No.13 あなたにもありますか?

帰りたい場所。


それは現実の温かさとはまた違うもの。

一人なのか、誰かいるのか、

そんなことさえわからない。


それでも無性に求めてしまう、

私だけの場所、私を丸裸にしてしまう場所。


もしかしたらそれは、

この地上にはないかもしれない。


もしかしたらそれは、

決して届かない「永遠」を垣間見ようともがく

まったくもって無様なものかもしれない。


けれど、

それでもあふれる想いを止められない。


遥か遠くに揺らめいているその場所には

きっと私が詰まっている。

私の知らない私がぎっしりと詰まっている。


それは、想い、想い、想い。


人の心というものは

曖昧で漠然として揺れてばかりいるけれど、

それ以上に純粋なものなど

存在しないような気がする。


だから、

それをためらうことなく解き放てる場所こそが、

帰りたい場所なのだろう。


そこでは、純粋に求めることを感じるだけでいい。

なぜかだなんて、

そんな問いほど無粋なものはない。


美しい、美しい場所。

遠くて、遠くて、未だ届かない場所。


それでも私は思う。


自分が求めているものが何なのか

まだ自分でも掴みきれていないとしても、

いつか必ずそこに行こうと願ったその瞬間に

一つ想いに近づけるのかもしれない。


自分というものをまた一つ、

わかってあげられるのかもしれない。


そんな場所、

帰りたい場所。


あなたの中にもありますか?

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