第19話

 たいとうたる陽光がおうかつしよくくさむらに降りそそいでいる。

 りゆうりようたるくんぷううつそうたる万葉をあいしてさざめかせている。

 さんらんたるそうきゆうのもとにわたしはちよりつしていた。とくしんけいやくをむすんだのちにりんをつづけたわたしはきよおくりよの最後となるであろう石器時代の人間へと転生した。こつかつしよくじゆうをまとってきようじんなるせきぞくをかまえながらさつそうほんそうしているひやくじゆうの群像をたんたんかんしていた。理想郷のようであった。げんしゆくなるちつじよの存在しない大地にはこんとんたるとうそうしようけつをきわめながらも生命のぶきうずいていた。きよおくの人類がおかさざるをえない罪はなくこうまいなるれいちようるいであるかぎりまぬかれないばつもなかった。わたしはほうさせた。ひようかんなる儕輩たちをせんどうしたわたしはどうもうなるライオンへとむかってそんきよみながらまいしんしていった。ぎようなるこんぼうえいなる石器のみをいのちづなとしてまんしんそうのわたしたちはかいなるライオンとかくとうりひろげた。がいをあげた。だんまつとなった儕輩を背負ったわたしはライオンのししむらかくとくした猛もさたちとともにどうくつへとかんしていった。

 めいもうたるどうくつではふくいくたるししむらいぶされている。

 わたしたちはがいせんした。かいなるライオンのししむらかくとくしてきたわたしたちはしようしやなるかいがらそうしよくひんをまとった女性たちにかんげいされた。だんまつとなった儕輩の延命をじゆじゆつにゆだねたわたしはあんたんたるがんぼうの『ちんもくの子』にきようどうされてどうくつからけだした。もくなためにわたしにだけちようあいされていた『ちんもくの子』はうつそうたる密林をまいしんしてさんろくどうくつへとりこんでいった。わたしはもくげきした。めいもうたるどうくつへとゆうどうされたわたしは悲劇的なる歴史のぜんぼうちようこくされたへきとのかいこうを果たした。らいかいたるいわはだせんじようちようこくされた人類の運命はけんらんたるすいろーていこくにてかいこうしたときとは結末がへんぼうしていた。ぼうぜんとしていたわたしはほんぜんとさとった。『ちんもくの子』がわたしのためにこのへきちようこくしてくれたのだと。『ちんもくの子』は悲劇の歴史がひようへんすることを熟知していると。『ちんもくの子』はすでにわたしよりもえいごうりんを体験していると。異常をさとった。そうなるがんぼうの『ちんもくの子』はほうはいたるふんちようこくしたらしいへきめんを指さしている。しんなる『ちんもくの子』のおもわくをさとったわたしは最愛の儕輩たちを救済するためにどうくつへとほんそうした。大地がしんとうした。りようえんなるさんろくへと非難したわたしたちはたるこうほうかられんの狂炎がふんしゆつするしゆんかんをかえりみた。ごうぜんほうかいしたさんてんからはがん漿しようがほとばしりせんかんたる大河のようにばんこくの住居をみこんでいった。

 あいたいたる火山ごみによって大地はめいもうとしている。

 わたしたちはとんざんしていた。きよおくの人類の運命がちようこくされたどうくつへとれこみほうはいたるふんによるおうちんせいされるまでほうようしあっていた。めいもうたるどうくつを顧眄したわたしは異常をさとった。ゆううつそんきよまっていた『ちんもくの子』のかみかくしをさとりもうろうたるえんのなかの世界へとまつしぐらけだしていった。ふんしたこうほうへととうたつした。たる岩石にまいぼつした磽确のようなやまはだにはしつこくがん漿しようのようにえんえんさんてんをめざす行列があった。しようじようの血潮でがんぼうそうしよくしたひとびとは神秘的なる『ちんもくの子』をきようどうしてふんこうへむかっているようだ。わたしはさとった。しようけつをきわめたおうしたひとびとはこうまいなるれいちようるいりようする存在をにんしきしたのだと。天地を支配する『至高者』をちんこんするためにるいじやくなる肉体の『ちんもくの子』を罪人としてせいにするのだと。『めつの神』をにんしきしたときに『罪』は誕生したのだと。わたしはばくしんした。あんたんたるがんぼうのひとびとへとしゆうをかけて最愛の儕輩である『ちんもくの子』をぜんだつかんした。めいもうたるどうくつへと『ちんもくの子』をせいかんさせたわたしはとくしんの罪人としてばんこくの猛もさきんばくされてしまった。

 れんがん漿しよう=マグマがごうぜんふつとうしている。

 わたしはとうはんさせられた。あつてきなる猛もさたちにきんばくされたわたしはめいもうたるふんえんしようりつしているさんてんへとゆうどうされた。わくてきなるじゆじゆつたちがえんの神にとうしたのちにあんたんちんもくしていたわたしはふんこうへととされた。そくはしなかった。ごうぜんついらくしながらもたるやまはだわしづかみにしたわたしはあいたいたる暗雲をぎようしてちんもくしながらじゆした。めつの神よ貴方は存在するのですかと。めつの神よ救済にせよてんばつにせよわたしに物語りたまえと。わたしはさけんだ。るいじやくなるいんこうしんとうさせて言葉にならないほうこうをあげた。めつの神よわたしたちの人生そのものがてんばつであるのかと。わたしたちは人生という罪名を背負ったがゆゑに人生というてんばつをくだされねばならぬのかと。ちからきた。ぎようなるりよううでけいれんしはじめたわたしはれんがん漿しよう=マグマがうずいているふんこうへと転落していった。

 しやくねつがん漿しよう=マグマがわたしの肉体をほろぼしてゆく。

 かいじんに帰する肉体のなかでたましいだけはとうけつしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る