No.21 春を待ちわびる時間

一人の午後に考える。

私は誰だろう、どこから来たのだろう。

何を求めてここにいるのだろう。

きっとそれは遠い遠いところから繋がっている。


大事な約束を果たしに来たの?

大切なものを探しに来たの?


掴めそうで掴めない、わかるようでわからない。

知りたいような、知りたくないような。


コチコチと刻まれる時計の音の上に

自分の鼓動をそっと重ね合わせる。

始まりと終わりと、終わりと始まりと。

今を生きていることがその答え。

あなたを想う私がそのすべて。


求めるぬくもりは伸ばした指先に届くだろうか。

それはいつだって私の胸を切なくさせる。

私が誰であろうと

あなたを想う気持ちに偽りはない。


それがどこから来るものなのか

答えてくれる人はいなかったけれど

春を待ちわびる午後の光は優しくて

その中でゆらめく柔らかな影は

時間の向こうにあるものを

みんな知っているような気がした。

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