入学することが決まったんだけど......。3
「それじゃ、いくよ!」
私はそう言うと、今までの速度とは比べものにならないぐらいの速度で、相手の背中に回り込む。
「な、どこですの?急にそんなに速く動けるということは、さっきまで言ってた言葉は本当のことだったということですの?」
「たー!」
私は、そう声をだしながら、『峰打ち』をする。
「ぐはっ!なんて、強さですの?」
私はその声に、『峰打ち』が上手く決まったことを確信する。
彼女にとって、相当の痛みのはずだ。
そんな彼女が倒れ込んでいるところに近づき、
「大丈夫?誰か先生でも呼んでくる?」
「たー!」
「おっと、と、、、」
諦め悪すぎでしょ!
てか、かなり痛いはずなのに、そこまで無理をして動く必要ないでしょ!
「もう!あなただって、相当痛いでしょ?」
「それで、も、負けることはできないんですの。最後の、最後まで、やれることがあれば、するだけですの」
いやいやいや、『やれることがあればやる。』ってどういうこと!普通に諦めてよー!
というか、普通にこのままじゃ殺しちゃうんですけど!!
いや、えっ?どうすれば、いいの?私はどうすればいいの?さすがに殺しちゃうのはダメだから。
いや、当たり前なんだけどね?
も、もしかしたら、さっきの言葉は、ただ聞き間違えただけかもしれないから、一応、ね?
「あなた、『勝負』はついてるんじゃないの?本当に、『諦めない』の?」
「さっき、も、言いました、わ。やれる、ことが、あれば、やるだけ、です、わ」
彼女は、そう言った。それも、とても苦しそうに。
てか、本当に諦めないのー!
いやいやいや、本当にどうすればいいの?
あっ!
「本当に、諦める気はないの?」
「そんな、こと、当たり前の、ことですわ」
もう、普通に諦めてくれればいいんだけど!!
「そっか。それなら、ごめん、ね?」
私は彼女にそう言って、彼女を気絶させた。
すると、
「おーい、お前さんたち、うるさ、い、ぞ........。はぁ~、そういうことか。それで、やってたのは誰と誰だ?」
「先生、『マオちゃん』と『ロノアちゃん』です」
「わかった。それじゃ、『ロノア』と『マオ』ちょっと来てくれるか?」
「先生、その、『ロノアちゃん』は、なんだか、気絶してるんですが........」
「はあ~。『ロノア』は本当に気絶してるのか?」
「はい。本当に、気絶してます。どうすればいいですか?」
「それじゃ、『マオ』に一緒に連れてきてもらえ。『マオ』、それぐらいできるだろ?」
「はい、できますよ」
「それじゃ、頼んだ」
「わかりました、先生」
私は先生にそう言うと、『ロノア』と呼ばれた子をおんぶするために近づいた。
「はあ~。一応どっちから言ったかぐらいは、なんとなくわかってるが、どっちから言ったんだ?」
「『ロノア』ちゃんです」
「そうか。はあ~、やっぱりか~。悪かったな『マオ』。いや、すいませんでした、『“魔王様”』」
「先生、今は『先生の方が』上の立場なんですから、『“マオ”』でいいですよ?」
私は先生に向かって、そう言いながら少しはにかむように、笑った。
「それに、『“ロノア”』を連れてきてもらって助かった。ありがとう、『“マオ”』」
「いいえ。それで、私はなんでこんなことになったのでしょうか?」
「『マオ』、まさか知らないで戦いを受けたのか?」
「あの、はい。その、何も知りませんでした。それで、なんでなんですか?」
「そうか。それはだな、この学校では勝った方に忠誠を『誓わなくてはいけない』という決まりがあってだな..........。つまり、そういうことだ」
えっ?よかったー!勝ててよかったー!そりゃ、できるところまで頑張るよー!なんとなく『ロノア』ちゃんの気持ちも理解したよ!
「う、うう、う~ん。ううん............。ここ、どこ、ですの?」
そうして、彼女はやっと目を覚ます。やっとと言っても、だいたい二時間ぐらいなんだけどね。
あのあと、私は彼女が起きるまで見守ることにしたのだ。起きたときに誰もいなかったら、ちょっと悲しいと感じるような気がしたから。
「あ~、よかった!やっと起きたね、『“ロノア”』ちゃん!」
そう、私はとても安堵したような、それでいて『本当に嬉しい』という気持ちのこもったそんな声で、私は彼女にそう言った。
「あなたは、『マオ』、なんですの?いや、『魔王様』、なんですの?」
「いや、『マオ』でいいよ♪」
「それでは、『マオ』さん。ここは、どこなんですの?」
「ここは、『保健室』だよ。『ロノア』ちゃんをここまで連れてくるの本当に大変だったんだよ?」
「ということは、私は負けてしまったんですわね、『マオ』さんに」
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