第10話 〃⑤

「え~っと、歓迎会、ですか?」


いきなり何やら言い出した生徒会長に、僕はそう尋ねた。


「そうよ。せっかく入ってくれるんだし、それに、明日から連休だし。一日くらい空いてない?」


「まあ、僕は大体フリーですけど」


「あ、私もです」


「俺は明日と明後日だけですかね。他は、友達と遊ぶことになってるんで」


「そうか。では、明後日にしよう。場所は追って連絡する。君たち二人は繋がりがあるな?」


「あ、はい」


「あります」


と、順調に話しは進んでいく。


「ちょっと待て! あたしの予定は聞かないのか?」


「どうせ暇だろう百合は」


「いや、そーだけどさー。一応聞いて欲しーじゃん?」


「そういうものか。まあいい。では、よろしく頼む。今日は解散だ」


「え? なにもしないんですか?」


「ああ。今日は仕事も特にない」


「後で切羽詰まってからやるやつだこれ……」


ああ、そういう感じなんだ、この人、一見完璧だけど、実はポンコツとか、そういう感じかな……。


「まあ、最後には一人でやっちゃうし、別にいいんだけど」


前言撤回。


やっぱり完璧超人だった。


ただし、計画性はない模様。


「えーと、それで、帰っていいんですか?」


「ああ、もちろんだ。ではな。ちーくん、ちーちゃん」


「あ、会長もその呼び方なんですね……」


「区別しづらいだろう」


それなら、普通に名前の後に君を着けてくれれば良いのではと思わないでもなかったが、別に不満でもないので黙っておく。


少し、恥ずかしいが……、まあ、我慢しよう。




さて、そういうことで、僕たちは帰路に着いた。


「はあ、なんか大変そうな所に入っちゃったね」


「うん。でも、推薦受けることになったら使えるかもだし、いいんじゃない? 楽しそうだし。会長も優しそうだし?」


「なぜに疑問形。まあ、確かに優しいかもしれないけどね。まだわかんないよ。ああ、そういえば、お姉さんだっけ。知ってたの?」


「うん、知ってたはずなんだけど、忘れてたね。全然生徒会っぽくはないから」


「ああ、確かにね。けっこう自由そうなイメージかな」


「うん。自由だよ。お姉ちゃんは」


「けっこう仲良いの?」


「うーん……。仲はいいんだけどね。ああはならないようにしようかなとは思うよ」


「はは、だからあんまり似てないと思ったのかな。顔立ちは似てるんだけどね」


「そうかも。性格は少し離れてる感じ?」


「うーん……。けっこう近いとは思うけど、距離感が、あの人はかなり近いよね」


「うん。まあ、それが私がああはならないようにと思った原因だしね」


「へー、なら、成功した感じかな?」


「まあ、たぶんね」


と、喋りながら歩いていると、駅に着いた。


「じゃね」


「うん。また」


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