Act:8『嘘ですごめんなさい、悲しいです』

-宮澤家-


唯「ボクもそれ、好きだよ」

舞「本当ですか! 美味しいですよね~♪」

蛍「おい」

唯「どうしたんだい?」

蛍「いつまでいるつもりだ」


舞「お兄ちゃん、なにその言い方!」

唯「大丈夫だよ舞さん、当たり前の反応だ」

蛍「和み過ぎだろ、お前」

舞「唯さんとは3年間も一緒にいるのに今更過ぎだよ」

唯「ボクとの3年間は遊びだったの!?」

蛍「変な言い方するな!」

舞「私との14年間は遊びだったの!?」

蛍「舞!? 被せるな!」


唯「良いボケだね、舞さん」

舞「えへへ、誉められちゃった」

蛍(仲良いな、こいつら)

唯「ん? どうしたんだいこちらを見て」

舞「きっと仲間外れにされて悲しいんですよ、お兄ちゃん」

蛍「そんなことはない」

舞「じゃあ唯さんと二人きりで話したいから席を外してもらえる?」

蛍「嘘ですごめんなさい、悲しいです」


-夕方-


舞「あ、もうこんな時間! 唯さん、ご飯食べてってください」

唯「おや、いいのかい?」

舞「はい! 明日はお休みですし、遠慮しないでください♪」

唯「じゃあ、お言葉に甘えて」

蛍「お、おい舞。別にこいつの分を余分に作る必要はないからな?」

舞「もう、なんでそんなこと言うの! お兄ちゃんひどいよ!」

蛍(嫌な予感しかしないんだよ……!)


     *


舞「お待たせしました~」

唯「おや、これは……」

舞「えへへ……まだまだ上手じゃないですけど、良かったら食べてください!」

蛍「はぁ……」

唯「見た目は充分綺麗で美味しそうだ。だけど……量が多いね」

蛍(だから言ったんだ……)


唯「いただきます。……うんっ、美味しいよ」

舞「本当ですか!? やったー」

唯「でも、ボクには少し量が多いかも」

舞「あれれ、そうですか?」

唯「うん。せっかく作ってもらったのに。申し訳ない」

舞「大丈夫です! お兄ちゃんが残りを食べてくれますから!」

唯「ああ、あの持ち前のスキル」

蛍「勝手にスキル扱いするな」


     *


蛍「うぷっ……ごちそうさま」

唯「おお……本当に全部食べ切った」

蛍「あ、当たり前だろ」

唯「ボクの分まで、ありがとう」

蛍「気にするな」

 (コイツの分含めたら五人前くらいか……)

舞「まあ、いつもより少なめだもんね、お兄ちゃん」

蛍「そ、そうだな……」

唯(いつもどれくらいなんだろう……)


     *


唯「お世辞抜きに美味しかったよ、舞さんのご飯」

蛍「そうか、伝えとく。舞も喜ぶだろ」

唯「お腹いっぱいなのに、送ってもらってごめんよ」

蛍「隣だからな。それに食後の良い運動だ」

唯「じゃあ手っとり早く運動しようか」

蛍「壁に手を当てて尻をこっちに向けるな。

  さっきまで下ネタ全然言ってなかったのに、急だな」

唯「それはそうさ。舞さんの前だったからね。ずーっと言いたくて仕方なかったよ」

蛍「オチ台無しだな!」

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