第6話スタート地点
「ところでホリーさん。やっぱりポートピアアドベンチャーではいろんな場所に行くって要素が受けたんですから、このゲームもそうしたほうがいいと思うんです。ウィーザードリーみたいにギルドからダンジョンに潜るだけってゲームシステムだとホリーさんのテキストセンスも生かせませんし」
やや、チュンのやつなかなかうれしいことを言ってくれるじゃないか。
「そうだな。ウルティマみたいにいろんな町やダンジョンがあったほうがいいだろうな」
「じゃあ、ゲームは勇者が始めの町やお城のすぐ近くのフィールドにいるところから始まるってことでいいですか」
「こらこら、チュン。お前は俺がどんな客層にこのゲームを売りたいかちっともわかってないようだな。俺はモンスター娘といやらしいことがしたい客層にこのゲームを売りたいんだぞ」
正確には、アメリカのバタ臭いモンスター娘じゃ満足できない俺のために俺が楽しめるゲームを作るんだが。
「それだと、勇者が町やお城のすぐ近くにいるところからスタートしたらまずいんですか? 町やお城がすぐ近くにあるんですから、僕ならその町やお城にとりあえずいきますが……」
「そんな考えだからお前は童貞なんだ、チュン。いいか、このゲーム世界では日本人好みのアニメチックなモンスター娘がごろごろいるんだぞ。そんな世界のフィールドにプレイヤー自身である勇者が放り出されてみろ。どうすると思う?」
「どうするんですか?」
「そのままフィールドをうろついてモンスター娘とエンカウントするに決まってるだろ。当然装備もろくにしてないからモンスター娘にレイプされてなぶり殺しにされるだろうな。それで王様に『おお、ゆうしゃよ死んでしまうとはなさけない』なんて言われるんだ」
俺みたいなモンスター娘風俗上級者ならそんなプレイもイマジネーションで楽しめるが……ちびっこにはモンスター娘にレイプされるシチュエーションは上級者向け過ぎるだろう。
「そういうわけで、スタート地点は王様の部屋だ。そこで最低限の操作をしないと部屋から出られないようにする。王様と話す。宝箱を調べる。鍵を使う。これをしないと部屋から出られない。つまり、最初にそういう行動ができると言うことをプレイヤーに示すんだ」
「なるほどお。部屋からでることをチュートリアルにするんですか。さすがホリーさん。そんなこと僕は考えもしませんでした」
そうだろう。そんな年になってもモンスター娘風俗で筆おろしもしないような行動力のないお前だからそんな不親切なスタート地点の設計にしてしまうんだ。
俺は違うぞ。小学生の頃は河原を捨てられているエロ本を求めさまよった。中学生の頃は父親のスーツを無断借用してエロ映画を見に行こうとしたが、中学生料金を支払ってしまいばれた。高校生の頃はバイトでためたお金でなんとか年齢をごまかして風俗デビュー。
そしていまやりっぱなモンスター娘風俗マスターとなった俺だからわかる。
モンスター娘がフィールドや洞窟にわんさかいると言う状況でとりあえず町やお城に行こうという気になるか? いや、答えは断じてノーだ。そんな状況なら俺はいちもにもなくモンスター娘に会いにフィールドをぶらつく。
だからこそ、スタート地点を王様の部屋にしてプレイヤーにチュートリアルする必要があるんだ。
「さあさあ、チュン。このゲームに出すモンスター娘はゴーレム娘だけじゃないんだからな。俺のモンスター娘風俗の体験談をいやって言うほど聞かせてやるぞ。まずはスライム娘だ。スライム娘はな……」
「えええ、『スライム娘はからだの全てが穴であり、からだの全てが棒である』ですか。たしかにスライムは不定形ですから、どこにでも僕が可能の意味でいれられますしどこにでも僕が受動の意味でいれられますが……」
「モンスター娘はスライムだけじゃないぞ。ゴーストのモンスター娘もいい。自分が憑依されて、自分の体を自分の意志で動かせない状況でオナニーさせられるんだ。男の俺が『くやしい! でも、ビクンビクン』なんて体験を性転換もしてないのに味わうとは思ってもみなかったぞ」
「へええ。生身では触れないゴースト娘とそんなお楽しみ方が。とっても参考になります、ホリーさん」
「ゾンビ娘もいいぞ。『食べ物は腐りかけが一番おいしい』という名言があってな。その通り。腐りきったのはさすがの俺でもハイレベルすぎたが、ちょっとハッスルしすぎると腕や足がもげるくらいの腐りかけのゾンビ娘なら、いまどきいろんな団体がうるさいか〇わプレイも楽しめるぞ。なにせ取り外しが自由自在だからな」
「なんですって。ということは『足なんて飾りですよ』なんてセリフを文字通りの意味で使えると言うことですか」
「そして何と言ってもドラゴン娘だ。このゲームのラスボスがりゅうおうだからな。ドラゴン娘の描写には気合を入れるぞ。よし、タイトルも『ドラゴン娘クエスト』にしよう」
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