No.18 指先の想い人

遠い日の恋は、揺らぐようで消えることなく

ふとした瞬間にわき上がる。


すべてが凍えそうな朝、

吐き出した息が作り出した曇りガラスを

伸ばした指先でそっとなぞる。


垣間見えた世界はけれど束の間で、

すぐに滲んでぼやけて閉ざされた。


遠くなってしまった私の時間。

鮮やかになっていくばかりのあなたの記憶。


いつの間にか温もりを帯びたガラスは、

私の指先を押し返したあなたの肌のよう。


触れ合っていた一点に残る熱が今もまだ、

この世界をも溶かさんばかりだなんて、

切なすぎて愛しすぎて

ただただ、翻弄されるばかり。


人を想うことはきっと、永遠の物語なのだろう。

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