第7話 〃②

「生徒会長の、渡辺清夏です。清い夏と書いて清夏。名前だけでも覚えてもらえると、幸いです。これから、生徒会が何をしている組織なのかについて話していきます。これを覚えていってもらえると、さらに嬉しいです」


生徒会からの話が始まった。


全生徒の正面中央にある台の上には、きれいな長い黒髪の少女が立って話している。


今しがた自己紹介があったように、彼女が今年の生徒会長だ。


この学校は、一年間役職が変わることはないので、生徒会に所属すれば、彼女の下につくことになる。


「まず、生徒会では、各行事を取り仕切ること、これがメインの職務になります。各行事において、生徒会は取りまとめ役をします。とはいえ、生徒会のメンバーだけでは、人手が足りないので、各委員会に手つだってもらっています。そして、この学校の生徒会には、特殊な権限があります」


そう、確か、この学校の生徒会は、強めの権限がある。


それは、


「それは、新たな校則を作れるというものです。それも、他校のような職員会議で通らなくてはならないという制限もなし。ただし、年に一つだけですけれどね。ここで、今年は、好きに生徒会の役員に加入させられるできるという制度を導入しました。今年以降も、より良い学校づくりに取り組んでいきます。この学校がより上へ行くために、より成果をあげるために。ただ、いかんせん人数が少ないです。是非という方がいれば、生徒会室まで来ていただけると助かります。ご清聴、ありがとうございました」


そう言って、頭を下げると、彼女は下りていった。


やがて朝礼は終わった。


僕はさっきの話を思い出していた。


「何の話だったんだろう? 要領を得なかったけど、生徒会の説明だったのかな?」


僕がそう呟くと、後ろから声がした。


「たぶんね。君、入ってみたら? 推薦とかにも使えるんでしょ?」


「僕は推薦を狙うつもりはないよ」


「そっかー。まあ、私も推薦狙いでいく気はないけど」


「まあ、面白い制度ではあるよね」


「何が?」


「さっきの、校則追加可能ってやつ」


「ああ、それ。確かに面白そうだけど、怖くもあるよね」


「しかも、さっきの話からして、結構幅広そうだし」


「うん。まあ、自分でやるのは嫌だよね。批判とか来そうだし」


「あはは、まあそうだね」




昼休み終了十分前。


僕は、今朝知り合った加藤と、学食で食事をとり、教室に戻ってきた。


席について次の時間の用意をしていると、放送がかかった。


「二年A組の、鈴木千尋君、ん? さん? まあいいや、繰り返します。二年A組の、鈴木千尋。授業後に生徒会室に来てください」


「「え?」」


僕らは顔を見合わせて言う。


「「ど、どっち?」」

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