Movement:2-1『The year‐end』

-宮澤家-


唯「今年最後の今日もゆっくりするのかい?」

蛍「ああ。現にそうしてる」

唯「そうだけど、どこか行こうよ」

蛍「……お前なぁ」

唯「ふふ、なんだい」

蛍「他人ひとの家のこたつでぬくぬくしといて言える立場か?」

唯「君の温もりが身体の奥まで来ているよ……」

蛍「変な表現するな」


唯「こたつにミカンも言いけれど、これでは新年を迎えられないよ」

蛍「クリスマスパーティーの影響受け過ぎだろ」

唯「来年の抱負を宣言するイベントで告白するって斬新だよね」

蛍「まあ、確かにな」

唯「ボクも来年してみようかな」

蛍「誰にだ」

唯「ふふ、それは内緒さ」


舞「プロジェクションマッピング羨ましかったなぁ~」

蛍「パーティーは在校生しか参加できないからな……」

舞「私も絶対に御十時おととき入る~!」

唯「おや、それは楽しみだね」

舞「えへへ~その時は、唯先輩ですね♬」

蛍(ちょうど俺達と舞は入れ替わりだけどな……)


唯「両親は帰ってこないのかい?」

蛍「ああ。帰ってきたがってるんだけどな」

唯「そうなんだね。もうだいぶ会っていないのかな」

舞「ちょくちょく電話もしてますし、お土産送ってくれたりしますよ!」

唯「へえ、一度お会いしてみたいなぁ、

蛍「なんかおかしい変換をしている気がするんだが」

唯「気のせいさ」


舞「今年も今日で終わりか~」

唯「あっという間だったね」

舞「気づけばもう年末ですもんね」

唯「うん。舞さんは今年何が印象に残ってる?」

舞「なんと今年、身長がとっても伸びました!」

蛍「え、そうなのか」

舞「むっ、お兄ちゃん気づかなかったの?」

蛍「すまん。で、何cm伸びたんだ?」

舞「ふふふ……なんと、4センチ!」

蛍「マジか!?」

 (両手でピースしてるの可愛いな)

唯「……ダブルピースは良いね」

蛍「変なこと考えてるな?」


-年末歌合戦-


舞「あっ!」

唯「おや」

蛍「なんだ?」

舞「私の好きなアイドルが出てる!」

蛍「え、そんなのいたのか」

唯「有名だよね、この娘」

舞「大好き! 新曲踊れますよ~」

蛍「ま、マジか……」

 (知らなかった)

舞「~♪」がたがたっ

蛍「舞、こたつに入った状態で踊るな」


     *


唯「悪いね、晩ご飯までいただいて」

蛍「今に始まったことじゃねえだろ。気にすんな」

唯「それでもありがとうさ」

舞「あ、もうすぐトリですよ!」

唯「おや、本当だ」

蛍「……ってかもう数分で年越しじゃねえか!」

舞「あっ!」

唯「みんなでジャンプしようよ」

蛍「年越しの瞬間に地球にいなかったやつやろうとするな!」


~♪


蛍「帰らなくて平気か?」

唯「うん。親には言ってきてるよ」

舞「よかった~」

唯「隣の家だから、それほど気にすることではないけどね。それに……」

蛍「それに?」

唯「こたつから出られそうにない」

蛍・舞「た、確かに……」


     *


蛍「あ、そろそろだな」

舞「うん」

唯「だね」

三人「3、2、1……」

舞「わーあけましておめでと~!」

蛍「おう、おめでとう」

唯「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

蛍「ちゃんとしてるな」

唯「元日くらいはね。明日からはいつものボクさ」

蛍「一日だけかよ!?」


唯「さて、帰ろうかな」

蛍「年明けてすぐにか」

舞「えー! このまま初詣行きましょうよ~!」

唯「あはは、夜更かしは得意じゃなくてね……お昼頃にしよう。いいかな?」

舞「はいっ! お兄ちゃん、決まりね!」

蛍「あ、ああ」

唯「ふふ、それじゃあまたあとで」

舞「はーい!」

蛍「おう」

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