第8話 〃③
放課後。
僕たちは生徒会室に向かっていた。
「……。で、なんで君がいるの?」
「いやー、俺実は生徒会入ってんだよね」
「へぇ、そう」
「いや、聞いたのそっちなのに興味なしか!」
「でも、何の用だろうね」
「そもそも、どっちに用なのかな?」
「ああ、それも気になるね。関係なかったらすぐ帰るよ」
「って、無視して話進めてんじゃねぇ!」
「それで、加藤くんはなにか知ってる?」
「そうそう、こういう対応だよ、わかるか? 鈴木」
「二人とも鈴木だよ。ところで、彼女の質問に答えてもらえる? 僕も、気にはなってる」
「ならそう言えよ……」
「で、どうなの?」
「教えてやろう! 俺は……」
僕らは、その続きを待った。
しかし、やけにためるな……。なんなんだ。
「なにも知らない」
「なんだ。まあいいや。着いたし。じゃあ、開けるよ?」
「ちょい待ち!」
「「何?」」
「はは、息ピッタリだな。ああ、そうじゃなくて、俺が開けるよ。ほら、お前らはお客さんな訳だし、俺が案内しなきゃ的な?」
「ああ、まあいいけど……」
僕がそう呟きながら扉から離れると、千尋(♀)がそっと耳打ちした。
「加藤くんと仲良かったんだね」
「いや、出会ったのは今日だよ」
「へー、コミュ力高いねぇ」
「高いのはむこうだけどね」
「さっきから何こそこそ話してんの? 開けるぞ?」
「ああ、うん」
僕がそう言うと、加藤は生徒会室の扉を開けた。
「おお、今日も来たね。ヨッシー」
「いや、俺も生徒会ですしね。てか、そのヨッシーってのやめてくださいよ」
その会話を聞いて、僕は、そういえば加藤の下の名前は吉輝だったなと思い出した。
先にいたのは、恐らく先輩と思われる、短い茶髪の少女だった。
全体的にお気楽そうな性格が見てとれる風貌だ。
「にゃはは、つれないなぁ。オネーサン寂し~」
そう笑ったあと、彼女は、ようやく僕らに気付いたようだった。
「ん? ちーちゃんじゃないか、どうしたの? それとそっちの子は?」
え? ちーちゃん?
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