Movement:2『出し物決め』
-放課後-
蛍「あれ」
唯「やあ。おかえり」
蛍「先に帰ってても良かったんだぞ」
唯「そういうわけにもいかないよ」
蛍「なんでだ?」
唯「たった一人の教室に戻ってきた君が……ナニをするかわからないからね」
蛍「しねぇよ、何も」
唯「まだ出し物は決まっていないけれど、大丈夫なのかい?」
蛍「そうなんだよなぁ……実行委員の集まりでも今週中には決めて
報告するようにって言われた」
唯「じゃあ今度の帰りのホームランで決める予定かな?」
蛍「ホームルームな。珍しいボケだな」
蛍「そういえば一つだけ疑問があってな」
唯「世の中たくさん疑問があるのに、一つだけなんて羨ましいね」
蛍「揚げ足を取るな。そりゃあたくさんあるけど、身近な疑問があるってことだ」
唯「わかってるさ。素朴な疑問だね」
蛍「会議は毎回生徒会の人が来るんだけど、いつも副会長しか来ないんだよ」
唯「あの、身長の高い人かい?」
蛍「そう。その人以外の生徒会って見たことあるか?」
唯「うーん、朝会で前に並んでいる人はいるけれど、誰が誰だか。
高校に入ってから紹介も特にないね」
蛍「だよな。謎だ……」
唯「それじゃあ、帰ろうか」
蛍「ああ。……ん、それ」
唯「これかい? 君に買ってもらったストラップ」
蛍「バッグにつけたのか」
唯「そう。でもちょっと迷ったんだ」
蛍「なんで?」
唯「つけちゃうと、どうしても汚れちゃうから」
蛍「……できればつけてて欲しいぞ、俺は」
唯「そっか。……じゃあ、つけておくよ」
蛍「……」
唯「……ふふっ」
蛍「なんだよ」
唯「なんでもないよ。」
-次の日、教室-
蛍「それじゃあ一年C組の出し物はモダン食事処に決定で!
賛成の方は拍手をお願いします」
パチパチパチパチ
*
唯「うーむ、食事処といっても、いろんな種類があるよね。
更にそこにモダンまでついているのは……」
蛍「モダンがなんでついてるのかわからんな……。
学園祭の定番っていうならやっぱりたこ焼きとか焼きそばとかだな」
唯「そうだね。でも普通の食事処じゃ人は来てくれないよ?」
蛍「いつになく普通なことを言うな」
唯「買ってくれた人におさわり券をつけよう」
蛍「間違いなく怒られるな。色んな方面から」
*
唯「色々と考えてるうちに、もう空が真っ赤だ」
蛍「え? うお、そうだな」
唯「綺麗だね。机が反射して、教室まで彩られている」
蛍「お、おう……」
唯「ボクもなんだか……」
蛍(な、なんだ急に……)
唯「下が真っ赤に。これは生理だね」
蛍「んなこと言わんでいい!!」
唯「あはは」
蛍「ったく……」
唯「そんなに怒らないでくれよ。もちろん冗談さ」
蛍「冗談でも言うなよ……」
唯「でも今日じゃなくて良かった」
蛍「は?」
唯「ノーパンでアレが来ちゃうと、本当に大変だから」
蛍「お前……想像を絶するほどの痴女だな!」
唯「あああ、そんなこと言われると嬉しくて感じちゃうよっ!」
蛍「よ、寄るな変態!」
唯「逆効果になるとわかっているのに、ボクが悦ばせ過ぎだよ」
蛍「他になんて言えばいいんだ……」
唯「ふふっ、それもそうだね」
蛍「はぁ……ったく、そういうとこがなきゃ可愛いのに」ぼそっ
唯「……」
蛍「……ん?」
唯「か、可愛いって……そ、そんな……」
蛍「そ、そういうとこがなきゃって言ったぞ!?」
唯「……そ、そっか……あはは……」
蛍(急に顔が真っ赤に!?)
-下校途中-
唯「……」
蛍「……」
唯「……」
蛍「……」
唯「あうう……」
蛍「い、いきなり頭を抱えるな!」
*
蛍「ほら、家着いたぞ」
唯「う、うん」
蛍「え、えーっと」(何か言葉をかけねーと……)
唯「……さ、さよなら!」
蛍「あ、お、おいっ!? ……行っちまった」
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