　Ｄｅｌｆｏｉ――デルフォイ

　アテネ、リオシオン・バスターミナルより約３時間。１日３便。

　ギリシャの霊峰パルナッソス山の麓にあるデルフォイ遺跡は、神域と都市遺構からなる歴史ある優美な面影を誇る。なかでも太陽神アポロンを祀ったデルフォイ神殿は、神託を得られることで名高い場所だった。

　その的中率は高く、政治や戦争でも神託が求められ、最盛期には神殿を訪れる人々が落とす賃金だけで都市国家が成り立ったほどだという。なかでも世界的に有名なのは、哲学者ソクラテスが〝無知の知〟を見出すきっかけになった神託だろう。

　神託の秘密は、世界の中心とされた聖石オムファロスの下に空いた〝大地の裂け目〟と呼ばれる穴にあったそうだ。そこからは不思議な蒸気が出ており、これを吸うことでピュティアと呼ばれる専門の巫女がトランス状態に陥って託宣を行ったとされる。

　この現象は、科学的には穴から出ていた火山性のガスなどで中毒状態になりわけのわからないことを口走るのを神の言葉と解釈したのではないかと推測された。

　神殿が発掘されたときには穴がなくなっていたが、近年それと見られる形跡が近くで発見されたことで話題を呼んでいる。

ＭＡＰ……Ｐ３‐Ｂ２

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