"Waltz of Winter"-白金円舞曲-

 Movement:1『Christmas eve』

-宮澤家-


  ピンポーン

舞「お兄ちゃん、唯さん来たよ~」

蛍「ん」

唯「やあ」

蛍「……なんだその格好」

唯「性夜イブだから」

蛍「字が違う!」


舞「うわー! 可愛いサンタさんだー!」

唯「あはは、恥ずかしいよ舞さん」

舞「私も着たかったなぁ~」

唯「ふふっ、舞さんなら間違いなく可愛いだろうね」

蛍「お前よりもな」

舞「お兄ちゃん酷いよ!」


蛍「ちょっと出かけてくる」

舞「はーい」

唯「舞さんも一緒に来ればいいのに」

蛍「料理の準備をするらしい」

唯「なるほど」

蛍「今からお腹を極限まで空かしておかないと……」

唯「あはは、楽しみであり、大変だね……」


     *


唯「イブと言っても、特にすることってないね」

蛍「そうだな。飯も妹が用意してるし」

唯「イルミネーションでも見に行こうか」

蛍「そうだな。明日は生徒会主催のパーティーもあるし」

唯「そうだね。プロジェクションマッピングがあるとかないとか」

蛍「らしいな。楽しみだ」


蛍「思ったより寒いな……お前平気か?」

唯「ふふ、ボクを誰だと思っているんだい」

蛍「ノースリーブミニスカサンタは寒いと思うんだが」

唯「……凍え死にそうだ。おまけに下は穿いてないからね」

蛍「そりゃそうだろうな! あと要らんおまけを言うな!」


蛍「とりあえずこれ羽織っとけ!」

唯「これ、君のジャケットじゃないか」

蛍「そうだ。ちょっと体温残ってるかもだけど……文句言うな」

唯「ありがとう。……ああ、君に包まれている……君のぬくもり……」

蛍「変なこと言うな!」


唯「君は平気かい?」

蛍「寒いけどお前よりはまだマシだ」

唯「ブルブル震えてるじゃないか」

蛍「大丈夫だって」

唯「……はい」

蛍「ん……!?」

唯「二人で羽織れば寒くないさ」

蛍「……礼は言わんぞ」

唯「ふふっ、むしろボクがお礼を言わなきゃ」

蛍「どういうことだ?」

唯「さあね」


唯「ほら、見てよ」

蛍「ん?」

唯「イルミネーション、綺麗だね」

蛍「気合入ってるな」

唯「寒くない?」

蛍「そっちこそ」

唯「ふふっ、なら大丈夫だね」

蛍「……」

唯「ねえ」

蛍「ん?」

唯「メリークリトリ――」

蛍「ストォォォォップ!」


唯「おや、なんだい?」

蛍「何言おうとしてんだ! バカ!」

唯「ふふっ、冗談だよ。メリークリスマス」

蛍「……ちっ……メリークリスマス」

唯「地味に、成立しちゃったけどね」

蛍「へ?」

唯「ふふ、なんでもないよ」


     *


舞「よーし完成~! お兄ちゃん達まだかなー」

舞「まさか七面鳥が五羽も用意してるなんて思ってないだろうし! ふふっ……」

舞「早く帰ってきて、お兄ちゃーん!」


     *


蛍(なんだろう、この悪寒は……)ぶるっ

唯「?」

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