Movement:3『夏祭りにいこう』

-宮澤家-


唯「これで全部終わりかな?」

蛍「やっと終わったぁ~」

唯「ここ数週間ついつい遊んでしまって、宿題を後回しにしてしまったね」

蛍「終わってるやつが言う台詞じゃないだろ。

  とにかく、これで宿題は終了だ。ホッとしたぜ」

唯「そうだね。それじゃあ……ヤろうか」

蛍「何をだ。スカートに手をかけるな」


唯「もうすぐ夏休みも終わる。何か過ごした証を残したいんだ」

蛍「その流れで、どうして服を脱ぐ必要がある」

唯「それを……ボクに言わせるつもりかい?」

蛍「言わんとわからんだろ」

唯「君にけがされるということさ」

蛍「はっきり言うなお前!!」


舞「お兄ちゃん、唯さん、スイカ~」


蛍「ほーい」

唯「ほぼ毎日スイカを頂いている気がするんだけれど」

蛍「親戚の叔父さんが送ってくるんだよ。

  夏になると、食べられないくらいの量を何回にも分けてな」

唯「それにしても毎日は流石に大変だね……」

蛍「お前が毎日来てるからそう感じるだろ」

唯「ふふっ、そうとも言うね」


―居間―


唯「いただきます」

舞「どうぞー」

蛍「いただきます」

 (俺だけ量が多いな)

舞「はーい」

唯「……うん、美味しいね」

蛍「おう」

唯「食らえ、種マシンガン!」ぷっ

舞「きゃっ!」

蛍「ぬがっ! きったねえー!」

唯「妊め~」

蛍「おいっ!? てめえどさぐさに紛れて何言ってんだ!!」


唯「さて、そろそろ一度家に戻るよ」

蛍「ん、なんでだ」

舞「もーお兄ちゃん忘れたの? 今日は夏祭りでしょ!」

蛍「いや、そうだけども」

唯「またあとで」

蛍「なんで戻るんだ? このまま一緒に行こうぜ」

唯「いやぁ、あはは……」

舞「……空気読めないよねーお兄ちゃん」

蛍「え?!」


-夏祭り-


舞「唯さんまだかな~」

蛍「おい、二人で先に行ってよかったのか?

  ヤツの家の前で待ってりゃ良かったのに」

舞「お兄ちゃん、本当に唯さんが一旦お家に帰った理由、わかってないの?」

蛍「……さっぱり」

舞「はぁ……お兄ちゃんってヤバヤバだね」

蛍(ヤバヤバ……言い方が可愛いな)

舞「なにニヤけてんの」

蛍「え!? いやぁ、あはは……」


舞「そんなんだからお兄ちゃんは――あ、唯さん!」

蛍「やっと来たか……。――!!」

唯「やあ、少々時間がかかってしまったよ」

舞「わわー可愛いですね、浴衣!」

唯「は、恥ずかしいからやめてくれよ、舞さん……」

舞「照れちゃって~! ね、可愛いよね、お兄ちゃん?」

蛍「え……」

唯「……ど、どうかな?」

蛍「……まあ、可愛いんじゃねえの」

唯「……そ、そっか」

蛍「……」

唯「……」

舞「え、えーっと……そ、そろそろ花火始まるよー!」


-花火大会-


  どーんっ どーんっ


舞「うわー凄い!」

蛍「今のデカかったな!」

唯「うん、綺麗だね。……でも、悲しくなっちゃうな」

蛍「ん?」

唯「花火を見ると夏が終わる気がして……。もっともっと楽しみたかったな」

蛍「……来年も、またあるだろ。そんなことで悲しむなよ」

唯「……そうだね。……それにしても、綺麗だね」

蛍「そうだな」

舞「お兄ちゃん!」こそこそ

蛍「うお、なんだ」

舞「こういう時は『お前の方が綺麗だよ』って言うんだよ!」

蛍「い、言うか!!!」


-篠瀬家前-


唯「わざわざ送ってくれてありがとう」

蛍「お隣だからな」

唯「そうだね。送るって感じでもないか」

舞「今日は楽しかったです!」

唯「うん、ボクもだ。それじゃあ」


蛍「……さて、帰るか、舞」

舞「ねえ、お兄ちゃん……」

蛍「どうした? 急に深刻な顔して」

舞「私、すっごく気になることがあるの。聞いてもいい?」

蛍「なんだ?」

舞「唯さんが言ってた、『妊め~』って何?」

蛍(うわあああああああああああああ……)

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