第二の星 6

 マルス・クレインが帰ってきた。

 その知らせがあったのは、明け方になってからだった。

 神父が、玄関に来て皆に手伝ってくれというので、その場にいた全員が下に降りて行った。すると、マルスを庇うようにアースがいた。二人とも気を失っていて、マルスやアースのいる部分だけ、きれいに雪が解けて、地面が乾いていた。

 神父たちは、マルスとアースをそれぞれ抱えて、大きな部屋に運んだ。マルスはまったく外傷のない状態だったが、アースがひどかった。

 一部の傷口が開いてしまっているし、手足は凍傷になりかけている。何をやっても目を覚まさないほど体力も使い果たしてしまっていた。

 しかし、彼らを寝かせてからしばらくすると、アースが突然苦しみだした。熱も上がってきて、どうしたらいいのか皆は分からなくなってしまった。いつも飲ませている解熱薬を試したが効果はなく、痛み止めの点滴を打っても効果はなかった。手をこまねいていると、オルビス医師がやってきて様子を見た。必要とあれば傷を見て、処置を施していく。

「相当ひどい目にあった。今はそうとしか考えられない。そこのマルス君はどうなんだね?」

「まだ眠ったままです」

 神父が応えると、シリウスが補足をした。

「アースがマルスの意識を捕らえているんです。たぶん、今の自分を見たらマルス自身が冷静でいられない。だから、この二人に関して、俺たちは何にもできない」

 そこにいた誰もが、黙ってしまった。

 しばらくして、オルビス医師が口を開いた。

「マルス君の体に傷一つないのも、頷けるな」

 そう言って、自分の力ではどうにもできないこの状況を踏んで、部屋から出て行ってしまった。シリウスが頭を抱える。

「こんなの、どうしろってんだよ」

 誰一人として、彼に応えるものはいなかった。

 そこにいた全員が何もできないまま、ただ過ぎていく時間に手をこまねいて待っているしかなかった。

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