第41話 もう一度

 「うっ…」


 彼女の長い話は終わった。


 その後は、毒を持った彼女と性交をした。


 身体は痺れて、高熱が出ているというのに、僕の下半身は嫌味なくらいに元気だ

った。


 そして、僕は果てた。


 「はぁっ…はぁっ…。これで、あなたもじきに死ぬわ。出涸らしの毒も、多分こ

れで全部、あなたの身体に入れまくったんだから…」


 彼女は、裸のままぐったりと寝そべり、僕の頬を手で包み込むように持った。


 「かわいらしくて、私のために頑張ってくれたリン君。大好きだったよ。さよな

ら」


 彼女は、もう一度、僕にキスをした。


 妖艶で、生々しく、毒々しく、粘っこい濃厚なキスを。


 そして、彼女は自分の膝に僕の頭をのせて、大きく膨らんだ胸を顔に押し付けた。


 興奮して目覚めるだろう僕の意識は、しかしあっさりと遠のいた。


 全て、僕の勘違いだった。


 彼女は最初から、僕を利用するために動いた。


 自分の罪を消し去るために、僕を利用しようとした。


 純粋な僕は、まんまと騙されて、真犯人の証拠隠滅のために利用されてしまうと

ころだった。


 悔しかった。


 認めたくなかった。


 山賊から助けてくれたのも、レベルアップを応援してくれたのも、セカイさんと

一緒にダンジョンを攻略したことも、キスをしてくれたのも、全て純粋な思いやりで

あってほしかった。


 「ごめんね…、ごめんね…」


 消えかかる意識の中で、彼女の涙声のようなものが、聞こえたような、気がした。






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