あんたいとる！-untitled!-

Act:6『ボクにとっては大切な場所だからさ』

-宮澤家-

唯「やあ」

蛍「……なんだこんな夜中に」

唯「星が綺麗だから、一緒に散歩でも」

蛍「星？」

唯「そう☆　星さ☆」

蛍「テンション高いな」

唯「ふふ、今日はとっても気分が良いんだ」

蛍「そうかい」

唯「それで、一緒に行ってくれるかな？」

蛍「あんまり夜遅くまでは無しだぞ。舞が心配するからな」

唯「お兄ちゃんが非行に走っちゃった……！」

蛍「それ、舞の真似か？」

唯「ううん、ボクが君の妹だよ、お兄ちゃん♪」

蛍「やかましい！　行くならとっとと行くぞ」

-宮澤家前-

唯「ほら、外に出ただけで明るいだろう？」

蛍「おお、本当だ」

唯「ふふっ、じゃあ行こうか」

蛍「どこに行くんだ？」

唯「な、中で……イって」

蛍「黙れ」

-往路-

唯「ふふっ」

蛍「なんだ？」

唯「いやあ、嬉しくてね」

蛍「何が」

唯「君がいてくれるから、夜道も歩ける」

蛍「？」

唯「世の中物騒だから、一人では歩きづらいしね。君がいてくれて良かった」

蛍「そうかい」

唯「ありがとう、お兄ちゃん♪」

蛍「次やったらマジで帰るからな」

唯「雲ひとつない、満天の星空だね」

蛍「綺麗だな」

唯「うん。素敵だ」

蛍「で、どこに向かってるんだ？」

唯「眺めの良いところさ。ほら、早く行こう」

蛍「へいへい」

-空き地-

蛍「ここは……空き地？」

唯「うん。偶然見つけてね」

蛍「てっきり公園に行くのかと思ってたが」

唯「ふふっ、あそこでも良かったね。ちょっと、誘うには照れくさくて」

蛍「なんで」

唯「ボクにとっては大切な場所だからさ」

蛍「……そうか」

　（俺にとっても、大切な場所だぞ。バカ）

唯「ほら、あの土管に座って見ようじゃないか」

蛍「ああ」

唯「んしょ……」

蛍「よっと……おおお～」

唯「改めて、美しい星空だね」

蛍「ああ」

唯「さて、もう行こうか」

蛍「え、もうか」

唯「うん。遅くまではダメなんだろう？　なら、早めに切り上げないと」

蛍「……もう少し、ぐらいなら」

唯「え？」

蛍「まだ、見足りないから、もう少しぐらいならいいぞ」

唯「そうかい？　じゃあ、もう少しだけ」

蛍「ああ」

唯「……」

蛍「……」

唯「ふふふっ」

蛍「なんだ？」

唯「君が一生懸命星を見ているから、なんだかおかしくって」

蛍「悪かったな」

唯「ううん、誘って正解だったなと思ってね」

蛍「……そうかよ」

-宮澤家前-

唯「今日はありがとう。付き合ってくれて」

蛍「こっちこそ、誘ってくれてありがとよ」

唯「この時間なら、まだ舞さんも怒らないかな？」

蛍「というか、もう寝てるかもな」

唯「ふふ、そうかもしれないね。……じゃあ、また」

蛍「ああ」

唯「おやすみ。……お兄ちゃん♡」

蛍「てめえ！！」

唯「あはは、じゃあね」

蛍「……ったく、じゃあな」