解説:雪の候、隠者を求む
KAC20203「Uターン」。
くるっと踵を翻すような話、となればこれでしょう、と世説新語から持ってきました。
世説新語 任誕47
王子猷居山陰,夜大雪,眠覺,開室,命酌酒。四望皎然,因起仿偟,詠左思招隱詩。忽憶戴安道,時戴在剡,即便夜乘小船就之。經宿方至,造門不前而返。人問其故,王曰:「吾本乘興而行,興盡而返,何必見戴?」
ある雪の日、目覚めた王献之は窓を開け、雪を肴に酒を飲み、やがて外に出、左思と言う詩人の「招隱詩」を歌った。ふと剡の町にいる隠者の戴逵のことを思い出し、夜にもかかわらず小船に乗って剡に向かった。翌朝に到着し、家の前にまで至ると王徽之は撤収。ある人が理由を問うと「興に基づいて来た。興が満たされたから帰る。わざわざ戴逵に会う必要もあるまい」と答えた。
はじめて読んだ時、何から何まで「何やってんだこいつは……?」としか思えませんでした。王徽之やべえ。かれはいろんな奇行を世説新語で繰り広げています。まぁ、トップクラスと言っていいでしょう。竹林七賢も奇行で知られますが、彼らには割と背景があります。いっぽうの王徽之はその背景が全然透けてこない。すごくお近付きになりたくない、遠巻きには見てたいですけど。
そんな彼を少し接写してみよう、と考えたわけなんですけど、やばいね! 全然行動が理解できる気がしません! にんげんのむげんのかのうせいおみたきがしたぞ(ぐるぐるめ)。
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