第16話

 白銀の太陽はさんらんと君臨していた。

 かいれいなるよーろつの都市にてわたしはそうきゆうぎようしていた。

 ろうははじまっていた。そうなる物理学者としてのしゆうえんをむかえたわたしはけんらんたる文芸復興=ルネサンスによってらんじゆくした十六世紀のりあにてせいされた。きよおくの人類の歴史をしようめつさせんと決意していたわたしは神聖なる預言者の真実を希求するためによーろつほうこうしていた。真実へのやくしようあくした。独立ろう者としてこうかんの書物をしようりようしていたわたしはへいそくしたほうけん時代かららん西の修道院にとくされていた書物とかいこうした。すいりすときようたんしやによる旧約聖書のてんであった。れいなるヘブライ語のままとうしやされたてんには神秘的なる預言者のしようがいと受難がごうながらもじよじゆつされていた。わたしはかんをおぼえた。悲劇的なるたつけいによりじやくめつした預言者はすでにきよおくの人類の運命を支配する書物をかくひつしていたという。とうりんうんおうまでもがもうされた書物は神聖なる預言者からたんしやにゆだねられて愛蔵されているらしい。わたしは旅立った。わくてきなるりんうんおうをきわめてきよおくの人類の運命をしようあくせんとしてほうへとまいしんしていった。

 そうぼうたるおおうなばらきゆうてんがいまでさざめいている。

 よーろつ西せいたんたるるとがるへとわたしはとうちやくした。ろう者として襤ぼろをまとっていたわたしはなぜかかいなるしつこくのガレオン船の乗組員らにきようおうされることとなった。いわくわたしたちはあなたを待望していましたと。あなたをせいにしてしまったしよくざいとしてきようどうさせてほしいと。みようなるげいひんさいしんをおぼえながらもきよおくさざなみめいめつするびようまんたるうなばらへとわたしはばくしんしていった。ぼうばくたる世界をへんれきした。とううずひようびようたる大西洋をひようりゆうして感のまんするきゆうばくほうこうしていった。ごつかんふうれるたるぎんれいとうはんしてどうもうなるじゆうばつするめいもうたるとうしようにゆうどうはいかいしていった。ばんこくさいげつがながれていった。さんらんたる青春期からそうなる老年期まで神聖なる書物をしようあくするためにとうくつりよをつづけた。ろうしゆうえんをむかえた。れんえんたる太平洋にてたるがんのような諸島ににくはくしたはんせんけんらんたるごくさいしきくじらのようなかいなるれいじゆうそうぐうしてしまった。れいなるにじのようにそうかいからしようしたれいじゆうきゆうきよせんかいしたガレオン船をかいして海底へとちんりんしていった。わたしは危機にひんした。ごうぜんほうかいしたガレオン船とともにかいえんへといざなわれたわたしはこうまいなる乗組員らにきようどうされながらさんらんたる海面へとまいしんした。絶望的であった。きようあいなるガレオン船のざんがいへとわたしをゆうどうした乗組員たちはぜんたるがんぼうのままえいけつあいさつをおくった。いわくあなただけでもせいかんしてくださいと。四百年後の運命のしゆんかんまでせいかんしてくださいと。

 れいなる銀濤がわたしたちをけつべつさせた。

 世界の最果てのようであった。きようあいなるざんがいいかだとしてまいしんしていったわたしはだいなるるとがるぼうけんへんさんした地図にも存在しない諸島へととうたつした。ぼうばくたる世界の全域をへんれきしてきたわたしは絶海の諸島のいずこかにたんしやいんとんしていると確信していた。せいかんは絶望的であった。りようえんなるよーろつかんするすべのなくなったわたしはるいじやくなるろうこく使しながらえんはざさまっていった。めいもうたる樹海のけものみちにはきんじゆうほうこうだましてたるれんぽうけいこくにはばんこくへきれきが響とよめいていた。希望がかいえた。せんじんけいこくけられたつりばしとうしたわたしはたるようさいのようにしようりつしているゴシック建築のこうじようたいした。うつそうたるつたびこっているこうじようせつしようげきによってもほうかいしかねないほどにこうはいしていた。わたしは決断した。神聖なる書物を希求しながらさつばつたるふんまんする城内へとしんにゆうしていった。たまゆらいつしようがいささげたりよしゆうえんをむかえようとしていた。

 あいたいたる暗雲にらいていがほとばしっていた。

 城内はこうりようであった。ゆうすいたる礼拝堂はもうきんそうくつしておりしようしやなるていたくには万葉がそうせいしながらさざめいていた。さんらんたる生命のぶきかいでありどうもうなる魍魎すらせいそくしていないはいきよとなっていた。こうめいめつしていた。せいひつなるろうそくの光明がゆらめいている蔵書室にはけんたんなる虫にしんしよくされたおうかつしよくの巻物だけが愛蔵されていた。すいぜつめつしたらしい言語でしつぴつされた巻物はこうかんの書物をほんやくしてきたわたしでも題名さえ解読できなかった。わたしはさとった。神秘的なるじゆつらしいろうわくてきなるしつらしいおきあんたんたる蔵書室のかたすみにてしようをうかべつづけていた。いわくあなたがおとずれるのはわかっていましたと。あなたがたんどくしている巻物にすべてはしつぴつされていますと。わたしはあんした。神聖なる書物とのかいこうを確信したわたしは神秘的なるじゆつりんの真実をほんやくしてもらうこととなった。

 かくしやくたるじゆつせいひつなるだくせいほんやくをはじめた。

 すいの巻物の題名は『人間の罪名』であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る