第12話 〃⑦
「よーし、それでは、ちーくんとちーちゃんの入会を祝して、かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
用意されていた料理はどれも美味しそうだった。
とりあえず目の前にあったピザを口に運ぶ。
「遠慮せず、どんどん食べてくれ」
「これ、全部会長が作ったんですか?」
「ああ、そうだよ。最初の方に作ったのは冷めてしまっているかもしれないが、美味しくいただいてもらえると助かる」
「とっても美味しいです!」
「そりゃそ~だ、ちーちゃん。私も会長の料理はお金とってもいいと思ってるからな~」
「ほう、なら、百合からだけは代金をもらおうかな」
それにしても、この会長、やっぱり完璧だな。
本当に人間なのか怪しくなってくる。
才色兼備とはこういうのを言うんだろうな。
「なあなあ、ちーくん、お前はこの三人のなかで誰がタイプよ?」
こそこそと、加藤が僕に話しかけてきた。
わかる。女子三人が喋ってる中に入るのって、ハードル高いもんなぁ。
「人に質問をするときはまず自分からじゃないか?」
「まあ、ぶっちゃけ俺は百合先輩が一番好みな訳だけど、たぶんここの誰にも手は届かんよな~」
「ああ、まあそうだろうね」
百合先輩が好みとは驚いたな。まあ、性格が一番近くはあるか。二人とも誰とでも仲良くなれそうな感じだし。
「そっか~、ヨッシーは私が好きか~。いやあ、オネーサン困っちゃうな~。実は心に決めた人がね~」
と、割って入ってきたのは件の百合先輩だ。
そして、その言葉を遮るようにさらに人が増える。
「こいつは生涯誰とも付き合わんぞ」
「どうしてですか? なんかけっこう軽そうなイメージがありますけど」
「うわ~、オネーサン傷ついちゃうな~」
「こいつは、自由を求めてるからな。誰かに縛られるのは嫌なんだと」
会長の説明が入る。
「なるほどー、自由っすもんね」
「へー、まあ、僕はどうでもいいですけどね」
「うーん、私としては、さっさと誰かとくっついてくれちゃった方が、ちょっかいかけてくる人か減ってくれていいですけどね」
「おいおい、寂しいこと言わないでよ~、ちーちゃん」
と、なんやかんや話をしつつ、食事が進んでいく。
「はー、食べた食べた、お腹いっぱいだよ~」
「うむ、みんなもうお腹すいてないか? 今から作るとなると、すぐに作れるのはフライドポテトくらいになるが」
「僕は大丈夫です。ごちそうさまでした」
「あ、私もです。ごちそうさまでした」
「俺もですね。ごちそうさまでした」
「それはよかった。さて、ここで、一つ私から話がある」
「げ」
「あらら」
僕らが入る前の生徒会メンバーが嫌そうな顔をする。
どうしたというのだろう。
「どうしたんだ?」
こそっと加藤に聞いてみる。
「いや、大抵こういうときはなんかやるときなんだよ」
「そう、その通りだ! せっかく人も増えたことだし、イベントをしよう!」
「ほらね……」
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