Act:2『朝ご飯できてるよ』

-宮澤家-


蛍「ふわぁ……おはよう」

舞「おはようお兄ちゃん。朝ご飯できてるよ」

蛍「悪いな、いつもいつも」

舞「大丈夫だよ。もう慣れちゃったし」

蛍「じゃあいただきます」

舞「どーぞどーぞ」

蛍(……いつも通り、俺の分だけで三人前くらいあるな)


舞「どう?」

蛍「美味しい」

舞「やったー!」

蛍「近頃、本当に上手になってきたな」

舞「えへへ、そうかなー」

蛍(あとは量を適度にしてくれると有り難いんだけどな)


     *


蛍「ご、ごちそうさま……」

舞「おそまつさま! はい、お弁当」

蛍「あれ、新しい弁当箱か?」

舞「うんっ、二段弁当じゃおかず余っちゃうから三段の弁当にしたの!」

蛍「お、おう……」

舞「お兄ちゃんにたくさん食べて欲しいから……」

蛍「そ、そうか……!」

舞「えへへへ~……」

蛍(……くそっ、可愛いっ!!)


蛍(朝食で既に腹いっぱいなのに、昼も同じくらい多いって……)

舞「浮かない顔して、どうしたの?」

蛍「あ、いやあ、弁当が楽しみでさ!」

舞「まだ朝だよ? ふふふっ」

蛍「あ、あはは」

舞「お兄ちゃんは出された物を綺麗に食べられることが取り柄だもんね!」

蛍(俺の取り柄ってそれだけなのか……) 


-登校中-


唯「それで、また弁当が大きくなったのかい?」

蛍「そう。最初は一段、その次は二段」

唯「そして、今回で三段」

蛍「正直、全部食えるかわからん」

唯「でも、食べられると思うよ君は」

蛍「ああ、それが俺の取り柄だからな」

唯「取り柄?」

蛍「ああ、俺の取り柄は『出された物を綺麗に食べること』らしい」

唯「へえ……」

蛍「なんだよその顔は……」

唯「出されたモノを綺麗に食べる……ねぇ」

蛍「何考えてんだお前は」


-教室・昼-


蛍「ん、お前、今日パンだけか」

唯「うん」

蛍「それだけじゃ足りないだろ。分けてやるよ」

唯「遠慮しておくよ。

  舞さんの愛情溢れるご飯をボクが手をつけるべきじゃないしね」

蛍「ちっ……」

唯「ちゃんと食べなきゃ、舞さんに失礼だろう?」

蛍「わーってるよ」


唯「ごちそうさま」

蛍「え、もうか」

唯「まあ、パンだけだしね」

蛍「俺もそろそろ……ごちそうさま」

唯「えっ、もうかい?」

蛍「まあな」

唯「すごく速いね」

蛍「別に普通じゃねえか?」

唯「この速さ、早漏だね」

蛍「ちげえよ……」


-宮澤家-


舞「おかえりなさい、お兄ちゃん」

蛍「ただいま。……おっ、今日は唐揚げか?」

舞「うん! 鶏肉が安売りしてたの」

蛍「あ、買い物も行ってたのか。」

舞「安かったから、ちょっと買い過ぎちゃったけど」

蛍「ヘ……買い過ぎた? ……うわっ! なんだこの山盛りの唐揚げ!?」

舞「お兄ちゃん唐揚げ好きでしょ?」

蛍「それはそうだが……」(だとしてもこの量は……)

舞「食べてくれる?」

  きゅんっ

蛍「……あったりまえだろー!!!」

舞「わーい!」

蛍(……舞にはついつい甘くなっちまうな……明日胃もたれしませんように)

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