第3話 AWにおけるステータスは、以下のようになっている
AWにおけるステータスは、以下のようになっている。
NAME:ユア
LV:1(0/0)
SP:10
LP:100/100
MP:100/100
STR:0
VIT:0
SPD:0
MIN:0
DEX:0
LUK:0
~アビリティ~
(なし)
~魔法~
(なし)
~スキル~
(なし)
~称号~
(なし)
NAME:名前。半角英数、日本語、記号を使用可能。名前被り可能。
LV:lv(現在exp/総獲得exp)。レベル(経験値)。総獲得expが一定の値になるとレベルアップ。レベルアップにつれて少しずつアバターの身体能力が向上し、またそれまでの経験によってステータスが増加する。expはあらゆる経験を通じて得られるポイントで、アビリティの取得や
SP:ステータスポイント。2の倍数のレベルになるときSPを2獲得。1ポイントごとに基礎ステータス(STR~LUC)を1ポイント増加させることができる。
LP:現在/最大。ライフポイント。LV1、またはVIT1ポイントごとに20増加。最大の10%を切ると『欠乏』の状態異常が強制付与され、0で『死亡』の状態異常へとランクアップする。『死亡』から60s経過する、あるいは『死亡』状態で身体の欠損が60%を超えた場合にリスポーンとなる。
MP:現在/最大。マジックポイント。LV1、またはMIN1ポイントごとに10増加。最大の10%を切ると『欠乏』の状態異常が強制付与され、0で『喪失』の状態異常へとランクアップする。最大の10%以上にMPが回復すると『喪失』は解除される。
STR:ストレングス。筋力を使用するような行動を繰り返すことで増加しやすい。アバターの筋力及び与えるダメージなどに関与する。
VIT:バイタリティ。体力を消耗するような行動を繰り返すことで増加しやすい。アバターのスタミナやLP、被ダメージなどに関与する。
SPD:スピード。素早い行動を繰り返すことで増加しやすい。アバターの速力及び行動速度などに関与する。
MIN:マインド。魔法など精神的な行動を繰り返すことで増加しやすい。アバターの魔法の威力やMPなどに関与する。
DEX:デキスタリティ。器用な行動を繰り返すことで増加しやすい。アバターの器用さやALVの上がりやすさなどに関与する。
LUK:ラック。幸運な経験により増加しやすい。アバターの乱数やイベントなどに関与する。
〜アビリティ〜
魔法やスキルの大元となる、アバターの有する能力を決定する項目。プレイヤーの選択により任意で取得するものと、プレイヤーの行動により自動で取得するものの2つに分けられる。レベルアップすると、それまでの行動によって取得可能アビリティが増える。ALVを有するものもあり、そういったものはそのアビリティの使用やEXPの消費によって強化・発展させることが出来る。
〜魔法〜
アバターの行使可能な魔法を参照する項目。魔法系アビリティの成長により取得可能。『系統』と『属性』『レベル』の3つの要素により分類される。
〜スキル〜
アバターに可能な技術を参照する項目。技能系アビリティの成長により取得可能。『分野』という1つの要素により分類される。
~称号~
プレイヤーの行動によってシステムから与えられた称号の一覧。中には特殊な効果を持つ者もある。
基本的なステータスの数値とアビリティを始めとした能力によってアバターの性能は決まる。初期設定では10ポイントのSPが与えられ、また任意のアビリティを4つまで無条件で取得することができるようになっている。
とくにアビリティはアバターの成長指針となる重要なもので、スペードの意外に分かりやすい説明を受けたユアはまずそれから決めることにした。
といってもその数は、初期時点ではかなりの数になる。本来であればレベル1時点で解放されないような一部のアビリティまでもを取得可能となっているからだ。
これはいちいちしっかり見ていると終わらないなと思いつつ数々のアビリティが並ぶウィンドウを眺めていると、スペードがウィンドウからぬっと顔を覗かせた。
『迷ってるならそーだんのっちゃうよー!』
「相談?」
『ゆあっちにじゃすとみーとなあびりてぃ探しちゃうよ!』
「じゃあ、お願いしちゃおっかな。」
どうどう?とわくわく覗き込んでくるスペードと、その向こうで同じくわくわくそわそわしている鏡のスペードに苦笑して、ユアは頷く。
とたん、スペードたちは待ってましたとばかりに表情を輝かせた。
『よっしゃー!じゃーいろいろお話聞いちゃうよー!』
そう言ってスペードは懐から手帳を取り出す。鏡の向こうのスペードもボイスレコーダーを手にしてこちらも話を聞く体勢らしい。その道具の差はなんなのか気になるユアだったが、問いかけを口にする間もなくスペードは続ける。
『んじゃーさっそく第一もーん!てでん!ずばり!ゆあっちって戦いたい?戦いたくない?』
「どちらかというと、戦いたい?一緒にやる人がいるから」
鈴は生産などに微塵も興味がないだろうと、ユアは確信している。
ユア個人としてはそこまで戦闘したいという思いはないものの、RPGをやるにあたってそれを避けるつもりもなかった。
『なるほどなるほどー』
ユアの答えにスペードはふむりふむりと頷きながらメモ帳になにやら記す。
それからぱっと顔を上げて質問を続けた。
『んじゃーぜんえー?こーえー?』
「後衛かな」
『攻撃か補助―!』
「んー、補助で」
『ほへー!ちなみに今なんもんめー!?』
「4問目」
『ぴんぽーんぬ!』
ひゅー!としきりに感心した様子で手を叩くスペードに、やっぱり鈴と思考回路が似ているなあとユアは思った。なにせこの手の第何問目クイズは鈴のお気に入りである。おかげですっかり問題数を数えるのが癖になってしまっており、おかげで即答できてしまったのだった。
『んじゃー、魔法かそれ以外!アイテムとかそーゆーの!』
「魔法使いがいいかな」
『回復ー?ばふでばふー?』
「あー……どっちも?」
『うごくかどっしり!』
「どっしりかな」
『むむむ!見えてきたぞー!』
きゅぴーんと目を光らせ、スペードは懐から取り出したメモ帳に猛然な勢いで何やら書き込みだす。
黙って眺めているた綾は、ふと、鏡の向こうのスペードがあわあわと慌てていることに気が付いた。ボイスレコーダーを見て『おーまいがっ!』となんとも大袈裟に嘆いている。どうやらスイッチを入れ忘れていたらしい。
「こっちのすっちんに見せてもらったら?」
『!それだー!』
『にゅ?しかたないなー!』
ユアの提案にばちこーんと指を鳴らして鏡からにゅっと身体を突き出してくるスペードに、鏡の前のスペードはやれやれと呆れた様子を見せながらも手帳を見せてやる。
同じ姿の少女があーだこーだと話し合っている姿は摩訶不思議な光景だったが、ユアは仲よさそうだなーなどとほのぼの眺めつつ、なんの気なしに鏡の向こうの自分にじゃんけんを仕掛けてみた。
普通に負けて、ユアは消沈する。
そうこうしているとやがて情報のすり合わせが終わったらしい、こんどこそボイスレコーダーのスイッチを入れたことを二人で確認したうえで、改めてスペードはユアに向き直る。
『よし!』
「なにか分かった?」
『次の質問だー!』
「あ、終わったんじゃないんだ」
『ここからが本番だー!』
そう言って、スペードは畳みかけるように次々問いかけた。
『じゃんじゃんいくぞー!海か山ならどっちー!?』
「どっちもあんまり?誘われたら全然行くけど」
『家か外―!』
「好きな人とならどこでも」
『このろまんちすとめー!好きなりょーり!』
「えっと……ああ、フレンチかな」
『じゃー好きなくだものー!』
「アンズ?」
『あまずっぺー!好きな色―!』
「……青色?」
『こくはくかー!?』
「いや、違うからね」
『ちぇー!じゃーすーとでゆーならどれ?』
「スペード」
『結婚を前提におつきあい!』
「しません」
『はくじょーものー!』
「ところでこの質問って何か関係あるの?」
『……もちのろんろん!』
「沈黙は雄弁だね」
『なんだよー!今なんもんめだこらー!』
「16」
『なんであってるのー!?』
驚愕に目を見開くスペードに、ユアは少しだけ自慢げに胸を張って見せる。
そんなユアに目をぱちくり瞬かせたスペードは、それからにっこりと嬉しそうに笑って手帳を投げ捨てた。鏡の向こうでも、スペードはボイスレコーダーをぽいすと投げ捨てていた。
『こんぐらっちゅれーしょーん!全問せーかーい!』
「わーい」
『そんなゆあっちにはごほーびだー!』
そう言ってくるりと回り、ずびしとユアを指さす。
『ぱんぱかぱーん!ゆあっちは称号『わたしのおきに!』をげっとしたー!』
「おおー」
スペードの言葉の通りに、表示されていたユアのステータスウィンドウに【わたしのおきに!】という新たな称号が記載されている。
【わたしのおきに!】
・わたしのおきに!なんかいろいろすごい!
説明文はそんななんとも適当なものだったが、ユアは心底嬉しいらしい、にこにこと笑って礼を言う。
「ありがと」
『へへー!末永くよろしくー!』
「うん。こちらこそ」
にへにへ笑うスペードとにこにこ笑うユア。
しばらく照れ照れしていたスペードだったが、鏡の向こうのどことなく不機嫌そうなスペードの咳払いに『おっと!』と気を取り直す。
『そんなこんなで!気になる結果はっぴょーだー!』
「わーい」
ぱちぱちと手を叩くユアの目の前で、スペードは『だかだかだか』と口でドラムロールらしきものを奏でながらくねくねと謎の踊りを披露する。鏡の向こうのスペードもノリノリだ。
『だだん!』
そして最後にポーズを決め、スペードは高らかに言った。
『結果はすぃーえむのあとで!』
「ええっ」
■
《登場人物》
『
・なんだかんだノリノリやんね。スペードに気にいられたみたいだけど、綾の方もスペードは超お気に入りになりました。出会ってしまえばそれでおしまいというタイプのふたり。正直この辺り一番あれなあれだなあと思うのですが、リメイク前からすらも予定に変更はないのです。
『
・鏡の向こうの世界なんてある訳ないじゃないですか(白目)。スペードに限らず管理者というやつは各々の方法で同時に複数存在できるので、プレイヤーの案内とかにも直接出張っていけるのです。まあだからなんだって感じですね。同時にふたり以上並べるとか個々に個性が微妙に違うとかいうのはスペード独特なので、プレイヤーからすると結構分かりにくい設定だったりする。知ったところで、という話ではありますが。
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