とりあえず、『逃げる』のは疲れたー!2

 放課後


 さて、いつもだったら、いつものことなら、たくさんの生徒が私を追いかけてくるせいで、私は走らなくちゃいけないんだよ。いけないんだよ!

 しかし、今回は悠々と歩いていた。そう!逃げることも走ることもしないで!

 なぜかって?いや別に聞かれたわけじゃないんだけど、単に言いたい。

 べ、別に、自慢だとかそういうわけじゃないからね!

 そう、あのとき私が思い付いた秘策が、

『私と戦いたいなら、先にロノアを倒してからにして!』

である。

 いや、説明する必要のない感じだよね。

 でも、言わせて。私と戦いたい魔人は、先にロノアと戦って勝ってからじゃなきゃ、私と戦えないということなんだけど、まあ、そのまんまだからね。

 というわけで、ロノアは大変かもしんないんだけどね、『逃げてるときよりも楽だからいっか』ということなのだ。

 ちなみに、その話をした瞬間のロノアは、

『マオちゃん?マオ様?そ、その、そ、それは、どういうことですの?わ、私が戦うってことじゃないわよね?ち、違うんですのよね?マオ様?マオちゃん?ち、違うんでのよね?ね?』

 なんてことを、即座に返された。

 まあ、返答するまでもなく、そのとおりなので、私にこやかにその様子を見守っていたんだけどね。

 そのときのロノアは、完全に顔が青ざめていたんだけども。


「マオ様!マオちゃん!マオ様ー!」


 そんな風に呼ばれたのは、もう日が沈みかけている夕方だった。

 ロノアは、少し息を切らせながらもそう私を呼んだのだった。


「どうしたの?今日は遅かったけど、どうしたの?」


「そ、それは、マオちゃんのせいですわー!なにをとぼけてるんですのー!マオちゃんがやったこですのにー!『どうしたの?』じゃないですわー!」


と、文句を言いながらもほっぺたを、膨らませてるせいで何も頭の中には入ってこなかった。

 というか、かわいい!どうしよう!なぜかもっと困らせてどんな反応するのか見てみたいという思いが出てくるんだけど!

 まあ、そんなことはするつもりだけはあっても、たぶんすることはないと思うけどね…………だぶんね?


「はいはい、わかってるよ。ただ言ってみただけ」


「本当にわかってるんですの?別に仕方ないといえば仕方ないことですわね」


 なんか、距離が縮まった気がする。気のせいかもだけど。

 でも、主従っていうほどじゃなくなったかな。


「それじゃ、これからはよろしくね!」


「なっ!まあ、挑んでくる者たちには一切負けてないですわ。マオちゃんには負けてましたけど、普通に強いんですのよ?まあ、マオちゃん相手には手も足もでませんでしたけど」

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