第11話ドラゴン娘クエスト発売

 いやあ。ドラゴン娘クエストが売れに売れた。そりゃそうだ。トリヤマ先生のキャラクターデザイン。スギヤマ先生の音楽。売れるに決まってる。


 しかし、その売れたゲームにはまりこむプレイヤーが続出したのは俺のゲームデザインが素晴らしかったからだな。いくらキャラクターデザインや音楽で買う人がいたからって、肝心のゲーム内容がクソだったら速攻で遊ばれなくなるだろうからな。


 大人も子供も俺のゲームにハマったんだ。俺のゲームをプレイしたくて、みんな学校や会社をサボってるんだ。俺の『ポートピアアドベンチャー』が『アラレちゃん』なら、『ドラゴン娘クエスト』は『ドラゴンボ◯ル』だな。


 ラスボスのりゅうおうを倒して感動しながら、ドラゴン娘のエロ画像でプレイヤーが涙とともにオナニーしたと思うとゾクゾクする。トリヤマ先生渾身のエロ画像にスギヤマ先生会心のエンディング曲だもんな。最高のオナニーだっただろう。プレイヤーの諸君。


 少なくとも、俺はあんな気持ちのいいオナニーはしたことなかったぞ。作り手の俺ですらあんなに気持ちが良かったんだ。それだけで俺は『ドラゴン娘クエスト』を作った甲斐があった。それでプレイヤーの皆様も気持ちよくなられたのなら、それはすばらしいことじゃないか。


 おかげで、エニークスのお偉いさんが土下座して俺に次回作を早く作ってくれとお願いして来たな。いいとも。つくってやるとも。初めからそのつもりだったんだ。


 『ドラゴン娘クエスト』で日本のプレイヤーにHPやMPの概念を理解させた。次はパーティープレイを理解させる番だな。そういうわけで……


「チュン。『ドラゴン娘クエスト2』では、魔法が使えない戦士タイプ、武器も魔法のそこそこ使える器用貧乏タイプ、直接攻撃が苦手で打たれ弱い魔法使いタイプで味方パーティーを編成するぞ」


「全員男ですか、ホリーさん」


「いい質問だ、チュン。『ドラゴン娘クエスト』でモンスター娘を成敗してグヘヘしたいと言う需要があることは証明された。しかし、人間の女の子にも需要はある。つまり、味方が三人とも男というのは論外だ」


「では、三人とも女の子にしますか、ホリーさん」


「それでは竿役がいなくなってしまうではないか、チュン。いくら戦闘画面がフロントビューで味方が映らないからとは言え、男がいない世界でいいということではないんだぞ。可愛い女の子が可愛いモンスター娘とキャッキャウフフしてるだけではいかんのだ」


「では男一人に女二人ですか、それとも男二人に女一人ですか、ホリーさん」


「そこだな。しかし、女役は味方パーティーだけじゃないからな。敵側にモンスター娘がたくさんいる。なら、男二人女一人でいいだろう。これならスギヤマ先生が言っていたニッチなファン層にもアピールできる」


「なるほど」


「そして、状態異常も追加する。前回では睡眠と魔法封じだけだったが、今回はそれだけじゃないぞ。まずは守備力低下だ。この状態になると、ダメージ量が増える。感度が何倍にもなるということだ。つまり……」


「モンスター娘がずっと気持ちよくなっちゃうということですね」


「そういうことだ、チュン。それだけじゃないぞ。守備力低下の呪文を使ったふりをして、モンスター娘をあひんあひん言わせたのちに、『じつはそんな魔法使ってませんでした。お前が気持ちよくなっていたのは呪文のせいじゃなかったんだよ』なんて展開も楽しめるんだ」


「そんな展開が!」


「そして、幻惑のステータス異常だ。ゲームの上では直接攻撃の命中率が下がるステータス異常だが……モンスター娘が幻惑にかけられた。あとはわかるな、チュン」


「『これはいやらしいことじゃないんだよ』とか、『おじさんがマッサージしてあげるからね』と言うことですね、ホリーさん」


「その通り。そして、即死系だ。ゲームではこの呪文が成功すると即死だ。これは、テクニシャンの風俗嬢に前立腺マッサージをされて俺があっという間に昇天させられた苦い思い出から閃いたものだ。30分コースだったのに、ものの数秒で俺は目的を果たしてしまった。あれはむなしかった」


「自分が風俗嬢にされるときは悲しくなるのに、自分が風俗嬢にしようとするとなかなか成功しないは、成功したらしたでドロップアイテム落とさなかったりすることがあると言うことですか。敵に使われると恐ろしいのに自分が使う分には役立たずと言う」


「そう言うことだ。今回の『ドラゴン娘クエスト2』ではそんな要素も取り入れようと思う。戦闘システムはこんな感じに変更しようと思う。プログラマーとして、なにか意見はあるか、チュン」


「即死呪文で敵モンスター娘を倒した時の経験値や資金はどうしますか、ホリーさん」


「ふむ。モンスター娘をみずからのテクニックで昇天させたんだからな。当然経験値も資金も手に入るぞ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る