第4話 感情鈍麻

 その日の夕方はゆえの誕生日パーティーだった。学校帰りにゆえのうちに行って大きいケーキを囲んで、とりとめもないおしゃべりをする。

 頭がぼーっとする感じや、急に落ち込む感じがひどくなっているけど友達のパーティーだ、めいいっぱい楽しまないと。

 みんなで買ってきたホールケーキ。ゆえの好物のチョコレートケーキだ。

 そして、プレゼント交換。私のプレゼントがゆえの所に行った。喜んでくれると良いな。

 それからジュースとか、お茶とかを飲みながらおしゃべりだ。

 あれ? 

 私は自分の心に違和感を感じた。

 ゆえの誕生日パーティー、楽しくない。

 というか、このごろ泣いたり笑ったりした記憶がない。

 感情が鈍ってきた感じがする。

 頭がぼーっとしているせいだろうか? 


 次の日、またお医者さんの所に行った。

 気分が浮き沈みがちになっていることも相談したら、

「ああ、それは躁うつですね」

 病名を私に告げた。

「躁うつってなんですか?」

「躁状態、いわばテンションがハイになっている状態とうつ状態が交互にくる病気のことです。一生付き合わないといけない病気ですが、お薬で調整できますから心配しないで大丈夫ですよ」

 一生付き合う病気。

 その言葉で、私は奈落の底に落とされた気がした。

 足元がおぼつかない。

 頭がふらふらする。

 座っているのも大変だ……

 イケメンなお医者さんの顔が、この時は有罪を告げる裁判官みたいに思えた。

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