入れ替わりを使った計画

「戻って来れたのね。」

「えっと…。」

「あの子には俺から話しておいた。あれほど入れ替わるなよと昔から言っておいただろう。」


どうやら入れ替わった事が香夜にバレてしまったらしい。


「起きてしまった事をくよくよ言うのはやめましょう。」

「そうだな。確認だが香夜って子以外には入れ替わって無いんだな。」

「うん…。」

「攻める言い方もよしましょうよあなた。欲しくて入れ替わりの力を得た訳では無いのですから。」

「お前は娘に甘すぎでは無いか?まぁそんな事はどうでもいいんだが。俺は明日仕事だからもう寝るが、これだけは言わせてもらうぞ。お前が無事で良かった…。」


そう言うと父はリビングから出ていった。


「厳しいこと言うお父さんだけど、あなたの事を1番心配しているのよ。私もだけど。これ以上入れ替わりには気をつけなさい。お母さんも寝るね。」


お母さんもリビングから出ていった。話長くなる事を予想していたけど、そんなに長くはならなかった。明日、香夜にあったらなんて話しかけられるのかな?そもそも話しかけて来るのだろうか?そんな事を考えながら私はリビングから出て自分の部屋に戻った。


「お休みなさい。」


私しかいない私の部屋で一言漏らすと私はベットに入って寝た。

次の日朝起きて、いつもより少し早く学校に登校した。香夜に会うのが気まずくはあるが、ズル休みだけはしたく無かった。教室のドアが開き、朝練を終えた香夜が教室に入ってきた。香夜は一目散に私の机に近づいて来た。


「由理、昼休み屋上で話そう。」

「えっと、うん。」

「じゃあ後でね。」


そう言うと、香夜は友達の所に戻って行った。話は昨日の入れ替わりの事だろう。いい話ではないだろうけど。暫くして先生が入ってきて一日が始まった。そして昼休み。私は言われた通り屋上に向かった。屋上に着くと既に香夜は待っていた。隣に誰かいる。


「えっとその人は?」

「私は真利(まり)香夜に呼ばれてきた幼なじみだよ。」

「この子はって自己紹介は終わったよね。実はこの子も異能の持ち主で相談に乗ってもらおうと思ったんだ。」

「異能?」

「由理ちゃんの異能が入れ替わりなら、私の異能は読心術。相手の心の中を見ることが出来るんだよ。たとえば、由理ちゃんは、A型の天秤座、バストは…。」

「真利、それ以上は言っちゃダメだよ。」

「香夜ちゃんは優しいな、なのにあんな事をしているなんてね。」

「うぅ…。まあとにかく、由理に話っていうのは、私の秘密も知られてしまった訳だから一緒にやらないかってお誘いだよ。」

「えっと…なんのお誘い?入れ替わってしまったのは謝るけど、入れ替わった時していた事は私にはよく分からないんだけど。」

「それ本当なの?」

「どうやら本当らしいね…。」


真利ちゃんは読心術を使える。なので真利ちゃんが言ったことは読心術を通して言ったことなので信用性がある訳で私が嘘をついていない事は香夜にもわかったと思う。


「えっと、困ったなぁ…。」

「私も香夜の事実を知った時、よく理解できなかったし仕方ないよ。まぁこれからは非日常的な事が出来そうだし、これを逃す訳には行かないと思うから、放課後私の家に集まるとかはどう?」

「真利、いいの?」

「いいよ、どうせ親は帰ってこないし。」

「香夜、部活は?」

「体調不良とか理由をつけて休むよ。」

「次期エースのはずなのにいいの?」

「次期エースねぇ…。別にやっていたら上手くなったってだけだから、その辺は気にしてないかな?」

「もったいないよ。」

「別にプロを目指してないし…。」


できる人のセリフは他とは違うなと私は思った。香夜のプレイスタイルを見たことは無いけど多分相当凄いんだろう。なんせこの学校の女子バスケ部員数は30人を超えているのだからその中で次期エース候補という事はかなり上手と言う証になると思う。そんな香夜がサボってしまうのだから、女子バスケとしては痛手では無いのだろうか?まあ私が心配する事でもないのだろうけど。そんな事よりも、真利ちゃんが言っていた非日常的な事って一体?


「とにかく、これで決まりだね。今日放課後私の家に集まって早速これからの事話し合うよ。じゃあ今は解散って事で、教室に戻ろう。」


時計を見たらもうすぐ午後の授業の始まりの時間が近づいていた。


「了解。戻るよ由理。」

「うん。」


そうして教室に戻って午後の授業を受けて時間が流れて私達は放課後、真利ちゃんの家に集まっていた。

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