第4話 〃④
さて、数日が経って、僕らは少しずつ仲良くなってきていた。
一緒にファミレスで勉強したり、どこかに遊びに行ったりもした。
だんだんと距離は縮まってきているような気がした。
ある日僕は呟いた。
「ねぇ、メアド交換しない?」
「え? ああ、まだしてなかったっけ。いいよいいよ。しよう」
そう言って、彼女は紙に自分のメールアドレスを書いて僕に渡してきた。
それを見て僕は笑ってしまった。
「く、ふふ、あはははははははははは、あはは、ふぅ、あはっははは、ああ、お腹いたい」
それを見て、彼女はあきれたように言う。
「笑いすぎでしょ。そんな変じゃないでしょ?」
「ああ、うん。変とかじゃなくて、面白かったんだ。だってさ、」
僕はそこで言葉を切ると、書いてあったメールアドレスに、メールを送る。
すぐにピロリンと音がして、彼女に届いた。
それを見た彼女も、くすりと微笑っていった。
「ふふっ、ああ、そういうことね」
彼女に送ったメールはこうだった。
[君のメールアドレスが、nyannnyannnyannnaynnnyankonyann.nya@mail.comでしょ、で、僕のメールアドレスは、
wannwannwannwannwannkowann.bow@mail.comなんだよ。もう、笑えちゃってね。]
「なに? 君は犬好きなの?」
「いや、どちらかと言うと、猫の方が好きだよ」
「じゃあ、何で犬なの?」
「決めるときに、ちょうど外から犬の鳴き声が聞こえたから、だったかな。まあ、特別思い入れがある訳じゃないよ」
「ふふっ、ああ、面白いなぁ」
「? 何が?」
「なんか、色んな所が似てるなって思って」
「へぇ、そっか。あ、そろそろ出ようか」
「あ、そうだね。わぁ、夕焼けきれい」
「ほんとだ」
そう言いながら、僕たちは広げていた勉強用具を片付けると、席を立って、お会計をし、そして、ファミレスを出た。
「じゃあ、またね」
「ん、じゃあ、また、明日……は学校ないから、明後日かな」
「うん、じゃね」
そう言って手を振ると、僕らは別れた。
四月も残り、一日だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます