第5話 暗殺者達の目的

 ラーズ帝国の帝都「フェアメーゲン」。

 そこから北東に二日ほど馬車を走らせると、ブルーマウンテンの街が見えてくる。


 北のアムール山脈を背景として造られたのは、国営兆域。規格外の広さを有する霊園であるが、南側にある正門だけが街への出入りを可能としていた。


 そこから街側に出ると国営兆域警備団の詰所がある。警備団員は兆域のみならず街中にも目を光らせており、治安維持を心がけて常に巡回している。


 警備団の詰所から道を隔隔てて、向かい合う場所には一軒の食堂が建っていた。

 入り口には「一期一会の日替わり定食」という看板メニューが大きく掲げてある。


 この定食を注文して、もしも同じ料理の組み合わせを見ることができたなら…。その人には小さな幸せが訪れるのだと、女性達の中では秘かに噂されていた。


 そんな食堂の入り口がゆっくりと開くと、店の中から多くの声が漏れ出した。


「ただいま〜っと。」

 アリスと共に帰ってきたディープが中に入ると、食堂は街の住人達によるピークを終えていた。


 しかしそれと入れ替わる様に街近郊の依頼をこなした冒険者達が訪れ、再び席を埋め尽くしていた。


「おお!随分と儲かってるんだな、この店は…。」


 客層を変えて一日に何度もピークを迎える食堂である。

 ディープが驚くのも無理はないが、何人かの冒険者が食事を運ぶメルロスの姿を目の端で追っており、繁盛の理由に一役かっていることがありありと分かった。


 ディープはアリスを連れてバッシュ達のいるテーブルに向かう。

 その途中、怯えた様子のアリスを横目で確認している者もいれば、ディープの歩き方を見て警戒を強める者がいるなど、この街には上質な冒険者が揃っている様であった。


 しかし奥にいるバッシュが二人に向かって手を挙げると、一斉に冒険者達からの警戒が薄くなった。

 その変化を察したディープは、途中まで聞いていた三年前に起きた事件との関連を察知する。


 そして冒険者達から伝わって来るバッシュへの信頼を感じ取り、なおさら話の続きが気になってきた。


「お疲れさん。何か動きがあった様だな?」


 それは二人の様子を見ただけで大まかな事を理解した言葉であったが、それについて別段ディープは驚かない。

 驚いたのは街に入ってからの妙な視線に、やはりバッシュも気付いていたという事であった。


 改めて驚かずともバッシュならば当然気付いているだろうとは思っていた。

 しかし人間の…しかも戦士が気づける様な距離からの監視では無かった。

 そして各々の気配の殺し方も、また一流であったというのも事実である。


 身体が小さいが故に生存本能が研ぎ澄まされているホビット族のヴィッツ。

 そのヴィッツが側にいるのを警戒して、大きな距離をとっている事は想像できた。


 しかし劣悪な環境を乗り越え、千切れかけの綱を渡るような過去を生き抜いたヴィッツの洞察力は、異常を通り越して変態の域にまで達している。

 なのでヴィッツならばホビット族の本能と洞察の併用で、逆探知を成功させることは難しくないと考えていた。


 問題はバッシュである。

 なんで人間族があれに気づけるのか。


 いや目の前にいるのは、新月を使った己を倒した唯一の男。

 思考を逆にすればそれくらい当然なのかもしれないが、それでもその方法を…手段を…何とか知りたいと思うディープであった。


「確かに動きがあったが…ここで良いか?」

「ああ、構わんよ。」


 気づけば周りで食事をしていた冒険者達の手が止まっており、バッシュ達に注意を向けていた。


 明らかに怯えている女将の娘を、知らない顔の男が連れて帰ってきたのである。

 バッシュはよそ者である自分達がコソコソしてもロクなことにはならないと判断し、周りの冒険者達にも聴かせることを促した。


◆◆◆


「エルフの白秘薬を使いましょう。」


 ディープから事の一部始終を聞いたヴィッツは、手元にある情報からありとあらゆる可能性を模索した。


 しかし何せ、この街には数時間前に到着したばかりである。

 どう考えても圧倒的に情報が足りてなかった。


 それでも地図の切れ端の様な情報から一つの最悪な可能性を見出し、時間をかけずに最短ルートを行くべきであるとヴィッツは判断したのである。


「おいおい…エルフの白秘薬って、そんなに簡単に使っていいのか?」


 ディープは食べ損ねた食事を再開していたが、ヴィッツの思い切った判断に思わず手を止めた。


「火急の問題かもしれないという訳だな?」


「あくまでも予想と可能性の話ですが…。もしそこまで繋がるのであれば、白秘薬を使ってもお釣りが出るかと。」


 バッシュとヴィッツが真剣な表情で目を合わせる。

 その様子を見たディープは「これは長丁場になる」と思い、慌てて残りの食事を口にかき込んだ。


「よし!では急ぐとしよう。メルロス!代金はここに置いておく。」

「き…気をつけておくれよ。」


 メルロスは怯えるアリスを抱きしめており、娘が襲われた理由に検討もつかずオロオロとしていた。


「待ってくれ!バッシュ。」


 店を出ようとした二人に、突如声がかかった。

 その後ろでディープは咀嚼ができなくなるほど料理を口に入れてしまい、目をキョロキョロさせて救いを求めていた。


「俺たちも同行させてくれ。」


 声をかけてきたのはバトルアックスを担いだ赤髪の男。名前はボルグ。

 凶悪犯の様な顔をしているが歴としたクラス・プラチナの冒険者であり、ブルーマウンテンにおいては冒険者達のリーダー的な存在でもあった。


「聞かせてもらったところ、街の問題とも無関係ではなさそうだ。それにあの事件以降、警備団が常に目を光らせているこの街で、懲りもせずに暗殺者達が動き回ってるってのも気にくわないしな。」


 暫く視線を交差させた後、バッシュは口を開いた。


「分かった、ボルグ。宜しく頼む。ただ…もしヴィッツの言う様に火急の問題であれば、人手が必要になるかもしれん。もしもの時のための人数も、確保していて欲しいのだが…。」


「よし、任せておけ!クロード、エリス、バン、すぐに準備しろ。…おい!ここに居る連中は急いで食事を済ませて、いつでも動けるように準備しておけ。そして食堂には、ヤンとジェリーが警備につくようにしろ。」


 ボルグのチームはクラス・プラチナが四人、クラス・ゴールドが二人の合計六人である。

 この場の冒険者達に指示を飛ばして全員がすぐさま頷く様子は、ボルグのリーダー的資質の高さを伺わせるものであった。


 しかしバッシュは怯えるアリスとメルロスの為に、クラス・プラチナの冒険者を自分のチームから二人選び、警備に残したボルグの懐の広さに好感を持つ。


「では、店の裏庭に行くとしよう。」


 ディープは暗殺者達を全員気絶させた後、導師(マスター)一人を黒布で簀巻きにして店裏まで担いで来ていた。


 一人の人間を包んでいる黒布である。しかしそれが片腕で軽々と担がれると、大きな荷物にしか見えなくなるので「あら不思議」と表現するしかない。


 バッシュ達が裏庭に行くと、残飯入れの横に黒い物体が置かれていた。

 黒布を取ると導師は未だ気を失っていたが、その身に傷一つ付いていないことにボルグ達は言葉を失う。


「導師を無傷で捕まえるって…嘘だろ?どんな技を使えば、こんな事が出来るんだ?」


「さぁ?ただその嘘みたいな技を習得すると、その反動で女性は一切捕まえる事ができなくなるらしいですよ。」



 ヴィッツが無表情で答えると、ようやく咀嚼への目処がついた男が口を開いた。


「ぼほ〜?ぼぼばのばそひほひははひばひは!」

「ちゃんと飲み込んでから喋って下さい。」


 後ろで何かを主張する男に目もくれず、ヴィッツは己の道具袋の中を探る。


「ほほ〜?大人の遊びも知らないガキが!」

「何でほほ〜?から言い直すんですか?…ん?ということは、女性に声をかけて頬を打たれる行為を大人の遊びと称している訳ですね。…ぶっ!大変幼稚な行為なんですね、大人の遊びっていうのは。」


 目と目による終わりなき戦い、本日第二戦目である。


「な…なぁ、バッシュ。エルフの白秘薬っていったら、使った相手に幻覚を見せて情報を何でも喋らせてしまうっていう幻の秘薬のことか?」


 目の前で展開されている稚拙な争いに、若干引き気味なボルグが尋ねた。


「そうだ。少し前にエルフ族と知り合う機会に恵まれてな。そこの長老から譲り受けたものだ。」


 冒険者達にどよめきが起こる。


「よくもまぁ…人間嫌いで有名なエルフ族から…。い、いやそれよりも、そんな貴重な薬を本当に使っちまうのか?それは確か場所を選んで売れば、白金貨に手が届く価値があるはずだろ?」


 全員が絶句した。それもそうだろう。

 白金貨の下に位置するの大金貨一枚で、一般的な家が十軒建つのだ。百枚あれば貴族式の大豪邸が建てられる。


 そして白金貨は大金貨千枚と同じ価値を持ち、平民がもし手に取ったとしても「変わった色の綺麗な金貨だなぁ」と、逆に薄い反応が返ってきてしまう様な硬貨なのである。


 それと同等の価値を持つ薬を、今から使うというのだ。もう黙るしかない。


「そうだな。それくらいの価値をつける者もいるとは思う。だが物の価値と使うべき時を、その場で判断できるのがヴィッツという男でな。この男がそういう以上、秘薬はここで使うべきだろう。」


 平然と言うバッシュの言葉からは、ヴィッツに対する絶大な信頼が溢れていた。

 そんな羨ましい関係を目の当たりにしたボルグは、自分の仲間ならどの様な判断をするだろうかと思い、ふと己の仲間と視線を合わせるが…


クロードは

「白金貨にして、酒池肉林コースだろ。」

エリスは

「美容にはお金がかかるのよねえ。」

バンは

「どんな味がするのか飲んでみたいなぁ…。」


 自分は仲間に恵まれてなかったのだと、早々に結論づけた。


 ヴィッツが取り出した白秘薬は華美な装飾の付いた白い器に入っており、その入れ物だけでも相当な値がつきそうであった。


 その中身を気を失っている男の口元に当てると白秘薬は瞬く間に気化し、そのまま男の口と鼻から中へと入っていった。


 それを確認したヴィッツは

「お前は今、主人の前にいる。主人の前にいる。」

と男の耳元で呟いた。


 そしてしばらくすると、男の身体がピクリと揺れた。

 ゆっくりと目を開けた男は、ヴィッツを視界に捉えるとビクッと震えて勢いよく立ち上がる。


 男の目は半分だけ開いており、その視線はヴィッツを向いてはいるが焦点は合っていないようであった。


「こ…こんな所にまでお越し頂きまして…。申し訳ありません、シュバルツ様。何か不備が御座いましたでしょうか?」


 聞き覚えのある名前にヴィッツは目を細めた。そしてそのままシュバルツと呼ばれた人物を演じるつもりで男に答えた。


「うむ。どうやらお前達に伝えた情報とその解釈の一部に、齟齬があった様だ。子細に確認を取る必要があるので、お前達のするべき事を述べよ。」


「は!かしこまりました。我々第五部隊は皇城への隠し地下通路を発見したと思われる二人の子供のうち、食堂の女将メルロスの娘を拉致。

警備団員ターレスの息子カールから正しい情報が得られなかった時の為の保険として、娘を一時的に監禁。

その後は、次の指示があるまで待機となっております。」


 ボルグ達は初めて耳にする言葉に目を見開いて驚いていた。

 皇城への隠し通路?何のことだ?と。


 皇城のあるフェアメーゲンへは馬車で二日、徒歩だと四日はかかる。

 もしもブルーマウンテンの街にまで通る隠し通路があるのだとすれば…。それだけの長さがある地下通路が存在しているという事になる。


「他にお前達の部隊が持つ情報は無いか?」

 ヴィッツが真剣な表情で尋ねた。


「は!作戦終了するまで、とにかく我々は監禁した娘を傷付ける事なく待機と指示されております。その他の指示は頂いておりません。」


 一番欲しかった情報。その後ろ姿が見えた事により、ヴィッツの目が鋭くなった。


「お前達の認識している『作戦終了』とは何か答えよ。」


 ボルグ達がゴクリと唾を飲み込んだ。

 皇城への隠し通路そのものに、目的の物でもあるのか?

 もしくは皇城の宝物庫が目的か?

 それともやはり…


「前回の作戦において仕留め損ないました、ラーズ帝国六十八代皇帝レオハルト・ディ・ラーズの暗殺。そして特殊暗殺部隊が地下通路へ戻ったところで、皇城側の入り口を破壊。その後、第三部隊が地上へ向けて空けた通路にて脱出。それをもって今回の作戦終了と認識しております。」


 それは「もしかして?」を裏切る事のない、最悪の計画であった。

 しかしヴィッツはさして動揺もせずに、矢継ぎ早に問いかけた。


「現在、どこまで作戦が進行しているのかを答えよ。」


「は!第四部隊が少年を拉致し、地下通路らしきものを発見したと聞いております。しかし第五部隊の作戦に変更は無く、女児は確保しておけとの指示。そのため我々は娘と繋がりのある冒険者バッシュの監視を続けました。したがって未だ拉致実行の段階に入っておりません。…ん?いや、実行はしました…え?しましたが?…え?…あれ?」


 動揺する言葉を断ち切るかの様に、背後に回り込んだディープの手刀が裏首に落ちた。導師は再び気を失い、地に倒れ伏す。


「またシュバルツですか…。三年前に大騒動を起こした、あの人の名前ですよね?実際のところ、どんな人なんですか?」

 ヴィッツがディープに視線を送った。


「ああ。確か元ラーズ帝国暗部隊暗部頭の名前が、そんな名前だったな。その後は確か…コソコソと暗殺者を育成していたと聞いている。その他の詳しいことは分からないな。ま、確実に言える事は、顔と性格は俺と違って最悪だってことだな。」


 茶化す様な軽口で、返答を終えたディープ。

 すると、いっぱいいっぱいになったボルグが、そこに割り込んできた。


「ちょ…ちょっと待ってくれ!山盛りな展開の連続で、頭が追いついていかねぇ。皇城への隠し通路がこの街にあるだと?それを子供達が見つけちまって、どういうわけかそれを暗殺者達に知られてしまった訳だな?そして攫って得た情報を基に、隠し通路を発見して皇帝陛下を暗殺しようってのか?…もう何が何だか分からねぇよ!」


 しっかりと分かっていて、情報の整理もできているじゃないかとヴィッツは思う。

 割り込んできたボルグのせいでツッコミを貰えなかったディープは、同じくツッコミを入れない事で溜飲を下げようとしていた。


 少しの間放置されて意味が分からないと言いたげなボルグの肩に、バッシュが手を置いた。


「ボルグ、お前の言った事で大体はまとまっている。どうやら三年前の事件で全く懲りていなかったらしい。奴等は今、皇帝を暗殺する為に皇城へと向かっている。ならば俺たちも早急に地下通路を見つけて、後を追わなければならない。」


 アリスを拉致するという計画は未遂に終わった。

 だが導師は「保険としてアリスを拉致する」と言っていた。

 ならばそこに地下通路の場所を知る糸口がある、ということになる。


 しかし少年の方は既に拉致され、シュバルツ達は地下通路を発見したという。

 それはいつの出来事で、その後少年はどうなったのか。


『墓を守る街ブルーマウンテンに住む少年。名前はカール。』

 その音の響きが、記憶の中で妙に引っかかるのを感じ、ヴィッツは眉を潜めた。


「警備団員のターレスさんといえば、確か…」

「誰かカールを知らねえか!!」


 ヴィッツの声をかき消すかの様に、突然店の中から聞こえてきた大声。

 その声からは焦りや困惑といった感情が、ありありと伝わってきた。


「カールが…息子のカールが何処にも居ねえんだ!朝に外で見かけたという人がいたが、それからの目撃者が一人もいねぇ。警備団での巡回で二回三回と見かける事も珍しくない程、ジッとしていない奴なんだ。そんなカールを、朝以降この時間まで誰も見ていない。あんな騒がしい奴をだぞ?あんなに目立つ奴が…。どう考えてもおかしいんだ。誰か!誰か、カールの居場所を知らないか!」


 街中を駆け回ったのであろう。男は汗だくで息も切れ切れであったが、息子の情報をなんとしてでも引き出そうと大声を出し続けていた。


「俺が行って話をしてくる。バッシュ達は情報の整理と、今後の準備を進めておいてくれ。」


 ボルグが急いで店の中に戻った。

 街の人達に顔の広いボルグである。彼こそがこの場では一番適任であろうと、皆が納得した。


「しかし、結構な差がついちゃいましたね。カール君が外に出てからすぐに攫われたのだとすると、最低でも半日前には隠し通路が発見されているでしょう。

それでも念の為にアリスちゃんの身柄を押えておこうとするあたり、シュバルツという人は本当に用心深い人の様です。

そして彼等は皇城へと歩みを進めているでしょう。暗殺者達の移動は、異常なほど速い。我々が今から隠し通路を使って追いかけても、追いつく事はまず不可能。

しかしいくら速いとは言っても、馬車の最高速度より速く走り続けられる訳ではないでしょうから…。

かといって地上から馬車を走らせて追い付けたとしても、城門前で足止めされるのがオチでしょうし…。いや、いっそそのまま無理やり突入してしまえば…。

いやいや、暗殺者達が機を伺って皇城に潜入していなかったら、こちらが自滅してしまう可能性も…」


「おお…、おお!。祈っとる、祈っとる。」

 思考の海に沈んだヴィッツを見て、ディープが苦笑する。


 ヴィッツは周りが見えなくなるほど思考に集中すると、口から聞こえるか聞こえないかのラインで高速で呟く様になる。

 その口元に両手を合わせて呟く様は、まるで神に祈りを捧げる僧侶の姿の様にも見える。


 そしてそれが終わった後のヴィッツは、決まって信託でも授かったかの様に今後取るべき行動を明確に口にするのであった。


 バッシュは両腕を組み、思考の祈りが終わるのをただ静かに待った。

 クロード達も各々で考えてはみた様だが、脳内で問題の入り口付近をウロウロしただけで早々に思考を放棄した。


 ディープはバッシュと同じ様に両腕を組んでいた。しかしそれに飽きたのかヴィッツに近づいて視界に顔を入れ、そこで己の持つ変顔のレパートリーを披露し始めた。


 しばらくすると、ヴィッツが思考の海から上がってきた。そして祈りを終えた聖職者が口を開こうとする。

 ディープは制限時間ギリギリまで勝負を諦めない。諦めてしまったらそこで試合は終了するのだから。


「戦力になる人達をできるだけ集めて、それが乗り切れるだけの馬車をすぐに手配してください。ここからは時間との勝負になります!」


 軍師ヴィッツの采配は無事に振るわれた。

 敗者ディープはバッシュの手が優しく肩に置かれるのを感じ、心の中で試合終了の笛が鳴るのを静かに聞いていた。

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