解説:古代中国ゴリラ伝説

孟龍符。劉裕の配下将である。どういう人物かを語るにあたっては、うだうだ語るより原典から見ちゃうのがいいでしょう。ここでは宋書巻47に載る、かれの伝をエセ書き下し文に落とそう。と言うのもガチ書き下し文って正直読みづらい。適度に厨二っぽさを漂わせるには、やはりエセがよい。



孟龍符,孟懷玉が弟なり。胆氣驍にして猛く,幹力は人を絕す。少きより游俠を好み閭里にて侠客と結ぶ。早くに劉裕の知る所と為り、桓玄打倒の折、孟龍符を參軍と為す。江乘、羅落橋、覆舟山の三戰にて並べて功有り。以て平昌県五等の子爵位に封ず。寧遠將軍、淮陵太守位を加す。劉藩、向靖と共に桓歆、桓石康を攻め、之を破り斬る。建威將軍、東海太守となる。北魏の斛蘭、索度真、辺境を侵し、国境一帯騷擾す。劉裕、孟龍符を遣わし、建威將軍・劉道憐と共に討ちて出で、一戰にて之を破る。斛蘭を追いて光水沿岸に到り、傷を負いて撤退す。


劉裕南燕を伐つに当り、孟龍符を參軍と為し、龍驤將軍、廣川太守の位に就け步兵騎兵を統率する前鋒と為す。軍、臨朐に達し、南燕軍と河畔にて争い、孟龍符、單騎にて前駆、向かう相手を破散せしめ、上流に拠点を確保、敵軍後退す。孟龍符勝ちに乗じて追撃するも、後騎追い付かず、敵軍數千騎、孟龍符を囲み、之を攻む。孟龍符剣を奮い、一合の毎に数人を殺すも、衆寡敵せず、遂には害さる。この時年三十三。劉裕その死を深く悼み、青州刺史の地位を追贈す。



兄の孟懐玉とともに、明らかに当時の DQN ネームっぽい雰囲気が漂っていて大好きなのだが、この人の伝は、とにかくツッコミどころが多くて困る。


>幹力絕人

 騎射を善くしたとか、その辺の武芸を嗜んでる奴はちらほらいたが、なんだよ「絶人」って。なんで一人モンスター枠なんだよ。


>龍符單騎衝突,應手破散

 なんで使う言葉が「衝突」で「破散」なんだよ。明らかに敵軍の被害額面人間の手によるもんじゃねーぞ。


>每一合輒殺數人

 一振りで数人ぶっ殺すとかガッツか。


こんだけ色々表現がおかしいところを見ると、やっぱり劉裕軍においてなんだかずば抜けてる存在だったんでしょうね。いい意味でも悪い意味でも。


>龍符乘勝奔逐,後騎不及,賊數千騎圍繞攻之

 一人突っ走って囲まれるとかアホか。周り見ろ。


この人、場合メイン称号はだいたい「劉裕の参軍」で、サブ称号に将軍位が来てます。そうすると、多分将軍位は禄とかそっちの方に掛かってきたんじゃないかな。実質は劉裕の傍にいて敵を粉砕するお仕事。そんなかれの存在感が自分の中ですごかったので、いつかお話にしたいと思っていました。今回、ようやくかなったよ☆

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