Movement:3『出し物の整理』

-朝-


蛍(結局昨日はとんでもないことになっちまったな……。

  いつもなら先に家の前で待ってるはずなのに、待ち合わせにも遅れてるし)


唯「やあ。おはよう」

蛍「ん、来たか……って、なんだその顔!?」

唯「あはは、ちょっとね。昨日は眠れなくって」

蛍「何があった」

唯「な、ナニも!」

蛍「その返しやめろ!」


唯「ふふ、いつも通りのボクだろう? ちょっと寝不足なだけさ」

蛍「顔の違和感がスゴいんだが」

唯「君がボクの顔をよく見てくれているからわかるんだよ。嬉しいね」

蛍「う、うっせー」

唯「さて、行こうか。……あうっ」ごんっ

蛍(電柱に頭をぶつけた!?)


-教室-


唯「学校到着、だね」

蛍「おい、お前絶対やばいだろ」

唯「そ、そんなことないよ。いつも通りビンビンしてるよ」

蛍「それを言うならピンピンだろ。変な効果音使うな」

唯「でも、君も朝はビンビンだろう?」

蛍「変なことを聞くなバカ」

唯「まあ、ボクはビンビンさせるものがないからね……んしょ……」

蛍「……おい?」

唯「……すぅすぅ」

蛍(机に座った瞬間に寝ちまった)


蛍(そういえば、こいつが寝てるのって珍しいな)

唯「……」

蛍(まあこれはこれで、静かでいいな。

  さて、授業が始まるまで出し物のことでも考えとくか)


  キーンコーンカーンコーン


唯「……」むくり

蛍(チャイムと起きたな)

唯「……」ごそごそ

蛍(淡々と授業準備を始めた)


-授業中-


唯「……」かきかき

蛍(授業中はいつも通りだな)

唯「……」かきかき

蛍(真面目にノートを写して……ん?)

唯「……」

蛍(うわ、字がまともに書けてねえ!)

唯「……ふふふ」

蛍(急に笑い出した……マジで危ないな)


-放課後-


唯「さあ、今日は何を決めるんだい?」

蛍「今日は何もない。帰るぞ」

唯「え、どうしてだい?」

蛍「お前が寝てる間に今日決めることはあらかた片付けといた」

唯「そうなんだ。凄いね」

蛍「お前は今日家に帰ったらゆっくり休め。いいな?」

唯「……うん。君が言うなら、ボクはそうするよ」


-宮澤家-


舞「お兄ちゃん電話ー」

蛍「ん、誰からだ?」

舞「唯さんからだよ」

蛍「へ……もしもし?」

唯『やあ』

蛍「お前、今日はゆっくり休めって言っただろ」

唯『そのつもりだったんだけれど、さっきまで寝ていてね。

  普段寝ない時間にたくさん寝てしまったせいか眠れなくて……。

  眠くなるまで、話し相手になって欲しくて』

蛍「……わーったよ」

蛍(眠れなくさせたのは俺の責任でもあるしな……。

  ……俺の責任、なのか?)


-次の日、朝-


唯「おはよう!」

蛍「……」

唯「おや、顔色が悪いね。どうしたんだい?」

蛍「昨日遅くまで電話したからだろ! こっちはめちゃくちゃ眠いんだ!」

唯「ふふっ、寝不足は大変だよ? 性欲の減退に繋がる」

蛍「そこは関係ない! ってか、なんでお前は平気なんだよ!?」

唯「さあ、どうしてだろうね?」

蛍「ちくしょー……」

唯「ふふっ、それじゃあ行こうか」

蛍「はぁ……」

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