秋雨

「じゃ、この前まで教えたところを弾いてごらん」

 向かいから琵琶の音色が始まる。

 八歳の妓女見習いのこの子の音はまだ幼いが、芯が出てきた。

「良く出来た」

 秋雨の軒打つ音が響いてきて湿った花街の匂いが流れ込む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

琵琶師《びわし》 吾妻栄子 @gaoqiao412

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ