第1話 紹介

1章 ヨズク覚醒編

第1話 紹介

「よっちゃん起きてー朝だよー」


「ふぁい」

あー眠たいな、布団の上で一生を過ごしたい。


僕の名前は 押切ヨズク

名前がカタカナなのは親のエゴ。

散々馬鹿にされてきたし、今更気にする事もない。


「朝ごはん目玉焼きだぞぅ!!!」

元気なこいつ 神道桜子 が真っ黒になった卵っぽいものをフライパンから皿に移し替えていると


「朝からうるせぇぞ。起きてこねーやつはほっとけ。」

と奥から一言。

朝からすこぶる機嫌が悪いこの50過ぎのクソオヤジが、僕が働いている会社の社長 川尻元気 だ。


そんなこんなで僕の1日は始まる。

ガリッッ

(うぇーくそまずなんだよこの目玉焼き…)

朝から気分は最悪だ。




身支度も終えて、歩いて会社へ


「”召喚サモン”」

そう唱えると

「ワンッッ!!!!クゥー」

なんの特徴もない犬だ、これが僕のサモンパートナー


この世界は全ての人間が必ず1匹サモンパートナーを使役する。

それは人であったり、物であったり、動物であったり様々だ。

生まれた時にすべては決まる、召喚獣しかり、今後の人生しかり。

例えば精霊や天使と、分かった時点で人生は勝ち組だ。

僕なんて、犬だぞいぬ!

生まれ持っての負け組は、大人しくブラック企業の飲食系行きって相場が決まってるんだ。


今の世界は、第四次産業である魔物産業が主流である。

討伐した魔物のランクによって、政府からお金をもらう魔物ギルド。

その素材を加工する場所、魔物工房。

他にもいろいろあるが、魔物産業の発展によって世界の経済は上手くまわっている。

もちろん犬じゃなんの役にも立たないんだけどね…


僕の会社は、表向きは小さな自営業のたこ焼き屋だ。

商業ギルドの管轄に入っているが、最近は魔物ギルドにも登録して、討伐、捕獲などの仕事も請け負っている。

自分には関係のない話ではあるが、会社が活気付くのはいい事だと思う。



そんなこんなしているうちに会社についた。


「おはよーうございます!」



「「おはよう!よっちゃん!」」

僕の事をよっちゃんと呼ぶのは2人しかいない。

桜子と、双子の妹 楓子


「いつにも増して、どっちがどっちだかよくわかりません。いい加減おんなじ服装、髪型でくるのやめてもらえませんか。」

とは言うが、本当は分かっている。

なぜかって?僕は桜子のことが好きだから。

愛の力ってすばらしいよね…

だが桜子には彼氏がいる、あのクソオヤジだ。

3人で暮らしているあの家は僕にとって最悪の我が家。

力も、何もない僕にはそんな関係がちょうどいいのかもしれないなぁ…


さぁ今日の営業も頑張りますか!

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