第2話 体が重い

 翌朝、お布団の中で目が覚めた。体の中に鉛が入ったみたいで、いつもよりずっと身体が重い。

 目を開けるのさえ億劫な感じがして、ぼーとして、だるい。

 なんだか夢の中をさまよっている感じがした。


 朝食の時家族に心配されたけど、大丈夫と言ってごまかした。

 心配かけたくないから、嘘をついた。家族に嘘をつくことが、心にとげが刺さったみたいに痛い。

 靴を履くために片足立ちになった時大きくふらついて心配された。

 なにか、言い訳しないと。

「昨日のパーティーが楽しくて、布団に入っても寝付けなくて、寝不足気味なの」

と言ってごまかしたらやっと安心したように笑ってくれた。

少し心が楽になった。


 学校に行くけど、なんだか薬を飲む前と全然違う。

 集中力が落ちた気がして、授業の内容が頭に入って来ない。

 体育の時間も普段の半分のスタミナも出ない気がして、トラック半周したくらいで体調が悪いと言って休ませてもらった。

「響、大丈夫?」

 友達のゆえが私に肩を貸して、保健室に連れて行ってくれた。

 ゆえの優しさが心苦しい。

 また、心配掛けてしまった。

 おかしいな、病院に行ってお薬を飲んだのに……

 ベッドの中で、心がすごく苦しかった。

 嫌われてないかな、愛想尽かされてないかな、そんな不安がぐるぐる頭の中をまわって、頭がぐちゃぐちゃになりそうだ。

 ああ、また不安が襲ってきた。

 私はとにかく目を閉じた。

 寝ると少しだけど、よくなるから。私なりの健康法の一つだ。


 保健室で午後の授業はずっと寝ていたら、体調は少し回復した。

 不安になる症状もうつの症状も、ちっとも治ってない。


 翌朝も同じような症状はずっと続いた。体に入った鉛の重さがかえって増した気さえする。病院にいって、かえって悪くなった感じだ。

 薬のせいじゃないかって思ったけど、お医者さんの言葉を思い出す。


「お薬は忘れずに飲んでくださいね」

「薬を飲んで、いきなりやめるとリバウンドがきます」


お医者さんの言うことだし、嘘は言わないだろう。イケメンだし!

 そう思って今日も朝食後に薬を飲んだ。副作用が少ない薬が開発されたって言ってたし、それを飲んでいるのだからきっと大丈夫だろう。

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