第33話
あの出来事から早いもので一ヶ月が過ぎていた。
私は日常を取り戻し、リンダさんのお店に復帰していたしジークさんは空き家を買い取って村に住み始めた。
その理由を尋ねた時、ジークさんは私にこう言った。
「スザンナと離れたくないからここで暮らすことにした」と。
その意味がどういうものなのか、私が期待するようなものなのかはまだはっきりと分からない。
けれどこの時、私は自分がジークさんに恋心を抱いていることを自覚してしまった。
私と離れたくないと言ってくれた事が嬉しくて、もし生涯を共にするならこの人とがいいと思った。
はっきりプロポーズされたわけでもないしお付き合いしようと告白されたわけでもないけれど。
多分私はこの人とずっと一緒にいるような気がしてる。
ジークさんは人気者過ぎてライバルが多いけれど、この際だから私からはっきりと伝えてみようと思う。
決意を固めたある日のこと、私は仕事を終えたばかりのジークさんを湖の近くに呼び出した。
ここは私の両親の思い出が詰まった場所。
少しでも力を貰えたらと思いこの場所で伝えることにした。
「スザンナ、話ってなんだ?」
私にまっすぐ向き合いながらジークさんが首をかしげる。
その何気ない仕草すら恋心を自覚してから愛しく思えて仕方ない。
私はうるさいほど鳴り響く鼓動を抑えながらゆっくりと口を開いた。
「私、ジークさんの事が好きです」
そう伝えた時のジークさんの笑顔を私は一生忘れないだろう。
村娘になった悪役令嬢 枝豆@敦騎 @edamamemane
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます