次の日の入れ替わり…。
「おはよう香夜、今日朝練サボったのは何故?」
「いやぁ、昨日かなり疲れたらしくて熟睡してしまったんだよね。」
「しっかりしてよ、頑張れば1年生の後半の新人戦でエースとして試合に出られるんだからね。」
「わかっているよ…。」
話し声が聞こえた。どうやら今日のバスケ部の朝練をサボったらしい。やはり昨日のことは現実だったのだろうか?私は未だに起きたことを信じきれないでいる。暫くしたら話を終えて香夜が来た。
「おはよう由理。」
「うん、おはよう香夜。眠そうだね。」
「さっき他の友達にも言ったけど、昨日の練習がきつくてね。」
「大変だね。」
「そうなのよ。あれなんか今日はいつもに比べて積極的に話しかけてくるね。」
「そうかな?」
香夜の言う通り、私はいつもより積極的に話しかけていた。騙しているようで気が引けるが昨日の事少しでも口に出さないかと。
「やっと私を信頼してくれたのかな?」
「いつも信頼しているよ。」
「恥ずかしいこと簡単に言わないでよ〜。」
香夜はいつもと変わらないノリだ。いや、いつも繰り返していたとしたら変わらないのは当然かもしれないが。
「だって信頼しているからこうやって話しているんだよ。信頼してなければ話したりしない。」
「それもそうだね。」
本当の事は言えないので信頼で貫き通した。信頼しているのは確かだけどね。
「いつも部活帰りは何しているの?」
私は回りくどい事をせず、直球勝負に出た。
「家でのんびりスマホで遊んでいるよ。急にどうしたの?」
「私って部活やってないから部活やっている人が帰りは何しているんだろうって気になってね。」
こんな事が通じるのだろうか?なんで気になったのとか言われたら返す言葉がない。
「そうなんだ。部活やっていてもやってなくても大して変わらないと思うよ。」
まあここで本当の事を漏らすようなマネは流石にしないかと私は思った。でも入れ替わった事が夢だったらスマホで遊んでいる事が事実なのかもしれないけど、正直夢であって欲しいと思う。香夜がそんな事をするとは到底思えないのだから。
「部活やった後は疲れるから何もしないのは当然か。」
「そりゃあそうだよ。」
どうやって聞くか私は迷った。直に聞くと入れ替わった事がバレてしまう。いや、もうバレているけど言わないだけなのかもしれない。言えない理由は、入れ替わりの話をしてもし、その相手が入れ替わった人だったら自ら昨日した事をばらしてしまうきっかけを作ってしまうかもしれないからだろう。
「もう時間だし、席に着こう。」
「そうだね。」
結局、昨日の事は聞けずにホームルームが始まり今日の学校生活が始まった。そして学校が終わり私は家に帰宅した。お母さんと少し会話した後部屋に行って昨日のことを考えた。入れ替わらないように香夜の事を気にしないように気をつけながら。
「結局、聞き出せなかったな…。正直気になるけど、気にしたらまた入れ替わってしまうだろうし、いまはまだ部活の時間だから入れ替わったら私がバスケをしなくてはならないし、さすがに私は運動音痴だからしたくない。」
そう、私は運動音痴。いまもし部活中の香夜と入れ替わりでもしたら、私がバスケをする事になってしまう。チームメイトからどうしたのとか気にされたら後々香夜に迷惑をかけてしまう。それだけは避けなければ。
「どう聞き出そうかな…。いや、聞き出すのは諦めた方がいいのかな?香夜って普段からあんなことしているのかな?あ、考えてしまった。」
私は馬鹿だと思った。人の事を考えてしまうと入れ替わるのにギリギリなら何とかなるとか甘い考えは通用しないのに。今入れ替わると部活か…。香夜に迷惑かけてしまうなぁと私は思ったが、眠くなってしまった。
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