第11話 近くに公園があるのです

 千夏姫は子供の様に頬を膨らませて。


「我は寂しいぞな」


 それは公園から一人で帰ってきた千夏姫の言葉であった。ここのところ古書の読み込みと普通勉強が重なり。千夏姫とコミュニケーションが取れていない。姉貴のまた、夜勤で帰ってこない。俺は少し考え込んでから、面倒を見るかと思うのであった。


「ジャージ姫は何がお望みですか?」

「熱々のたい焼きが食べたい」


 ふーう、食べる事ばかりだな。ここは商店街にでも連れていくか。


「たい焼きの前に商店街を見に行こう」

「あい、わかった」


 俺達は自転車で商店街に向かった。


 ……。


 シャッター通りだ。久しく来ていないと思えばこうだ。目的地を大き目のスーパーに変えよう。スーパーに着いてから、一回りして一階のフードコーナーで銅ダコのタコ焼きを食べる。


「うむ、美味じゃ」


 やはり食べる事ばかりである。


「これからどうする?」

「ブラジャーが欲しい」


 確かに千夏姫に最初に買ってあげたのはスポーツブラであった。この時代に慣れてきて色々知ったのであろう。うーん、俺も付いて行くのかと疑問におもう。


「一人で行けるか?」

「和修にも見て欲しい」


 さて、どうしたものかな……。渋々に下着コーナーに行くのであった。店員さんがいない。平日の夕方ではお客さんも少ないためだろう。お約束の身体測定が出来ない。


「では、パンツが欲しいぞな」


 千夏姫に言われるまま、セクシーランジェリーを買うのであった。買ったのはいいがセクシーランジェリーなどいつ使うのだ?あれこれ妄想するのであった。


 俺が昼下がりまで寝ていると。千夏姫が俺の上に乗ってくる。


「重いのですが……」

「我は姫であるぞ、遊びに連れていけ」


 あー面倒くさいな。放置してもいいのだが、ここは大人の対応をしよう。


「いつもの近くの公園でいいか?」

「水族館がいいぞ」


 水族館など何処で覚えたのであろうか?猫みたいに寝るのが仕事の千夏姫を連れていく余裕はない。なにかが違うな、猫みたいに寝るので済むので公園でいいが正解だ。


「一緒に寝るか?」

「子供扱いするな、我は16になるぞ」


 しかし、普段のおこないを考えると精神年齢は幼女なのにと納得するのであった。


「ま、今日は昼過ぎだ、いつもの近くの公園で決定だな」

「そうか……」


 渋々に公園に行く支度をする千夏姫であった。俺も適当な格好に着替えてアパートを出る。数分の道のりもなにかエピソードがあるわけではなく。公園にたどり着いてもベンチに二人で座るだけであった。


「和修、つまらないぞ」


 俺は答えに迷った。それは俺もつまらないからだ。何もない公園で楽しむ方法はなんであろう?そうだ、俺はスマホを取り出してみる。千夏姫に画像を撮影したいと言い。それからネットにアップすると説明した。幸い、今日はジャージ姿でない。見た目の可愛い千夏姫なら一万リツイートも夢じゃない。撮影会が終わりアップしてみると……。


 イイネ、は美穂だけである。俺のSNSでの戦闘力はこんなものか……。


 夢のない現実である。

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