大道具班は滑稽
スキル検証会を終えた後オレは広間に向かった。ナッキーは呼び出されたらしくそちらにいった。そして広間でおよそ一日ぶりにこたつとタピオカと話した。
「さとはる、君は何の職業になったんだい?僕ともタピオカとも違ったからサポート職だろうけど」
「創造者だよ、そう言うこたつはどうなんだよ?」
「僕はアーチャーでタピオカは剣士だよ」
「流石、殺陣やった時にキレがよすぎて殺し屋って呼ばれただけはあるな」
「う~、なんで私女の子なのに異世界に来てまで殺し屋なんて呼ばれなくちゃいけないのさぁ~」
「まっ、ドンマイ」
そう言って俺が肩に手を置いて言うと、
「うわ~ん、さとはるのバカアァァァァァァアァァァ」
そう叫びながらオレを殴ってきた。
「お前、HPが減ってきてるからやめろ!」
「うるさい!さとはるが悪いんだから我慢して!」
「そんな無茶苦茶な…」
「まぁまぁ、その辺にしときなよ」
こたつにいわれてタピオカはようやくやめてくれた。
「むぅ~、こたつが言うなら仕方ないか」
「言われる前にやめてくれよ…」
オレがそう言うと
「やだ!」
元気一杯にいってきた。
「元気に言うな!こたつお前もなんとか言ってくれよ」
「う~ん、さとはるも悪いから何も言わないどくよ」
「そんなぁ~」
そんな感じで一日ぶりの友人達との時間は過ぎていった。
・ ・ ・
そのまま三人で話ていると険しい顔をした顎門をリーダーとしたクラスの中心グループがなぜかボロボロになっているネビロスと共に近づいてきた。
「おい!小島、岡野!今すぐ佐藤から離れるんだ!」
急に顎門が叫んだ。
「おいおい顎門、急に叫んでどうしたんだよ。オレが何かしたか?そんなにカリカリして生理か?」
何があったか知らないがどう考えてもオレが不利な状況だ。だがここで取り乱す訳にはいかない。余裕をみせておかないともっと不利な状況になる。それだけは絶対に回避しなくてはいけない。
「何かしたか、だと。よくもそんなことが言えたな!」
怒り狂っている顎門が手を剣に伸ばした。そこでこたつの声が広間に響いた。
「待ってくれ、さとはるが何をしったって言うんだ!ちゃんと話てか」
こたつが話ているのをさえぎっていった。この二人を巻き込むわけにはいかない。
「こたつ!オレのことはいいから顎門のほうにいけ。タピオカも」
「だけど、それじゃさとはるが!」
「いいから!早く!」
そう言うとこたつは悔しそうな顔でタピオカの手を引いて顎門達のもとへ行った。すれ違いざまにこたつはたった一言オレだけに聞こえる声で言った。
「死ぬなよ」
その言葉にオレも一言だけかえした。
「あぁ」
二人が顎門達のもとにつくのを確認するとオレは堂々とした態度で顎門に話しかけた。
「で、オレが何したっていうんだ?」
「白々しいな、だが分からないというなら教えてやろう。お前が今日おこなったことについてな!」
顎門が語ったことを要約するとこうだ
オレとナッキーがネビロスを攻撃して殺そうとした
と言う事実無根の内容だった。まぁ大方使えないサポート職のオレを処分しようという魂胆だろう。容疑者にナッキーが入っているのはオレとずっと一緒にいたはずなのに止めなかったというのがおかしいと思われると思ったからだろう。さてどうするか、
「ふ~んで、証拠は?」
オレはあえて自身満々に言い放った。どうせたいした証拠もないだろうという高をくくっていたからだ。だがそれがまずかった。
「証拠、証拠か証拠はこれだ!」
顎門が言うのと同時にどこからか水晶をとりだした。するとオレとナッキーがネビロスを袋だたきにしている動画が映し出されたのだ。
「どうだ!これでもう言い訳できないだろう。おとなしく投降するんだ」
顎門が自信たっぷりに言い放った。そして顎門の手は剣の柄を握っていた。きっと少しでも怪しい動きをすればすぐさま斬りかかってくるだろう。だがそんなことはどうでもよかった。別にクラスの皆と仲がよかった訳じゃななかったがクラスメイトとして高校に入ってから一緒にやってきたつもりだった。だがこいつらはフェイク動画と少しも疑わずにオレを疑ってきた。こたつとタピオカだけは心配そうにこちらを見ていたがそれ以外は全員オレのことを犯人扱いしてきたのだ。それがとてつもなく悔しかった。そう考えたとたん自分が滑稽だと思えてきて笑ってしまった。
「ふ、ふふふふふははははははははは」
「何がおかしい」
顎門が怪しむように言ってくる。
「いや、すまんすまん。ちょっと滑稽でな」
「誰が、滑稽だと!」
自分が言われていると勘違いしたのか顎門がオレに斬りかかってきた。が、その時凜とした声が聞こえてきた。
「偽世界生成」
その声が聞こえると周りが真っ白になった。
「来るのおせぇぞナッキー」
「ごめん、ごめん私も捕まりかけちゃてさ」
そうその声はオレの使用人のナッキーの声だったのだ。
「なんだここは」
取り乱した様子でオレの「元」クラスメイトが騒いでいた。
「よし、逃げるか」
オレが言うとナッキーが元気に
「そうだね」
と賛同してくれた。
「逃がすと思っているのか?」
やっと状況を飲み込めたのか顎門がいってきた。
「あぁ、思ってるさ。ナッキー!」
「了解!」
ナッキーが指を鳴らすと元の景色に戻りオレ達の姿が消えたのだった。
・ ・ ・
城からかなり離れた場所でオレ達はオレのスキル空間創造で創られた空間で休んでいた。しばらく休んでいるとナッキーがオレに話かけてきた。
「ねぇなんで広間でまってたの?さとはるはまっていたの?一人でもさとはるなら逃げられたでしょ?」
やっぱりバレていたか。そうオレは広間でナッキーのことを待っていたのだ。待っていたいたことがバレているなら理由も言っていいか。
「しいていうなら勘かな。ナッキーならきっとくるってオレの勘がいってたんだよ」
そういうとナッキーは笑いながら言った。
「何それ、勘っておかしい」
その笑った顔があまりにも魅力的で不覚にもオレはこの少女にときめいてしまったのだった。
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