"School Festival Rhapsody"-学園祭狂騒曲-

 Movement:1『買い出し』

-放課後-


蛍「うちの学校は中間テストが終わって早々、学園祭の準備が始まるのか」

唯「そのようだね」

蛍「放課後残ったりして準備するんだよな……はぁ、めんどくさいな」

唯「おや、君が言うのはおかしいんじゃないかな?」

蛍「なんでだよ」

唯「学園祭実行委員なんだから」


蛍「委員会決めで誰も手を挙げなかったからな」

唯「この学校の学園祭は凄く力が入ってるって有名だからね。

  みんな怖気づいてしまったんじゃないかな」

蛍「今日の朝会の生徒会、意気込みからして気合入ってたもんな……」

唯「うん。例年以上に盛り上がるかもしれないね」

蛍「めんどくさいポストになっちまったな。やれやれだ」


蛍「今から実行委員で集まりがあるから行ってくる」

唯「そうなんだ。行ってらっしゃい」

蛍「……待ってなくていいからな」

唯「そうか。それじゃあ、ボクは机の角で催したら帰ることにするよ」

蛍「真っ直ぐ帰れ」


-委員会・終了-


蛍「……ふう、緊張したな」

唯「あ、帰ってきた」

蛍「なんだ、待ってたのか」

唯「君がバッグを置いていくから、心配でね」

蛍「あ……悪いな」

唯「いえいえ。それにしても、長かったね委員会」

蛍「色々話し合うことがあってな。ほら、これ」

唯「おや、なんだいこの紙? 何やら色々と書かれているね」

蛍「さっきの委員会で、俺は買い出し係に任命されたんだ。

  で、この紙に書かれてるのは用意する物だ」

唯「……用紙にめいっぱい書かれているね」

蛍「ああ……」


唯「良かったら、一緒に買い出し手伝うよ」

蛍「いいのか? 結構多いぞ」

唯「人手は多いほうが良いだろう?」

蛍「確かにそうだな」

唯「ふふ、じゃあ決まりだね」


-週末・ショッピングモール-


唯「やあ」

蛍「おう。悪いな、買い出し手伝わせちまって」

唯「君とボクの仲じゃないか。かまわないよ」

蛍「ならいいんだが」

唯「それじゃあ……まずは何を買おうか?」

蛍「バナナ」

唯「ば、バナナ!?」

蛍「なぜ目を輝かせる!?」


唯「ど、どうしてバナナが?」

蛍「これは正直必要あるのか良くわからないんだが」

唯「まさか、『バナナ咥え込み選手権』なるいかがわしい行事が開催されるとか!」

蛍「違う。ワクワクするな」

唯「あったら迷わず参加してたのになあ。……それで、どうして必要なんだい?」

蛍「生徒会長が食べたいらしい」

唯「……え?」


唯「……あはは、それは冗談だろう?」

蛍「本当だ。副会長が言ってた」

唯「そ、そうなんだね……」

蛍(珍しく驚いてるな)

唯「まさか会長が咥えたかったとは」

蛍「おい、言い方」


-お店-


唯「これなんか良いんじゃないかな?」

蛍「そうだな、値段も悪くない」

唯「……おお!」

蛍「ん、何見てんだお前」

唯「……避妊はしないとダメだからね?」

蛍「んなもん買わねえよ!」

唯「そんな、生はダメだよ! 責任、取ってくれるのかい……?」


  ひそひそひそ……


蛍「お、おい! 人が見てるだろ! バカ!」


     *


唯「ふふ、買い物は楽しいね」

蛍「ったく、色んな物にいちいち反応するなよな」

唯「ついつい……敏感だからね」

蛍「お前が言うとろくでもなく聞こえるな……レジ行ってくるぞ」

唯「うん。お願いするよ」


蛍「……よし、ちゃんと書いてある個数分買ったな。

  ……あれ、アイツどこ行った……?」

唯「……」

蛍(いたいた)

蛍「おーい」

唯「わっ」

蛍「なんでそんなに驚く」

唯「おっ、お会計終わったのかい?」

蛍「ああ。……今何見てたんだ?」

唯「いや、別になにも。気にしないで」

蛍「? ……そうか」


唯「ふふっ、こんなに……おっきくしちゃって……」

蛍「デカいレジ袋がぱんぱんだな」

唯「苦しそうだね」

蛍「ツッコまんぞ」

唯「おや。……何か持とうか?」

蛍「いや、平気だ。なんとかなる」

唯「そうか。力持ちだね、君は」

蛍「……あ」

唯「? どうしたんだい」

蛍「買い忘れた物がある。ちょっと待っててくれ」

唯「え、あっ、ちょっと。……買い忘れあったかな?」


     *


唯「まだかな……荷物置いていけば良かったのに。あっ」

蛍「はぁはぁ……すまんすまん」

唯「ううん、平気さ。それで、何を買い忘れたんだい?」

蛍「……ほらよ」

唯「えっ、これは?」

蛍「さっき見てただろストラップ。これ、欲しかったんじゃないのか?」

唯「確かに良いなと思ったけれど……ボクのために?」

蛍「……だったら悪いかよ」

唯「とっても嬉しいよ。ありがとう!」

蛍「……ほ、ほら、帰るぞ」

唯「うんっ! ふふふ……」

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