、性格の悪いやつにフェニックスみたいなパートナーをよこしたんだ。

世の中不平等だよな…


せっかくだから桜子と楓子のパートナーも発表しようか。

桜子がケルベロスで楓子がゴーレム

2人とも肉弾戦にはもってこいなんだ。

ちなみに、召喚サモンした後にパートナーを武器化する事もできるんだけど、身体能力も飛躍的に向上する。

犬は犬なんだけどね…


最後はあのクソオヤジ、元気のパートナーはダルマ。

聞くと弱そうだろ?馬鹿いっちゃいけない、一昔前は国から《不退転》の二つ名までもらってたくらいの化け物だよ。

今は役人の現役は引退してたこ焼き屋のクソオヤジだけどね。




「ハローマイキューティーガールズ。大河がやってきたよ。」


最悪の時間の始まりだ。


「おっとそこにいるのはポチかい?」


「仕事中だから話しかけないでくれ。」


「ポチは今日も相方のポチとお留守番しててくれよ。この店の中にマーキングするのだけはやめてくれなー」



大河が来るといつもこうだ。

ヨズクもポチも大差はないがこいつに言われるのだけは腹が立つ。はよ行ってオークに犯されてから死ね。

とりあえずこれ以上は何を言い返しても無駄だと思い、だんまりを決め込む。


「ではお父様、キューティーガールズ達さっさと行こうじゃないか、つれないポチはそっとしといてあげよう。」



「「じゃあよっちゃん行ってくるねー!」」

「ヨズク、お客様待たせたら帰ってきてから説教な」



「はいよ、気をつけて」


ふぅ、1人で店を営業するのも大変なんだぞ!

パートのおばちゃんであるうっちゃんはまだこないからな!



てなわけで、あいつらは依頼に行った。

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