バレンタインデー

「ふあぁ〜……おはよ」

 甘い匂いと、何かをかき混ぜる音で目が覚めた。

「おはよう」

「何作ってんの?」

「今日はバレンタインデーなので、チョコレートを作ってます」

「おお〜! やった〜!」

 バレンタインデーにチョコと聞いて、テンションが上がらない男などいない。

「味見させて!」

 甘美な匂いに我慢が出来ずに頼む。

「まだ作ってる途中だから、ダメでーす」

 そりゃ、そうだよなぁ……でも、味見したいなぁ……あっ、そうだ。

「ねえ、ちょっとこっち向いて?」

「ん? いいけど……んっ」

 彼女が振り向いた瞬間に、唇と唇を重ねた。

 柔らかい感触を堪能してから、彼女の口内へ舌を滑らせ転がす。ドロップを少しずつ溶かすように。


「ん、はっ……きゅ、急にキスしないでよ」

「ごめんね。どうしても味見したくてさ。ちゃんと甘くて美味しかったよ。完成楽しみにしてるね」

「……うん、がんばる」

 彼女は照れながらもコクリと頷いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自由気ままに更新するSS集 神崎しおん @Kanzaki_Shion

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ