入れ替わりの末路…。

起きるとそこは知らない部屋のベットだった。周囲を見ると特に何も飾られてない。


「あれ?部活じゃないの?」


その時ドアが開いた。

「起きた?急に眠くなったとか言われて、疲れたのかなってキッチンにあったハンバーガー持ってきたけど。」


なぜハンバーガーなのだろう?それよりこの人見たことある。確か、3年の男子バスケ部のキャプテンだったよね。


「ありがとうございます。」


私はよく分からないまま、くれたハンバーガーを頂いた。チーズが少し熱くて口から垂らしてしまう。


「おいおい、大丈夫か。」

「だ、大丈夫です。」

「あとなんか、他人行儀過ぎない?」


私は香夜とこの先輩との関係性を知らない。この前の事も全くわからなかったので香夜の事を殆ど知らないと言っても過言ではないんだけど。


「そ、そうかな。」


そうですか?と言いそうになったが、軽くして言うことにした。先輩に対して失礼のような気もするけど。


「なんか無理してない?さっきまでとなんか違うし、ってかこっちの方が俺的には好み…何言ってんだ俺。」


えっと香夜とは一体どんな関係性なんだろう。どう聞けばいいのか私は迷っていた。入れ替わりの事はあんまり広めたくないし、それにこの先輩と香夜の関係性を知らないので下手して関係を壊しては申し訳ない。そんなことよりも部活の時間になぜこの人の家にいるんだろう。


「えっと、今突っ込むところだよ?なんか相談があるとか言われたから部活を休んで呼んだけど、今日なんか変じゃないか。ほんとどうした?」


そうだったんだ。ってか部長のはずなのにそう簡単に休んでいいのかな?。まあ体調が悪ければ休むなとは言えないだろうけど。香夜も次期エースのはずなのに休んでまで何を相談したかったんだろう?。それよりもこの状況どうしよう。


「えっと…。」

「話しにくいなら、ゆっくりして行けばいいよ。どうせ今日親帰ってこないし。」

「お仕事?」

「親父は仕事、母はどっかで飲み会らしい。まあいつもの事だから。」


えっといつもの事と言われても、知らないんだけど。香夜は知っていたのかな?


「まあゆっくりして行けばいいよ。じゃあ風呂行ってくる。」


そう言うと、男子バスケ部部長は部屋を出ていった。私を残して風呂はいって来るって私を信用しすぎなのでは。まあ今の私は香夜なんだけど、やはり香夜とはそういう中なのかな?話している感じそうは思えないけど。ただ女性に優しいだけなのかな?


「どうしよう…。」


部屋を漁るのも気が引けるし、何もせずに出てくるのを待つ事にした。20分過ぎ男子バスケ部部長は出てきて部屋に戻ってきた。


「どう、話せるようになった?」

「…」


私は男子バスケ部部長の姿を見て咄嗟に目を背けた。下がタオルで上半身裸…。


「どうしたの?」

「どうしたって…その姿…。」


男子バスケ部部長は自分の姿を見て納得したような感じの雰囲気を出した。


「あぁ俺の裸を見て興奮したんだ。」

「そんな事ある訳ないじゃないですか!女性の前で裸姿はどうかと思いますよ!」

「そんな強気で言わなくても…。それにしてもお前って本当に香夜か?お前らしくないな。」


香夜らしくないってどういう事?私は男子バスケ部部長と香夜の関係なんて知らない。それに本当の香夜のことだって良く分からない。


「私らしくないって?」


少しとぼけるような感じに言ってみた。


「香夜って先輩に対しても丁寧じゃないし、少し失礼だけど親しみやすい奴だなと思っていたが、ここまで丁寧に言われたりしていると今までの印象が崩れてなんかお前らしくないなって思ったんだ。」


香夜って先輩に対してもタメ口だったのか。今更タメ口で話しても無駄だろうな。


「こんな私って良くないですか?」

「急に何言っているの?それにその言い方だと大抵の男は誘われていると勘違いしてしまうけど。」

「あ、いえそんなつもりで言ってないです。」


少し焦った。先程言ったように男子バスケ部部長と香夜との関係を私は全く知らない。もし恋仲であれぱここは否定しない方が良かっただろう。でも私はこの人のことをよく知らないので流石に否定せざる得ない。それに何故か接近してきてる。私はベットで布団を足にかけたまま座っていたので姿勢を崩して避けた。


「なんか仕草がいつもより可愛いよね。少し興奮してきたかも…。」


いやいやちょっと待って。急にかなり接近してきているんだけど、手を肩に乗せられて私もしかして…。


「抵抗してきていいんだよ。しないの?」


私はこういう時抵抗できない女なんだなと理解した。先輩の目が恐ろしく感じて恐怖のあまり動けない。


「えっと…。」

「しないのならいいんだよね。」

「いや…。」


私はそのままベットに押し倒されて襲われてしまった。30分ぐらいが経ち、先輩は落ち着いたのか私から離れた。あそこが熱い。


「なんかごめんな。まさか泣いていたなんて…。」

「えっ…。」


私は泣いていたことに今気づいた。痛かったのは覚えているが、何も抵抗できずに襲われていたためだろう。先輩も夢中になっていて気づかなかったのだと思う。


「俺どうかしていた…ほんとまじでごめんな。」


先輩は土下座して謝った。私はベットの上に座っていたため見下す姿勢になった。先輩に対してさすがに失礼のような気がした。


「顔をあげてください。抵抗できなかった私にも問題後ありますから。」


多分私の問題はそれほど大したことではないのだろうけど。ふと時計を見ると入れ替わってからそろそろ2時間経とうとしていた。


「俺ちょっと下に行って頭冷やしてくるから。」


そう言うと、先輩は走って部屋から出ていった。


「やばい、眠気が…。」


私は布団を挟むように体を折りたたんだ状態で眠ってしまった。そして目が覚めると私の体に戻っていた。目の前には両親がいて自分の部屋ではなく、リビングの椅子に座っていた。


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