No.3 霧の朝に思うこと

人生は面倒くさいことでできている。


そう思っているのだけれど、時々、何もかも投げ出してしまいたくなる。


全部を忘れて、空白の中に逃げ込みたくなる。


けれど思うのだ。


きっと私は飽きてしまうだろう。


何ものにも束縛されない真っ白な空間の中で


久しぶりに四肢を伸ばし深呼吸してみても、


きっと私は飽きてしまうだろう。


要領が悪くて、あれもこれも不確かで、


まどろっこしくて、ため息もので、


でもそんな面倒くささが、きっと恋しくなるだろう。


つくづく人間は無駄が好きなのだなあと思う。


面倒くさいくさいと言いながら、


必要とされる自分に癒される。


くだらないあれこれに一喜一憂しながら、


そこにいる自分の存在を確認する。


そう、つくづく人間は、自分こそが面倒くさいものなんだ。


でもそう言うのって、やっぱり愛しい何かなんだろうと思う。


それが生きてるってことなんじゃないだろうかと、そう思う。

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