Chapter:4 "Winter"
Act:7『起きたかい?』
-宮澤家-
蛍「だーーー!!! わかんねえ!」
唯「あはは、本当に苦手だよね、英語」
蛍「先生の言葉が全て呪文に聞こえる……」
唯「意味を知らないとそう感じるだろうね」
蛍「お前は余裕そうだな、小テスト目前なのに」
唯「余裕に見えるかい? ボクは男性の部屋でソワソワしているよ」
蛍「それならいつもソワソワしてることになるだろうが」
唯「気づかなかったのかい?
いつも君の家にあがる時は失礼のないように勝負下着で来ているんだよ」
蛍「なんでだ」
唯「穿いてないことも多いのだが」
蛍「頼むからいつでも穿いててくれ」
唯「ふふっ、そこはご想像におまかせするよ」
蛍「想像するかよ」
蛍「チクショー、担任が英語教師だと本当に困るな」
唯「おや、どうしてだい。いつでも質問できて良いじゃないか」
蛍「あのなぁ」
唯「? ボク、おかしなことを言っているかな?」
蛍「自分が一体何がわかってないのか、わかんねえんだよ。
だから質問できねえんだ」
蛍「そのせいで、授業に関係ない時も緊張しちまうっていうか」
唯「あはは、後ろめたい気持ちみたいなものが出てしまっているんだね」
蛍「そうかもしんねえ」
唯「こうして集まって勉強をしているんだから、
少しずつ解決していこうじゃないか」
蛍「ああ、そうだな」
唯「どうして英語が苦手なんだい? 他の教科は特に問題ないのに」
蛍「うーん、やっぱり聴き慣れてないからかもな」
唯「呪文みたいに聴こえるって言っていたね」
蛍「そのせいで、なんというか、眠くなるんだよな」
唯「英語が睡眠導入の役割を果たしているのかい!?」
蛍「な、なんだよ。そんな語気強めて」
唯「とってもえっちじゃないか……」
蛍「……」
唯「おっと、すまない。口から体液が」
蛍「よだれって言え」
唯「よだれが……溢れちゃうっ」
蛍「変な言い方をするな」
唯「と、止まらないよぉ……」
蛍「やめろって言ってんだろっ」
唯「あはは、気を取り直してまずは読んでみようか、英文を」
蛍「読むのか?」
唯「うん。まずは読むこと、聴くことに慣れていかないと。
ボクが読むから続けて読んでみてくれるかい?」
蛍「ああ、わかった」
唯「それじゃあ……教科書のこの英文を。『――――――.』」
蛍「……え、お前発音良すぎないか?」
唯「そうかい?」
蛍「びっくりした」
唯「あはは、嬉しいなぁ」
蛍「えーっと……『――――――.』」
*
唯「『――――――.』」
蛍「……」
唯「……君の番だよ?」
蛍「……」
唯「……?」
蛍「……すぅすぅ」
唯「おや……眠ってしまったか」
蛍「……」
唯「ふふ、本当に寝てしまうなんて、面白いなぁ」
*
蛍「……ん」
唯「おや、起きたかい?」
蛍「ん……あぁ、すまん。寝ちまったか」
唯「ふふっ、漫画みたいにすぅっと寝ていたよ」
蛍「悪い……」
唯「ううん、気にしないで平気さ。次は小テスト対策をしよう」
蛍「あ、ああ」
-後日-
唯「やあ、テストの出来はどうだった?」
蛍「この前対策したとこほとんど出て驚いた。多分上手くいったと思う」
唯「それは良かった」
蛍「ああ」
唯「で、それは誰のおかげかな?」
蛍「えっ、なんだ急に」
唯「教えてよ。誰のおかげなのかな?」
蛍「……」
唯「……」
蛍「……へいへい、お前のおかげだよ、ありがとな」
唯「ふふっ、どういたしまして」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます